転職活動で不採用が続くときのアドバイス(1/2)採用側の事情
この記事は約 7 分で読めます
転職活動で感じる一番のストレスは、応募をしても不採用が続くことです。書類審査であれ面接であれ「不採用」という結果はやはり嬉しいものではありません。私も2度の転職(シンガポール、ベルギー)がすぐに決まったわけではありませんし、次が決まるまでは強いストレスを感じました。こういう状況を経験しているのは私だけではないはずです。
このようになかなか次の仕事が決まらない方に向けて、私なりのアドバイスをまとめました。この記事では、面接で自分のベストを尽くしても不採用となった場合の気持ちの受け止め方について書きました。私が面接で経験した苦い思い出も説明したうえで、転職活動をされている方を応援したい想いで書きました。
そのため「楽していい会社に転職したい」という人に有益な情報はありません。あらかじめご了承ください。
キャリアに傷はない、自分の経験がアピールできているか振り返ろう
「キャリアに傷がつく」という話を聞いたことはありますでしょうか。不採用が続くと「自分の経歴に傷があるから採用してもらえないのでは」と不安になるかもしれません。私自身も人から聞いたことのあるフレーズですが、この言葉は誤解です。
そもそもキャリアの傷とは何でしょうか?明確な定義はないでしょうが、私が想像するには「社会的に評価されない会社(業務)で働くことで、その後のキャリアに不利になる」ということでしょう。
これは間違いです。もしキャリアに傷がつくのであれば、私の経歴はとても自慢できるものではありません。大切なことは「その仕事にどのように取り組んで、何が得られたか」です。
安心してください。キャリアに傷はありません。自分の経験がうまく伝えられていないか、もしくは自分の経験が求められていない会社に応募してしまった可能性の方が大きいです。
転職活動を通じて思うこと、それは「会社のブランドよりも、どのような経験があり何ができるか」の方が大切だということです。新卒とは違い転職では「有名大学を出ている」とか「有名な会社で仕事をした」は関係ありません。私のように「博士卒、中小企業出身」であっても大手メーカーへの転職ができましたし、しかも外国拠点で活動する機会を与えていただきました。
万が一「キャリアに傷」があるとするならば、それは「その仕事に真剣に取り組まなかったために、アピールできる経験が何もない」ということではないでしょうか。
前回の記事では、ドラゴンクエスト VI の転職システムに例えて「転職してもレベル 1 には戻らないし、積み重ねと組み合わせで希少価値がでる」と説明しました。もし自分のキャリアに負を感じるのであれば、その仕事に対して真剣に向き合ってきたか?その仕事でどのような経験をして何ができるか?を振り返ってみましょう。また、面接や職務経歴書で自分の経験がきちんとアピールできているか確認してみましょう。
不採用となったこともご縁、私の苦い面接経験をお話しします
企業が不採用を決める理由はいくつもありますが、どのような理由でも共通点はあります。それは「企業が求めている人材像と応募した人の中身が一致しなかった(ミスマッチだった)」のです。しかし、中にはそうとは思えない不採用通知を受けたこともあるのではないでしょうか。
私も納得のいかない理由で不採用通知を受けたことは何度もあります。ここで私の経験をふたつお話ししましょう。
タイの日系メーカーの面接で経験したすれ違い
タイにある日系メーカーに応募したときのことです。
書類審査が通り Skype 面接をやりました。面接官だった技術者の人は始終良い印象で面接していただき、さらにその会社の業務もやってみたい開発の仕事でした。東南アジアの製造業であればタイというイメージもあり、タイに就職するイメージを勝手に膨らませていました。
しかし面接後、人事から「前職での(私の)経験業界が、弊社で扱っている製品の業界とは違うので採用を見送りたい」と言われて不採用となりました。それは書類審査の時点で分かることではないでしょうか?なぜ先に人事と打ち合わせしなかったのでしょうか?
たとえ取り扱う製品は違っていても、技術の仕事であれば根底となる原理(電気電子の法則など)は同じなので適用可能なのに、こういう結果になりました(面接官は技術者なのでその点は理解していました)。
今でこそ縁がなかったと思えますが、その時は納得できませんでした。
シンガポールの日系メーカーの面接で言われた矛盾
もう一つの経験もお話ししましょう。
シンガポールにある日系中小メーカーで面接を受けたときのことです。役員である面接官が突然「有休を使って面接に来る奴は信用できない」、「希望給与が高すぎる」と言い出しました。圧迫面接かと思いきや、どうやら本気で言っていたようでした。
もちろん結果は不採用でした。この話を友人にしたところ「有休を使って面接を受けるのは普通」「そんな会社に行かなくて正解」とフォローしてくれました。
希望給与は求人票に書かれていた範囲内で伝えました。むしろその額を払えなければ、会社は求人票に虚偽の記載をしていた疑いもあります。この案件はエージェント経由の応募だったため、面接でのやり取りはすべてフィードバックしましたし、担当エージェントから謝罪もありました。
結果的にはベルギーの仕事が決まったので良かったですが、当時はとても嫌な気分になりました。
余談ですが、私が面接を受けた半年後に、別の転職サイトでその会社の求人票を見つけました。会社名は隠されていましたが、明らかに同じ求人内容でした。私との面接後どれくらい応募があったのかは知りませんが、適任者は見つからなかったのでしょう。
採用のプロでも採用プロセスはまちまち
このふたつの例だけで言うならば、採用側にも問題はありそうです。
本来は応募者のスキルやポテンシャルで評価すべきところを、「社内事情」や「採用担当者の主観」または「好き/嫌い」で採用している会社がいまだに存在します。採用というプロセスについて標準的なやり方は存在しないのでしょうか。
採用プロセスが客観的ではないことを裏付ける資料があります。楠木新著の 『サラリーマンは、二度会社を辞める。(日経プレミアシリーズ 、 2012 )』 では、大手企業の採用担当者の本音が垣間見られる記述があります。同書より引用させていただきます。
- 採用責任者たちは、目立った能力や資絡を持つ人材を採りたいとは思っていない。(p.29)
- 配属を決める人事部も本人の適性など十分にはわかってはいないのである。(p.31)
このようなことを平然と言えることを私は理解できません。むしろ採用のプロ意識の欠如だと言いたいくらいです。
もちろん実際にはこのような会社ばかりではありません。応募者を主観や雰囲気で判断せず、「行動」という観点から質問して、客観的に面接する方法もあります。
例えば、伊東朋子著 『科学的手法で絶対に成功する採用面接 改訂版(幻冬舎MC、 2015 )』では採用側の不備について触れられています。伊東氏は著書のまえがきにて「大半の企業は採用ミスを回避する具体的な手段を持っていません」と認識したうえで「コンピテンシー面接」という面接手法を提案し企業に指導しています。
この方法は難しいので詳細は説明しません。ただ同書では、採用する人を間違えて経営が傾いた会社の話があります。それくらい採用とは本来難しいことなはずです。
そのため「本人の適性なんてわからない」と開き直られるのは困ったものです。ここでお話ししたように、採用に丁寧な企業も確かにあります。
丁寧な面接をやる会社や採用担当者に巡り合えるかどうかは縁なので、面接してみないと分からない面がどうしてもあります。
面接で自分の力を出し切った上でそれでも不採用となったのであれば、縁がなかったと深入りせず、すぐに次の応募に頭を切り替えましょう。そしてその時の苦い経験を活かせるようにステップアップしていきましょう。大丈夫です。
まとめ
私の経験もお話しして恥ずかしいところもありますが、少しでもお役に立ててほしい一心で書きました。
この記事の内容をまとめましょう。
- 不採用が続いてもそれはキャリアの傷(マイナス)のせいではない、ただ自分の経験がきちんとアピールできているか振り返ってみよう
- 採用側は必ずしも客観的に応募者を面接しているとは限らない、むしろ雰囲気で採用している会社の方が多い
- 面接で全力を出し切っても不採用であっても、良い経験を積ませてもらったと頭を切り替えて次に活かそう
今回は採用側の事情を中心にお話ししました。採用側の問題だけを取り上げるのは一方的なので、私たち応募側についても問題はあるかもしれません。次回は応募側のアプローチの仕方について振り返ってみましょう。