ベルギーの電気代(1/2)請求書から請求内容を解説

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ベルギーの電気代は水道代よりはるかに複雑な請求になっています。また金額も日本より高めな感じがします。電気料金の仕組みを調べたところ文量が多くなったため、2回に分けて解説したいと思います。

今回は私が請求された電気料金を紹介し、請求項目を大まかに解説します。複雑すぎるためすべてを把握していませんが、わかった範囲で説明させていただきます。

請求書を見てみよう

下の表は実際に5か月間(119日)利用したトータルの請求金額です。

請求された電気料金(5か月分の合計額)
内容数量単価[€]小計[€]
エネルギー固定費(加入日数)119日0.10941/kWh13.02
日中(ピーク)1,023kWh0.06628/kWh67.80
夜間(オフピーク)2,585kWh0.04830/kWh124.86
項目計205.68
ネットワーク配電料金3,608kWh0.101793/kWh367.27
送電料金3,608kWh0.017226/kWh62.15
項目計429.42
サーチャージEnergy Fund Contribution*119日解説を参照31.06
Contribution to Energy3,608kWh0.001926/kWh6.95
Federal Contribution*3,608kWh0.003411/kWh12.40
項目計50.41
期間調整41日間の推定使用量1,294kWh解説を参照254.32
41日間の推定使用量*不明5.10
項目計259.42
グリーンエネルギー認証費用消費電力量に比例69.15
コージェネレーション認証費用消費電力量に比例9.30
合計1023.38
ひと月あたりの料金204.68

消費税(BTW/VAT)は21%で上記の金額に含まれています(水道は6%)。ただし、*の付いている項目は消費税適用外です。

ひと月当たりの電気代に換算すると204ユーロ、2万円以上なので日本で生活していた時の倍以上を支払っています。なぜこんなに高いのかは次回解説します。今回は各請求項目について説明します。

エネルギー(発電料金)

エネルギー(発電料金)部分抜粋
内容数量単価[€]小計[€]
エネルギー固定費(加入日数)119日0.10941/kWh13.02
日中(ピーク)1,023kWh0.06628/kWh67.80
夜間(オフピーク)2,585kWh0.04830/kWh124.86
項目計205.68

まずはエネルギー料金です。この金額は発電に利用した燃料と設備、事務手数料などの料金だと思われます。電力会社から来る請求ですが、ベルギーは電力自由化されていて消費者が他社に切り替えられる部分です(電力自由化の事情は次回解説します)。

電力メーターは1台で日中消費分と夜間消費分で数値が分かれています。日本にもあると思いますが、日中と夜間で電気料金は異なります。表を見ると確かに日中が€0.06628/kwh、夜間は€0.04830/kwhで夜間の方が4割弱単価は安いです。平日の日中は仕事で家を空けているので、当然消費電力量(数量)も日中(1,023kWh)より夜間(2,585kWh)が多くなっています。

固定費は解説がないため推測になりますが、携帯電話のユニバーサルサービス料に相当する料金だと解釈しています。利用日数に応じて金額が変わります。

この料金の解説には、下記のフランダース地方の記事を参考にさせていただきました。

外部リンク:De jaarlijkse verbruiksfactuur voor energie | Vlaanderen.be(オランダ語によるフランダース地方の電気料金の解説)

ネットワーク(送配電料金)

ネットワーク(送配電料金)部分抜粋
内容数量単価[€]小計[€]
ネットワーク配電料金3,608kWh0.101793/kWh367.27
送電料金3,608kWh0.017226/kWh62.15
項目計429.42

ここで言うネットワークとは、送電と配電の両方を合わせたトータルの電力網のことです。電力網のことをグリッドとも呼びますが、ここでは請求書に書かれていたオランダ語のNetwerkkostenを英語に直訳した結果ネットワークコストとなりました。

送電と配電は日本でも定義は異なります。各々の定義はこのようになっています。

  • 送電:発電所から変電所、変電所から変電所に電気を送ること
  • 配電:変電所から最寄りの消費者(需要家)に電気を送ること

日本では料金上送電と配電の区別はなかったと思いますが、ベルギーでは送電と配電は別会社のため別々に請求が来ます。かなり複雑ですが、私が調べた範囲でわかった内容を紹介します。

送電

送電はElia社が運営しています。Wikipediaによると、Elia社は法律上ベルギー連邦指定の送電オペレータ(federal transmission system operator)となっているようです。

外部リンク:Elia System Operator – Wikipedia(英語)

また同社はドイツの送電会社を買収した経緯から、電力事業をドイツでも展開しているとのことです。相当規模の大きい会社のようですね。

配電

一方、配電会社は地域で異なるようです。まずVREG(Vlaamse Regulator van de Elektriciteits- en Gasmarkt:フランダース電気・ガス規制委員会)のサイトから、配電会社のリストを見つけました。

外部リンク:Overzicht netbeheerders | VREG(オランダ語によるフランダース地方の配電会社一覧)

このリンク先の情報によると、配電を統括しているのは先に紹介したElia社となっています。その下に複数の配電会社があり実際にオペレーションしています。

このリストにあるImewo社の名前が請求書に書かれていたため、Imewo社が私の住む地域の配電管轄会社なのでしょう(ただImewo社は2016年にEandis社に統合したようです)。

配電会社は各自治体が経営母体となっているようです。先ほど紹介したVREGはフランダース地方を担当している委員会ですが、ブリュッセルにはBRUGEL、ワロン地方にはCWaPE、さらに連邦としてCREGという規制委員会がそれぞれあります。ベルギーの電力料金が複雑になっている要因のひとつと考えられます。

外部リンク:Commissie voor de Regulering van de Elektriciteit en het Gas – Wikipedia(オランダ語によるCREGの解説)

サーチャージ

サーチャージの部分抜粋(*の項目は消費税非課税)
内容数量単価[€]小計[€]
サーチャージEnergy Fund Contribution*119日解説を参照31.06
Contribution to Energy3,608kWh0.001926/kWh6.95
Federal Contribution*3,608kWh0.003411/kWh12.40
項目計50.41

航空券を購入する際に発生する燃油サーチャージと似ていますが、ここでのサーチャージは行政からの請求なので課徴金でしょう。3項目があり、複数の行政機関からの請求を電力会社が代わりに徴収しています。

この3項目のうち、最初のEnergy Fund Contribution(原語はオランダ語のBijdrage Energiefonds)はエネルギー基金に対して支払う寄付で、2018年に始まったようです。請求金額が消費電力ベースではなく日割りベース(基準は年額)になっています。2017年は134.37/年、2018年は0.42ユーロ/年と請求書には書かれていました。

下記のリンクによると、2番目の課徴金の値上げをした際に、連邦に支払っている課徴金と二重取りではないかと法廷で争ったそうです。そのためこの寄付金は、2番目の課徴金が値上げできずに代わりに基金設立という形で徴収しているものと思われます。

外部リンク:Energieheffing of bijdrage Energiefonds | Vlaanderen.be(オランダ語によるフランダース電力課徴金の解説)

私がオランダ語を正しく理解しているかどうか疑わしいですが、何かあったようですね。

エネルギー基金に振り込まれたお金は認証、VREG、再生エネルギーに投資されると請求書には書かれていました。負債が迅速に返済できれば、この料金は減額するとも書かれていました。

2番目はContribution to Energy(原語はオランダ語のBijdrage op de engie)でフランダース州に支払う課徴金と考えられます。これが先ほど解説した、値上げが法廷で無効になった課徴金だと思われます。金額は据え置きで引き続き徴収されています。私のオランダ語力ではこれ以上のことはわかりません。

3番目のFederal Contribution(原語はオランダ語のFederale Bijdrage)は連邦に支払う課徴金です。先ほどのリンクによると、このお金は公共サービスや規制の費用、電気・ガスマーケットのコントロール、保護された消費者(障害を持つなど保護の必要のある顧客は割引が適用される)の電気料金に使われるようです。

このようにベルギーの電力料金は一筋縄にはいきません。

期間調整料金

期間調整料金部分抜粋
内容数量単価[€]小計[€]
期間調整41日間の推定使用量1,294kWh解説を参照254.32
41日間の推定使用量*不明5.10
項目計259.42

期間調整料金は「メーター値の入力日から請求日までの推定電力消費量」です。

水道と同じように電力も自分でメーター値を記録してオンラインで申告しました。水道は申告後割とすぐに請求書が着たのですが、電気は申告してから41日後に請求が着ました。この41日間の期間調整電力消費量は「過去の平均消費量」から推定されます。

今回は1,294kWhと消費量を推定されたので、日割りにすると31.56kWh/日となります。請求書には、実際の消費量が5ヶ月で3,608kWh(一人暮らし)なのに対して、私の住む地域の世帯平均電力消費量は5,000kWhと書かれていました。これが事実であれば、確かに使いすぎかもしれません。

参考まで、タビナビSwitchの記事によれば、4人家族の一日平均電力消費量は18.5kWhとのことです。

このような推定勘定をされるなら、日本のように消費量を測定してきっちり請求してほしいのが本音です。水道はメーターが室内にあり業者が測定に来るのは難しいですが、電力メーターは建物地下の駐車場に設置されています。

地下にある電力メーター
電力メーターは地下駐車場にある

セキュリティゲートがあるので業者は入れないという意見もあるかもしれません。しかし、私の住むマンションは清掃業者が週1回建物内に入り掃除をしています。そのため電力業者がメーターを読みに来ることも問題は無いはずです。

ただそうすると「メーターを測定した人の人件費」が加算されるかもしれません。そうしたら料金がもっと高くなりそうです。自分で言っておいてもなんですが自己矛盾ですね。本当に難しいです。

期間調整額は課税分と非課税分に分かれています。しかしこの部分の説明は無かったため、どう計算して請求されたのかはわかりませんでした。

その他認証費用

その他認証費用部分抜粋
内容数量単価[€]小計[€]
グリーンエネルギー認証費用消費電力量に比例69.15
コージェネレーション認証費用消費電力量に比例9.30

請求書には「グリーンエネルギーとコージェネレーション認証費の支払いは法的義務」であり、「再生エネルギーとコージェネレーションの開発促進に使われる」と書かれていました。

下記のリンクによると、フランダース州政府が再生エネルギーの積極利用を布告していることから、この費用が発生しているとのことです。

外部リンク:Bijdrage kosten groene stroom en warmtekrachtkoppeling (WKK) | Vlaanderen.be(オランダ語による認証費用の解説)

この料金は消費電力に比例して高くなると上記のリンクには書かれていました。ただどのような比率で値段が変化するかはわからず、請求書にも書かれていませんでした。

まとめ

以上が一通りの解説ですが、相当複雑な請求となっていることがおわかりいただけましたでしょうか。

この記事の内容をまとめましょう。

  • ベルギーの電気料金の請求項目は発電、送電、配電、サーチャージや認証などの課徴金、期間調整費で構成されている。
  • 各料金は利用日数、日中の消費電力量、夜間の消費電力量、トータルの電力消費量をベースに計算される。
  • メーター値の申告は自分でオンラインでやり、申告日から請求日までの料金は過去の実績からの推定消費量が請求される。

次回はこの請求項目から電力料金のしくみを整理し、どう節約ができるか解説する予定です。また、ベルギーの電力事情についても私のわかる範囲内で説明させていただきます。

※この記事は2018年2月時点の情報を基に作成しました。また計算の合わないところが一部ありますが、請求書の記載としてそのまま掲載しました。

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