ベルギーのボーナス、有休、残業ルールが少し変なおはなし

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ベルギーの給料明細のダウンロードページ

ベルギー生活が長くなり、生活についてはほとんど知らないことはなくなったと思いました。しかしボーナスのしくみが全然違うことに今更ながら気がつきました。

この記事ではベルギー就労時のボーナス、有休、残業のしくみについて私の経験から解説します。どれも日本と違いますので、ベルギー就労の際はご注意ください。

ベルギーのボーナス事情のおはなし

まずは誰もが気になるお金の話をしましょう。ボーナスの仕組みは日本とベルギーで全く異なります。

年俸を14等分して月給12回+ボーナス2回支払い

ここでは年俸ベースの事例として紹介させていただきます。

まず私のような外国人労働者には就労ビザを出すための最低給与額があります。雇用契約書に給与額の項目があり、年俸(もしくは月給)が明記されているはずです。

最低給与額は毎年引き上げられています。そのため次年以降は年始に「今年の年俸はこの額ですよ」というレター(雇用主の署名付き)をもらいます。この書類を根拠に労働許可証の更新手続きをします。

この年俸を14等分(実際には13.92)した額が税込み月給 (gross, brut) になります。そこから社会保障費や税金が引かれて手取り (net) になります。

分割された月給を12回均等に毎月支払います。残りの2回分の月給額がボーナスの原資となります。日本の会社のように利益額に応じたボーナス額ではありません(ベルギーでも会社によっては利益配当などもある)。

2回分のボーナスはこのような形で支払われます。

  • 13か月目の給料 (13th month, year-end bonus, Prime) :毎年12月に支払い
  • 休暇手当 (Vacation/Holiday pay) :毎年6月前後に支払い

13か月目の給料は他国でも認知されているボーナス制度です。 12月の給与は2か月分が支払われます。

例えば私が前職で働いていたシンガポールでも AWS (Annual Wage Supplement) という制度があります。名前は違いますが制度としては13か月目の給料のことでした。ただし AWS は義務ではなく推奨なので、実際に支払うかどうかは会社ごとに判断です。

そしてもう1つは休暇手当です。私の職場ではこれまで8月に明細が出て9月に支払われていました。しかし今年 (2019) より6月に明細・給与ともに支払うルールに変わりました。

名称の違いこそあれど、ボーナスはないよりあったほうが嬉しいですね。

ボーナスは前年の就労期間に比例するので満額出ないケースあり

この2回分のボーナスにはトリックがあります。初年度から満額もらえるわけではありません。

過去の勤務日数に応じて支給額が変わります。これは13か月目の給料、休暇手当のどちらも同じルールです。私の支払実績はこのようになります。

ボーナスの支払実績表

私の同僚は「ボーナスは1年就労すれば満額支払われる」という情報を事前に得ていました。しかし2018年の休暇ボーナスは全額支払われていません。おかしいと思って経理に問いあわせたところ、このようなルールになっているということでした。

  • 13か月目の給料額:その年の勤務日数に比例する(1月1日から勤務していれば満額の1か月分が同年12月に支払い)
  • 休暇手当額:前年の勤務日数に比例する(前年が中途採用だったり欠勤があれば減額支給、満額は1か月分)

ボーナス支払い例のカレンダー

このルールを整理したのが上の図です。

私がベルギーで働き始めたのは2017年7月、中途なので2017年の「休暇手当」はありません。しかし半年勤務したので「13か月目の給料」は2017年12月に半額支払われていました。

一方、 2018 年は1年フルで出勤したのでどちらも満額もらえると思っていました。しかし確定申告で給与額を見直したところ、13か月目の給料は満額、休暇手当は半額でした。

休暇手当は前年 (2017) が半年就労だったので半額、13か月目の給料は 2018 年1月からフル出勤したので全額支払い。ルール通りに支払われていたことになります。

このように、こちらから問い合わせないと誰も教えてくれません。

休暇手当は損した感じになりますね。しかし休暇手当は退職時に満額支払われるという経理の回答でした。一時的に損をしているかもしれないが、最終的にはつじつまが合うので理解してほしいということでした。

ベルギーの税金もそうですけど、お金に関してベルギーはつくづく変だなと思います。

ボーナスに対する税額が高い理由:全体最適化している

ボーナスの給料明細書を見ると毎回面白くありません。なぜなら半分以上が税金と社会保障で引かれているからです。

どうしてでしょうか?

税金に関する公式情報が見つけられなかったので、参考リンクの情報から紹介します。

毎月の給与の手取り額を増やすために、ボーナスで多めに源泉徴収することでバランスをとっているとのことです。

給料は年俸を14等分して支払われていますが、あくまでも税処理上は12か月分の給料が支払われたこととして扱うためのテクニックになっているようです。

このテクニックのことを tax optimization と呼ぶようです。

そのような事情があるのは一応理解できました。しかしそれでもベルギーは日本よりも税金が高く感じます。確定申告で少し戻るもののもう少し減税してほしいのも本音です。

外部リンク:What does 13th month and vacation actually mean in Belgium? : Belgium (ベルギーのボーナスについての掲示板の質問、英語ページ)

次に有給休暇事情について紹介しましょう。こちらは1年目さえ乗り越えれば日本よりもしっかりしています。

12か月勤務しないと有休は付与されない

ベルギーの有休日数は20日です。しかし条件として12か月勤務しないと付与されません。

ベルギーの法律上、ホワイトカラーは試用期間が最大12か月のためです。この点は日本よりも厳しいでしょう。

しかしこの条件にも根拠があります。ベルギー国内で転職した場合、前の職場で残した有休日数を転職先でも引き継げるのです。

そのためベルギー人にとっては最初の仕事で12か月頑張れば、その後は毎年20日の有休は原則保証されます(休職などしなければ)。

私はシンガポールからベルギーに転職したので、1年目は有休がなかったことになります。日本から(ベルギー国外)から転職した人はみんなこのルールに該当します。

ただし、このルールは厳しいということで会社によっては特別に数日の有休を用意してくれます。私が勤務している会社は特別に、最初の年は5日間の有休をいただきました。

他の会社でも似たような制度を独自に設けているようです。ベルギーで働く際には必ず確認しましょう。

ベルギーでは有休全取得が普通

私もそうでしたが、日本の会社は有休をとると嫌味を言われるような風土ですね。そのため日本では2019年4月からは有休取得の義務化されました(といっても最低5日以上という条件付きですが)。

ベルギーでは労働者は基本的に守られています。そのため有休の全取得はすでに確立しています。私はおかげさまで有休は全部使わせていただいています。

ある年で年末までに有休を使い切らなかった場合はどうなるのでしょうか?

来年に持ち越すことはできません。全部使わなかった場合は次年度の有休についてペナルティがあったはずです。調べたのですがちゃんとした情報は見つかりませんでした。

どちらにせよ、ベルギーで働く場合、有休を使っても嫌味も拒否もされません。しっかり全部消化しましょう。

祝日が土日に重なった場合は任意の日に代休が取得可能

ベルギーの振替休日の例

日本では祝日が土日に重なった場合、月曜日を振替休日にします。

ベルギーは違います。振替日を月曜日にせず任意の日に代休とすることができます。

このルールは会社によって違うようです。私の勤めている会社では有休日数にカウントされます。別の会社では振替日が指定されています。

例えば、2019年7月21日はベルギーの独立記念日ですが日曜日です。私の勤めている会社では有休日数が+1になります。別の会社では振替休日を同年12月26日に指定しています。12月25日はクリスマスで祝日なので、会社指定で連休にしています。

残業した場合は代休をとって年間で残業なしとみなす

有休と同様、残業も労働者が基本的に守られています。別の記事と重複しますが、簡単に説明します。

ベルギーでも残業はあります。しかし以下のルールに従う必要があります。

  1. いつ残業するのかマネジメントと事前に同意すること
  2. 残業した分は残業代を支払うか代休とすること

といっても私の職場を見ている限り、事前同意はしていません。技術者という職業柄、トラブル対応や他国とのビデオ会議(つまり時差のある打ち合わせ)などで時間通りに就労できません。

ヨーロッパ人は残業しないといううわさもありますが正しくありません。ベルギー人であっても必要と判断すれば残業しています(もちろん絶対残業しないポリシーの人もいます)。

残業した後は代休 (flex time) をとることができます。しかも1時間単位での埋め合わせができるのでかなり柔軟に働くことができます。

私の職場にはタイムカードすらない(!)ので、就労時間はウソをつくこともできます。それでもみんな正直に申告しています。

あくまでも年間を通じて残業時間が0であれば問題ありません。

関連記事:海外でも残業はあるけど日本と何が違う?3か国就労経験を比較(日本、シンガポール、ベルギーの例による残業の扱いや勤務日数の話)

まとめ

「郷に入っては郷に従え」ということわざが日本にあるように、英語でも “When in Rome, do as the Romans do.” (ローマにいるときはローマ人と同じように振る舞え)ということわざがあります。

日本とルールが違うことに納得できないかもしれません。しかしその国のルールに従って働いて生活するしかありません。ご理解の上ベルギー生活を充実しましょう。

この記事をまとめましょう。

  • ボーナスは2種類あって勤続期間によって額は比例する。またボーナスに対する税額が大きいのは月給に対する手取り額を大きくするための合法的なしくみ。
  • 有休はベルギー国内の転職であれば前職の残数が引き継げる。ベルギー国外からの転職の場合、12か月勤務して初めて20日付与される。有休は全取得できる。
  • ベルギーでも残業はあるが、代休が1時間単位で取れるので柔軟な働き方ができる。

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※この記事は2019年5月時点の情報です。また政府などの公式情報が見つからなかったため、ソース情報の正確性は保証できません。