ベルギー就労時の福利厚生:ミールバウチャーとエコバウチャー

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この記事ではベルギーで就労していると支給されるミールバウチャーとエコバウチャーについて解説します。これがあると日々の生活に必要なものはかなりまかなえます。

税金が高いヨーロッパ生活の一部が見えるかもしれません。

バウチャーカード
バウチャーはカードタイプで電子決済する

バウチャーとはどのような制度か?

ベルギーの会社員が受けられる福利厚生

ミールバウチャーとエコバウチャーはベルギー政府公認の金券です。どういう物の購入に使えるのかは後ほど個別に解説します。

私がベルギーに来る数年前までは、商品券のように紙で支給されていたそうです。写真にあるように、現在は電子マネーとして使える専用のカードが支給されます。不正利用を防止するためでしょう。

外部リンク:Meal Vouchers – Business Belgium (ベルギーでビジネスをしたい人向けの英語によるバウチャー制度解説)

この制度は政府公認ですが、政府が支給するものではありません。あくまでも会社から支給される手当てです。

このバウチャーを実際にもらえるか、またはいくら支給されるのかは雇用主ごとに異なるので確認してください。あくまでも手当てなので、法律として支給義務はありません。

バウチャーのしくみはオンラインベース

バウチャーは会社が支給する制度なので、運営も民間で行われています。運営会社は複数あるようですが、私の勤めている会社ではフランスの企業であるSodexo社(ソデクソ社)のサービスを利用しています。

外部リンク:ソデクソ – Wikipedia

バウチャーのしくみ(イメージ)

先ほどの説明と重複しますが、支給されるバウチャーは電子マネーです。チャージは会社の経理からバウチャー運営会社を経由して行われます(間に給料計算会社が入るらしいが未確認)。日本のSuicaのように電子マネーカードに直接チャージしません。

残高は運営会社のシステム上で管理されています。私たち利用者はカードを使って支払いと認証をするだけです。残高の確認は専用のアプリや運営会社のウェブサイトで確認できます。

カードが届いたらアクティベーションが必要です。運営会社のウェブサイトで自分のアカウントを作成し、届いたカードの番号と関連付けて初めて利用できます。

外部リンク:Sodexo4You (オランダ語によるバウチャー利用のポータルサイト)

PIN番号という暗証番号はカードと別に届きます。PIN番号は変えられるようですが、初回の決済だけは届いたPIN番号でないと支払いはできません。

バウチャーをうまく使って現金は貯金

ここまでの説明からすると、デビットカードやクレジットカードとあまり違いがわかりませんね。なぜ現金支給ではないのでしょうか?

バウチャーのメリットは非課税なことです。現金で受け取った給料は所得税と社会保障で約4割が引かれます。バウチャーは購入できるものが限られているとはいえ、支給された額全額を自分で使うことができます。

関連記事:ベルギーで就労した際の給料明細の見方と税金・社会保障

このバウチャーをうまく使うことで、現金の利用を減らして貯金することができます。

ミールバウチャーで平日のランチ代をまかなう

ミールバウチャーの基本的な考え方は、出勤日の昼食代の補助です。

アメリカではフードスタンプという貧困層向けの食事補助制度があります。ベルギーでもフードスタンプ制度はあり、支払方法として選択できるスーパーもあります。しかし両者は制度として異なるものです。ミールバウチャーは貧困層ではない会社員の私にも支給されています。

支給額は出勤日に比例します。仕事を休んでいる土日や有休日は計算に含まれません。先に紹介したバウチャー制度紹介のリンクによると、このようになっています。

  • 負担額は雇用主が最大€6.91/出勤日、従業員は最小€1.09/出勤日
  • 最大支給額は€8/出勤日(最大€160/月)
  • 有効期間は1年
  • 社会保障費の100%控除対象
  • 従業員には非課税で支給
  • 雇用主にとっては1バウチャーあたり€2の税金控除が可能

実際の私の支給額はこのようになっていました。

  • 会社負担額:€4.46/出勤日
  • 自分負担額:€1.54/出勤日
  • 合計:€6.0/出勤日

このように、自分でも少額の負担があり給料から引かれます。ただし引かれた金額は社会保障費として持っていかれません。自分も負担していることに不満とする必要はないでしょう。

また上限の8ユーロは支払われていません。もし上限ギリギリの額が欲しければ雇用主と交渉する必要があります。会社のルールで支給額が決まっているからです。

私にとっては十分な支給額をいただいています。1日6ユーロあれば豪華なランチは無理でも、サンドイッチなどの昼食は購入できます。また、私の勤務先の食堂であれば、6ユーロで温かいランチプレートを食べることができます。

スマホアプリで残高確認
スマホアプリで残高が確認できる

食堂以外にもファストフードで使うこともできますし、スーパーで食料品を購入することもできます。スーパーのレジにはカードリーダーがあるため、そこでクレジットカードやデビットカードと同じように決済ができます。

お酒は買えないはずですが、未確認です。このバウチャーのほとんどは社員食堂での支払に使っているため、お酒の購入を試したことはありません。

エコバウチャーで環境に配慮した生活をサポート

購入できるものが多い

エコバウチャーは環境にやさしい活動をサポートするための手当てです。年1回の支給で最大250ユーロです。

購入できるものは幅広く、食料品、日用品、電化製品、ガーデニング用品、住宅、さらには交通や旅行関係にまで利用できます。

いくつかの製品は認証ラベル付きであることが条件です。わかる範囲でまとめた購入可能品リストと認証ラベルを紹介します。

  • EU Ecolabelの付いた製品やサービス:テレビ、ヒートポンプ、暖房器具、PCやタブレット端末、プリンタ、コピー機、洗剤(トイレ、窓、食器用、衣服用)、ハンドソープ、石鹸、シャワーゲル、シェービングフォーム、赤ちゃん用品、業務用洗剤(食器用、衣服用)、衛生用品(おむつ、生理用品など)、紙類、衣服、家具、浴室設備、トイレ設備、マットレス、タイル類、潤滑油、油圧オイル、キャンプや旅行サービス
  • EU認定Biologischラベルつき有機製品:ボディケア、エッセンシャルオイル、オーガニックハーブ、ティー、コーヒー、ワイン、有機野菜と果物、サプリメント
  • Biograntieラベルつきの製品:スープ、デリカテッセン、肉類、ジュース、レモネード、卵、フルーツ、野菜、ほかBiograntieショップで販売しているもの
  • 電動モーター以外の動力が使われていない製品:服、靴、各種レザー製品、家具や装飾向けの繊維品(シーツやブランケット類)、額縁・鏡・花瓶などの装飾品、マットレス、枕、書籍、おもちゃやゲーム類(モーター付きはOK)、赤ちゃん用品(ベビーカーや哺乳びんウォーマーなど)、陶器、食器類(生産終了品や展示品は対象外)
  • 環境にやさしい木製品とFSCやPEFC認証シール付きの紙製品:家具、イス、キャビネット、ガーデン家具など、木材、薪、認定された木質ペレット、フェンス、スクリーン、柵、デッキ、床、樹皮、キッチン用品、ティッシュ、おむつ、紙類
  • 住宅の省エネや節水に役立つ製品とサービス(購入、設置、修理やメンテナンスに支払い可能):節水機能付きの蛇口、ウォーターセーバー、節水シャワーヘッド、トイレのタンク(節水ボタンと貯水タンクのあるもの)、雨水タンク、タイル類(セル構造や透過性のあるもの)、バルブ類(サーモバルブを含む)、高効率ボイラー、ヒートポンプ、省エネ管理アプリ(モバイル/タブレット向け)、熱量計などのエネルギー消費量を測定・記録するシステム
  • 住宅の断熱や防音のための製品とサービス:水道管の断熱材、高効率ガラス、二重窓ガラス、断熱シャッター、反射フィルム、断熱や防音のためのコーティングや屋根のカバー、グリーン屋根、赤外線サーモグラフィ試験費用、気密検査費用、防音を目的とした繊維製品(ウール類、リサイクル綿、スプリングマットレスほか)、二重壁、床・天井・屋根の仕切り
  • 再生可能エネルギー関連製品(設置や修理、メンテナンスにも支払い可能):ソーラーパネル、ヒートポンプ、太陽熱温水器、風力タービン、太陽電池で動くもの(電卓、ラジオ、懐中電灯など)
  • ガーデニング用品:木や植物、球根、タネ、芝生用の肥料(生態系を壊さないもの)、除草剤(2つ以上の有機製品認証があるもの)、堆肥類、刈り込みばさみ・鍬などの小道具、手押し車、ホース、バケツ、グローブ、再利用可能な廃棄用バッグ、膝パッド、電動芝刈り機
  • 再利用を想定した物や土にかえせる物:バッテリーと充電器、各種収納箱、飲料用の缶、旅行用マグカップ、炭酸水メーカーとその材料やアクセサリ類、浄水器とフィルター、人工クリスマスツリー、洗えるおむつ、土にかえる素材で作られたトレイ類
  • リサイクル素材で作られたものや土にかえりやすい素材:100%リサイクル用紙、100%リサイクル材木で作られた家具、100%リサイクルのポリエステルで作られた繊維製品、木質ペレット、堆肥などの有機質な土や肥料
  • エネルギーレベルがA+以上の中古電化製品:テレビ、食器洗浄機(家庭用)、冷蔵庫、洗濯機と乾燥機(一体型も可)、クッキングヒーター、オーブン、電子レンジ、換気フード、扇風機、エアコン、暖房器具、掃除機、照明器具
  • 中古小型電化製品:電気ケトル・トースター・ミキサーなどのキッチン用品、電動歯ブラシ・電動ひげそり・レディース電気シェーバー・ヘアアイロンなどのバス用品、ノートPC、携帯電話、携帯音楽プレーヤー、電動のおもちゃ、時計などその他の小型電子機器
  • 自転車や電動スクーターなど:自転車、電動自転車、電動スクーター、スピードペダル、トレーラー、アクセサリ類(ヘルメット、反射服、チャイルドシート、自転車用GPS、ドリンクホルダー、空気入れ、カバー、パッドロック)
  • 環境にやさしい自家用の乗り物:エコドライビングとなるコース(指定あり)、電気自動車や電動バイク(電動自転車含む)のためのチャージスタンド設置費用と修理費用、充電ケーブル、充電サービスの契約費用(チャージの電気代は対象外)
  • 公共交通機関:各種チケット購入、自動運転車による移動、自転車のレンタル、運転手のいない車のシェアリングサービス(会社から通勤手当が出ている場合は定期の購入は不可、通学定期は購入可能)
  • グリーンキーラベルの付いたツアー関連サービス(ベルギー国内のみ):ホテル、ゲストルーム、ユースホステル、キャンプ場、お祭り、イベント、会議、他アトラクション
  • 修理費用:服、靴、各種レザー製品、電気電子機器、メガネ、ジュエリー、時計、家具など(ただし、電気モーター以外の動力を使った電化製品は対象外、電化製品はエネルギーレベルA+以上のもの)

外部リンク:Your eco-check, a small green extra-legal advantage | Sodexo(オランダ語によるエコバウチャーの解説と購入できるものリストPDF)

各種エコマーク

モーター以外の動力という説明は難しいので補足します。車や発電機のエンジン、コンプレッサーの入っている製品は原則購入できないことを意味しています。

例外として、冷蔵庫にはコンプレッサーという、モーターではない動力があります。これもエネルギーレベルA+以上であれば良いという条件付きで購入できるケースがあります。

購入例:ベルギー国鉄のレールパス

たくさんありすぎて何に使うのがお得か、使い道が難しいですね。私のような独身と家庭を持つ人では有効な使い道は違うでしょう。私の例を紹介します。

食料品はミールバウチャーでも買えるので、あえてエコバウチャーで買う必要はありません。スマホの充電器や浄水器のフィルターは、エコバウチャーが支給される前に購入してしまいました。また暖房器具は部屋に備え付けの物があるので、あえて購入しなくてもいいですね。

そう考えると、私にとって一番役に立つのは鉄道チケットでしょうか。私は車も自転車も持ちたくないので、公共交通機関に使えることがわかった時にこれしかないと思いました。

そこで、ベルギー国鉄のレールパスを駅のカウンターで購入しました。このチケットを使えば77ユーロで2等車に10回まで乗れます。1回あたり7.7ユーロなので、休日に少し遠出する際の交通費が割安になります。

ベルギー国鉄のレールパス
ベルギー国鉄のレールパスをエコバウチャーで購入できた

ただし、ゲント―ブリュッセル間を週末に移動する場合、ウィークエンドチケットの方が安くなります(2等車で往復10.4ユーロ、片道5.2ユーロ)。

日々のバスやトラムの利用はDe Lijnの定期券を購入しています。このレールパスと組み合わせることで、ベルギー国内の旅行であればかなり費用を抑えられるでしょう。

関連記事:ベルギーの公共交通会社De Lijnの定期券の購入方法

このように、賢く使って貯金して他の国へのヨーロッパ旅行ができるといいですね。

まとめ

ベルギーは税金が高いものの、やりくり次第で貯金をすることはできます。このような制度は複雑で理解するのは難しいです。色々経験しながら上手に使いこなしましょう。

この記事をまとめましょう。

  • バウチャーはベルギーの福利厚生制度であって、政府が支給するものではない。
  • ミールバウチャーは出勤日のランチ代を補助してくれる。食堂だけでなくスーパーでの購入も可能。
  • エコバウチャーは環境にやさしいものに購入できるが種類が多い。賢く使おう。

関連記事:ベルギーでの生活費の計算例

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