英語習得物語 第8話:英会話教室に半年だけ通った大学院生時代

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日本人と話して上達するのか?

多読の勉強を始めて間もないころ、当時通っていた大学で有料(格安で)の英会話教室に行きました。当時の成績表によると、受講したのはまさしくTOEIC385—400点台の頃です。受講料は半年間で58,000円、週2—3回、全50回の授業でした。

当時の英会話教室の成績表

授業はグループレッスンで、毎回あるテーマに沿って先生が基本的な会話の表現を教えます。その後の実践練習は生徒同士(日本人)で会話する仕組みでした。これでは上達は見込めません。私はもっと先生と話す時間があると思いました。そのため当時の事をあまり思い出せません。

日本人同士だと話の内容や使える単語は限られるし、発音が変でも何を言おうとしているか推測できてしまいます。

先生はアメリカ人の男性でした。図書館を案内したり、一緒に大学に通学したりなど、チャンスがあれば積極的に先生と話しました。自分の持っているボキャブラリーをフル活用でしゃべりました。

漢字を覚えるのはすごいこと?

そのアメリカ人の先生は漢字を一生懸命に覚えていました。「木」が“wood”、それが三つ集まると「森」で“forest”、という感じです。日本人は小さいときから漢字は学校で習っているため慣れていますが、先生からすると論理的な紐づけが無いと覚えられなさそうでした。

専門分野ではないので何とも言えませんが、このエピソードから欧米系の言語を習得してから漢字を覚えるのは大変なのかな?と思いました。英語のアルファベットは26文字+αですが、ギリシャ文字など入れても日本の常用漢字のように1,000文字も無いでしょう。

一方日本や中国は漢字の国です。特に中国語は日本語で使う以上の数の漢字を覚えないといけません。

私自身、中国語にもチャレンジしたことがあります。日本人は漢字になじみがあるので覚えやすいかと思ったら、そうでもありません。何しろ母音と子音の組み合わせが日本の50音の比ではないくらい多い(母音が36個、子音が21個、さらに声調というトーンの変化が4種類)ので、それを覚えるのが大きな壁となって挫折したのが正直なところです。

中国系の人はこういう複雑な文字と音の組み合わせからなる中国語をネイティブとして巧みに操っているので、英語を習得する素養が元々備わっているのかもしれません。

日本人もひらがな、カタカナ、漢字を使いこなしている事を誇りに思うべきで、英語に対するコンプレックスを感じる必要はありません。

ネイティブでも技術文書を書く訓練は必要

私が初めて書いた英語論文(第3章)の抄録添削をそのアメリカ人先生にお願いしたことがあります。抄録(abstract)とは150~200語で書かれた論文の要旨です。この部分で論文の予備審査をすることもあるので、決して手抜きはできません。

その抄録の中で「複雑な計算」という部分を先生は“hard calculation”と教えてくれました。この表現は決して間違ってません。しかし、ビジネス文書であればカジュアルやフォーマルな表現の使い分けが要求されるように、技術文書にもそれに適した表現が求められます。

このケースでは例えば“complex computation”という方がよりフォーマルになります。

そういう意味では、ネイティブスピーカーだからと言って必ずしも英語による文章表現を熟知しているわけではないのです。もちろん日本人だって日本語の文章を書くのに精通しているとは限らないのと同じことです。当時自分の英語力が無いことを承知の上で、無理を言って貴重な時間を割いて添削していただいた先生には大変感謝しています。

英文でも技術系(理系)の英語表現に特化した書き方を体系化した「工業英語(Technical EnglishまたはTechnical Writing)」があります。工業英検については別記事で解説させていただきます。

関連記事:工業英語の考え方と工業英検対策

「言葉はマスターできない、ネイティブだって間違える」

ある日、私は先生に“I want to master English.”と軽い気持ちで言いました。それに対する先生の返事はこうでした。

英語はマスターできない。なぜならネイティブスピーカーだって間違える。

どうでしょう?私は「マスターする」という言葉の重みで頭を殴られた感覚で、すごく恥ずかしく思いました。それとも先生が謙虚な方だったからでしょうか?

確かに、我々日本人も日本語を全く正しく教科書通り話しているのか?方言は?隠語や汚い言葉もたまには使ってないか?と考えるときりがありません。

「英語をマスターする」とはとても響きの良い言葉で、教材を売るには格好の謳い文句です。でもそれにつられてはいけません。少なくとも私にはコツコツやるしかありませんでした。

こういうことに気づかせてくれただけでも、英会話教室に行った価値があったのかもしれません。この一言で私は「英検1級、TOEIC900点」よりも「資格もとりつつ、ちゃんと使いこなせる英語身につける」という英語学習を徹底することに決めました。

この頃はまだTOEIC対策はしてませんでしたが、使えるレベルを想定した当時の目標は730点でした。

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