中学英語はフィードバックが大切?理系目線の音読学習法

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英語を学習してきて強く思うこと、それは「どうして英文が理解できないのか」。この疑問について、理系的な目線による説明をしてみたいと思います。

日本人は中学・高校で英語の勉強をしていますし、日常生活では横文字を使っています。しかし、なぜ英語が聞けない/読めないのでしょうか(話す/書くはここでは扱いません)。例えば「単語力(ボキャブラリー)」や「文法力」などの要因も考えられますが、どうもそれだけではなさそうです。

この記事では、ある程度の単語力・文法力があるのに「どうして理解できないか」という説明と、私自身がその悩みの解決に導いた音読の方法についてまとめました。

英文が「読めない/聞き取れない」のは「フリーズ」するから

私自身、何年か英語学習を進めていくうちにある体験をしました。それは英語ニュースの教材で音読していた時のことです。「原文を見れば文章は読めるのに、音声だけ聞いても何を言っているのかわからない」という経験でした。

英語ニュースの教材で音読をはじめて最初の3か月でTOEICスコアが95点上がりました(545→640)。しかし、その後継続して音読を続けても、スコアが上がらなくなりました。それが何故か理解できず、TOEICスコアも700点台で何年も停滞していました。

この状態を打破するために他の学習法も手を出したところ「中学英語の教科書の音読」が良いということを知り、何冊か音読を試してみました。そしてやっと気づきました。

それは「スピード」でした。つまり「脳が素早く英文を処理できるようにスピードを鍛えなければならない」ということでした。そのことを技術的な目線でいえばどういうことか考えたところ「パソコン(スマートフォン)がフリーズするのと同じだ」という考えに行きつきました。

データも英文も「短時間」で「大量に」処理する必要がある(イラストはイメージです)

パソコンやスマホで「フリーズ」した経験はありますでしょうか?パソコンやスマホは大量の情報を一気に処理しているように見えますが、実際は1つ1つの計算(命令)をものすごい速さで処理しています。フリーズの原因のひとつは、大量の計算に脳(CPU)が追いつかなくなって動きが止まってしまう事です。

私はずっと「大は小を兼ねる」という観点で学習していました。しかしこれは都合の良い捉え方でした。実際はこう考える必要がありました。

×「長い(難しい)英文」が処理できれば「短い(簡単な)英文」も処理できる
「短い(簡単な)英文」が処理できなければ「長い(難しい)英文」も処理できない(処理が追いつかなくてフリーズする)

言われてみればそうですよね。先に入ってきた文章を先に処理しなければ、後から入ってくる文章の処理に追い付かなくなり理解できなくなるのです。

決してニュース英語の音読が教材として悪かったわけではありません。問題なのは、実践的な英文で訓練する前に、もっと簡単な英文で徹底的に訓練しなかったことです。ある程度英語力が上がると、簡単な英文を「こんなの簡単すぎるよ」と軽視してしまいます。それが壁となって成長が止まってしまったのです。

私は横着してニュース英語の教材でずっと音読していましたが、原点に立ち返り中学レベルの英文を徹底的に音読することで停滞を打破することができました。簡単な英文を高速で処理できるまで脳を鍛える必要があったのです。

音読は「フィードバック」を考慮したチューニング

改めて、音読の意味について考え直しました。

音読は「声に出す」ことと「出した声を聴く」という二つのプロセスからなる学習法です。このプロセスが理系的に何かと考えたら「フィードバック」に行きつきました。図にするとこのようになります。

英語の音読は理系的に「フィードバック」(イラストはイメージです)

図の左の「伝達関数」については難しいので知らなくても問題ありません。大切なのは左右の図に関連性があるということです。

暑い夏の部屋でクーラーを使うとしましょう。部屋の温度を30℃(現在値)から25℃(目標値)にしようとクーラーの電源を入れます。クーラーが「冷たい風を出す」のは「今の室内温度が目標値とは違う(30℃≠25℃)から」です。部屋の温度を25℃まで下げるためにクーラーは冷たい風を出します。

しばらくしてもう一度室温を測り、28℃だったとしましょう。28℃であればまだ「今の室内温度は目標値と違う(28℃≠25℃)」ので、引き続き冷たい風を出します。ここで測定した温度が25℃であれば、「今の室内温度は目標値と同じ25℃」で冷たい風を出すのをやめます。

このように、今の室温を確認しながら冷たい風を出して目的の温度にする。あくまでも一つの例えですが、理系的にはこれを「フィードバック制御」と言います(理論的な厳密性は省略します)。

この例えを音読にも当てはめてみましょう。英文を声に出すと「現在」の自分の発声がわかります。そして「目標」をネイティブの発声(を理解するのが目標)とすれば、そこには少なからず「自分の読み上げとネイティブの読み上げの違い(差)」が生じます。

実際にネイティブのような流暢な発音にならなくても、そうなろうとする意識により脳が活性化すると考えられます。意識してネイティブ発声に近づこうと「調節」する。これが結果的にリスニング力や発音の改善につながるのではないでしょうか?

言い換えれば、ネイティブ発音と自分の発音の差が埋まるように「チューニング」するのが音読ではないでしょうか。

中学レベルの英文を「言い換え」ながら「繰り返し」音読しよう

音読がフィードバックを使ったチューニングであることを説明しました。ではどのように音読すれば効率が良いのか、フリーズの話に戻って説明しましょう。

短い(簡単な)英文を素早く処理する必要があるという話をしました。簡単な英文であれば、中学校の英語の教科書(CD音声付き教科書ガイド)がお手本となります。この教科書を声に出すのもいいのですが、さらに効率を上げる方法があります。

それは「言い換え」です。図で説明しましょう。

短い英文の「言い換え」と「繰り返し」でチューニング(イラストはイメージです)

英語学習の最初の段階では数字や日曜日~土曜日といった曜日、果物、スポーツ、乗り物といった基本的な単語に触れます。また、「現在形」や「過去形」といった基本的な文を勉強します。これらを組み合わせると、図にあるような「似ているけれども違う文」が作れます。

このような短い文を複数作って「一つのパターン」として音読すると、同じ音読でもより負荷が増えます。短期間で筋肉が付くように筋トレのプログラムを組むように、短期間で「英文を素早く処理する脳(いわゆる英語脳)」を鍛えるためのプログラムを組むのです。

私が実際に使ったおすすめ教材

では、どのような教材を使うのが良いのでしょうか?中学英語の教科書は簡単な英文があるのはいいのですが、言い換えを含めたパターンとしては十分ではなく自分で準備する必要があります。言い換え英文のパターンがを自分で準備しなくても、既に用意された教材があります。それがこちらです。

この本は私が購入して試した中でコストパフォーマンスが良かったです。中学レベルの短い簡単な英文でかつ、言い換えパターンも含めた音声トラックが用意されています。また、収録音声はMP3でダウンロードできるので、CDをパソコンに取り込む必要なく直接スマートフォンで再生することができます。これなら通勤中や隙間時間でも学習できますね。学習者に配慮された良く工夫されている本です。

この本は著者であるJames M. Vardaman氏ご自身が、日本語を学習された際の方法を英語に適用したものです。著者自身が外国語を習得する苦労を経験したからこそ、こういった形の教材としてまとめることができたのでしょう。

チューニングするための音読方法まとめ

方法論と教材を一通り説明しましたので、私が実際にやった具体的な音読方法をまとめます。ポイントは3つです。

  • 1日1ページ分(音声の1トラック分)だけ音読する。
  • 1トラックを合計20回音読する(詳細は後述)。
  • 上の2つを3か月以上(できるだけ)毎日続ける。

これらのポイントを解説しましょう。

私の経験上、収録音声は1トラック1分以内となっているケースが多いです。そして、1分の収録音声を20回音読するには20分必要です。しかし実際には1トラック1分以上の収録音声もあります。そこで、収録音声の長さにかかわらず1日の音読回数を20回として、学習時間を30分以内とします(目安です)。これなら忙しいサラリーマンでも時間が確保しやすいですね。

実際にもっと大切なことは、毎日続けることです。毎日のモチベーションを維持するためにも1日1ページ(1トラック)として、毎日少しずつやるようにするのが続けるコツです。欲張って一度にたくさんやろうとすると、継続することが苦になってしまいます。

一日20回の音読ですが、その内訳については自分の状態に合わせて工夫が必要です。私は下記に示すようなやり方としました。恥ずかしいかもしれませんが、ネイティブの音声を真似て声に出してみましょう。

  • 最初の10回はテキストを見ながら収録音声の後に続けて声に出す。
  • その後10回は収録音声なしで、テキストを見ながら音読を10回やる(最初の10回と合わせて計20回)。
  • 慣れてきたら収録音声を使った声出しは5回、その後の音読は15回とする(合計20回は変えない)。
オーバーラッピングと音読を組み合わせた「チューニングメソッド」(イラストはイメージです)

収録音声の後に続けて声に出すことを「オーバーラッピング」と言います。最初は収録音声という「お手本」を真似しながら声に出して「収録音声が読んだ文章と自分が発声した文章の差」を認識しましょう(フィードバックです!)。そして何回もオーバーラッピングをしてまずは英文に慣れましょう。ウォーミングアップだと考えてください。

慣れたあと「差」を縮められるように、収録音声を使わずに音読を続けましょう(調節です!)。もちろん1回で差を縮めることはできないので、反復練習が必要になります。そこで合計20回となるように音声なしで音読をしましょう。

私自身も最初はつっかえてうまく声に出せませんでした。ただ不思議なことに、私の経験では15回くらい声に出すと「スラスラ言えるようになる感覚」になりました。これが私には快感で、毎日続けるモチベーションの維持につながりました。

あとは「継続あるのみ」です。まずは3か月続けてみましょう。効果が出れば、あるとき急に「理解できる」ようになります。ただ個人差があるので、どのタイミングで改善があるかは一概には言えません。

まとめ

効果は人によってまちまちですが、音読はやり方次第で効果がでます。特に私はリスニングができなくてずっと悩んでいたので、改善されたときは本当にうれしかったです。

この記事の内容をまとめましょう。

  • リスニング/リーディングが理解できないのは脳が英文を短時間で処理できずにフリーズするから
  • 音読というチューニング(フィードバック)で「ネイティブの発声と自分の発声の差を縮める」ように鍛えよう
  • 中学レベルの英文を「言い換え」と「1日20回の繰り返し」で毎日続けて「英文を素早く処理できる」ように鍛えよう

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