英英辞典にメリアム・ウェブスターをおすすめする理由と使い方

[この記事は約 13 分で読めます]
メリアム・ウェブスター英英辞典外観

英語学習でよく言われることの1つに「英英辞典を使うべきか?」というものがあります。

「英語を英語のまま理解する」といった英語の回路を鍛えるという目的では英英辞典を使っても良いでしょう。しかしこの学習は上級者以上でないと難しくて挫折の原因になります。

また英英辞典はたくさん売られておりどの辞書を買えばよいのか迷うかもしれません。

この記事では私が徹底的に使用した「メリアム・ウェブスター英英辞典」を紹介します。メリットとデメリット、そしてどうやって使ったのか、実物の写真もお見せしながら解説します。

メリアム・ウェブスター英英辞典を絶対使うべき3つの理由とデメリット

英英辞典を購入する目的は「英語力を向上させるため」です。この目的を達成するためにはどういう視点で選べばよいのでしょうか?

メリアム・ウェブスター英英辞典を使うべき理由は3つあります。詳しく解説しましょう。またデメリットについてもきちんと説明します。

理由1:コンパクトサイズで手に取りやすい

英英辞典のサイズ比較
メリアム・ウェブスター英英辞典はペーパーバックサイズなのが特長

英英辞典のサイズは小さいほど「手軽に使いやすい」というメリットがあります。

メリアム・ウェブスター英英辞典はペーパーバックのサイズです。シドニー・シェルダンなどの洋書を読んだことがあれば、このサイズには親しみがあるはずです。

一方、他の辞書はどれもメリアム・ウェブスターより大きいです。上の写真は私の同僚が所有している英英辞典と、私のメリアム・ウェブスター英英辞典を並べてみました。大きさの違いは一目瞭然です。

大きい辞書を購入するとどうなるのでしょうか?購入前は「英英辞典を買ってガツガツ単語を調べて英語を習得するんだ」と意気込むはずです。

しかし実際には、辞書を手にとってページをめくるのに労力が必要です。大きいと本棚や机から手元に持って来て、さらにページをめくる手間は心理的に面倒なのです。いつのまにか辞書はオブジェと化してしまします。

実際、同僚はこのサイズ比較に使った英英辞典を購入後ほとんど使っていないそうです。私もメリアム・ウェブスターを購入する前に別の英英辞典(たしかコウビルド英英辞典)を購入した経験があり、同じようになりました。

ペーパーバックのサイズであれば話は違います。場所をとりにくいので机に置いておけますし、単語を調べなくても何気なく手に取ってページをパラパラめくることができます。そして目に入った英単語の意味をつい読んでしまうのです。

これくらい、手軽さは実はメリットなのです。心理的なハードルって意外と大きいのです。

「辞書のサイズが大きければ文字も大きくて見やすいのでは?」という指摘もありそうです。しかしそれならスマートフォンやネットの辞書を使えば文字サイズは自由に変えられます。あえて紙の辞書で文字の大きさにこだわる必要はありません。

手に取ることを習慣化するだけでも、触り続けることで自分の辞書に愛着がでてきます。後述しますが、カスタマイズしたり書き込みをしながら英単語を調べることで「自分だけの辞書」が出来上がります。そうなればこっちのものです。

理由2:値段が安くコスパが良い

辞書背面に貼られている価格のラベル
フィリピン・セブ島で購入したので価格は265ペソ(当時のレートで609円)

私はフィリピン・セブ島のアヤラモールでメリアム・ウェブスター英英辞典を購入しました。語学留学中にフィリピン人の先生が使っていた同辞書を見て「あれくらいボロボロになるまで使い込まないと英語は上達しないんだろうな」と思って購入しました。

当時の購入価格は265ペソ、当時のレートで約609円でした。レートの違いなどはあるものの、いま売られている最新版も価格に大きな違いはありません。

一方、他の英英辞典は総じて数千円以上します。日本で入手できる英英辞典は大きさもさることながら価格もしっかりしています。どうせお金を出すならコストパフォーマンスの良い方を選びたいですよね。

せっかくしっかりした英英辞典を購入しても、使わずに本棚行きになってしまったらお金を払った意味がありません。そういう意味でもここでは「値段が高い→学習に意欲が出る→効果が出そう」という概念は捨てましょう。

安く購入してボロボロまで使い倒す。コスパは最高ではありませんか?

理由3:意味が簡潔に書かれている

スクリュードライバーの意味
スクリュードライバー (screwdriver) の意味(オレンジでマークされた部分)

大きくてしっかりした辞書にはイラストによる解説や語源の解説もあります。英語の知識を増やすためにはそういう情報も必要です。

しかしまずは英語力を上げる。この記事を読んでいるあなたにとってはそれが目標のはずです。

メリアム・ウェブスター英英辞典にはイラストや語源の解説はありません。しかし意味が簡潔に書かれているため、下記のような使い方ができます。

  • 英単語の意味を別の簡単な英文で理解する
  • 類義語や同義語 (synonym) を関連して覚える
  • 英単語の言い換え方法を学ぶ

実際に私が使った方法はこの後詳しく解説します。ここでは意味がシンプルに説明されているという根拠を説明します。

写真の例はスクリュードライバー (screwdriver) という単語を調べました。以下の2つの意味があります。

  1. a tool for turning screws (ネジを回すための工具)
  2. a drink made of vodka and orange juice (ウォッカとオレンジジュースから作られる飲み物)

どちらの意味も少ない英単語数で説明していますね。しかも難しい英単語は出てきません。これが重要なポイントです。

例えば、工業英語などの専門英語では一文を18語以内にするというルールもあります。工業英語は誤解を与えない英文の作成を目的としています。そのため意味的に無駄な単語は削除して3C(明快に、正確に、簡潔に)を徹底します。

メリアム・ウェブスター英英辞典の解説はこの3Cの考え方に沿っているといえそうなくらい無駄がありません。実際に screwdriverの例では解説がそのまま定義文として使えます。こんな感じです。

A screwdriver is a tool for turning screws.

1つの意味は簡潔に書かれているものの、複数の意味がある場合のカバーはきちんとされています。 screwdriver にはねじ回しの意味だけでなく、飲み物(カクテル)の方の意味もこの辞書はきちんと教えてくれます。

詳しい情報はネットで調べればいいのです。英英辞典で単語力を鍛えるのであれば、これくらいの意味の解説で十分でしょう。

デメリット:ボロボロになりやすい

ページの破れ
ページがはがれやすいというデメリットもある

ここまではメリットばかりを強調してきました。しかし当然ながらデメリットもあります。

値段が安いペーパーバックという作りである以上、耐久性はありません。写真に示す様に私の辞書はすでにページがはがれかけています。ページがなくなったら辞書の役割を果たせなくなります。

私が実際にメリアム・ウェブスター英英辞典を使用したのは語学留学中の1か月間、集中的に辞書を引きまくりました。その後移住先のシンガポールにも持参しましたが、使用頻度は減りました(シンガポールに移住してからは日常英会話とビジネス英会話という実践で鍛えた)。そこから約3年間はほぼ本棚で保管していました。

もし1か月以上使い続けていれば、今はもっとボロボロでしょう。ページがはがれる以外にもシミが付いているなど、きれいな状態ではありません。

言い換えれば、使い込むことで私だけの辞書に仕上がり、いい感じに味が出てきています。なのでボロボロになるのがデメリットかメリットか、人によって意見が分かれるでしょう。

何度も書きますが、英英辞典は飾りではありません。オブジェでもありません。いいものを購入して使わないくらいなら、安い本書を引きまくってボロボロにした方が学習の跡が残って良いと思いませんか?

使い方実例:私はカスタマイズして使い倒した

ここからは私がどのようにメリアム・ウェブスター英英辞典を使ってきたのかをすべて公開します。私のような平凡な人間がいかに必死に英語を学習してきたのか、少しでも伝われば幸いです。

A–Zの目印を自分で書いた

AからZまでの目印
A–Zの目印を蛍光マーカーで書いた

メリアム・ウェブスター英英辞典は普通のペーパーバックです。他の辞書であれば当たり前のようにある目印がありません。辞書を効率的に引くには必須なのですが。

そこで写真に示す様に、蛍光マーカーでAからZまでの目印を自分でつけましょう。各アルファベットのページ範囲が「どこからどこまでか」をめくって探し、範囲となるページの束を片方の手(指)でつまみます。反対の手でマーカーを持ち、写真のように塗ります。

アルファベットは全部で26個ですが、実際にはJ–K, X–Y–Zなど複数の項目を1つにできます(ページ数が少ない)。全アルファベットで個別にマークするかどうかはご自身で判断してみましょう。写真では右端にある付録ページもマークしていますが、無理してマークする必要はありません。

この作業だけでも実は30分くらいかかります。私はセブ島のアヤラモールで購入後、滞在先のホテルでコツコツマークしました。実際に面倒だとは思いましたが「この辞書で英単語を引いて英語脳を作るんだ!」という意気込みでやりました。

この辞書を知り合いに見せると大体引きます。「自分はそこまで勉強する気にはなれない」と言われたこともあります。しかし私にとってこの辞書は「戦友」です。

面倒と思わずに「自分だけの一冊」を作る意味でもやりましょう。

単語を調べるたびに辞書に直接書き込みした

表紙の裏ページに調査回数の書き込み
単語を調べた回数と日付を表紙の裏ページに記録した

ここまでお読みになってお気づきかもしれません。調べた英単語と意味の英文も蛍光マーカーで線を引きましょう。単語にマークした写真はこの記事で何例かご覧になれます。

では何をきっかけに英単語を調べればよいのでしょうか?

私のケースでいえば、語学留学先の学校の授業で出てきた英単語をかたっぱしから調べました。

早朝の授業はCNNのニュースを題材としたリスニングテストでした。毎回20個弱の英単語が出題されたので、その答えとなった英単語をすべて辞書で調べました。意味の知っている単語も含めてすべて調べました。徹底的にやりました。

また他の授業(ビジネス英会話レッスン)で出てきた単語についても調べました。そのため日によっては80単語以上調べました。

授業は毎日夜8時までです。その後ホテルの部屋に戻って辞書で調べました。とてもハードな語学留学でした。

複数回調べた場合は赤いボールペンでも書き込み
複数回調べた単語は赤いボールペンで正の字を書いた(この例では計3回調べたことになる)

英単語を調べたところ、すでにマーク済みだった場合(2回目以降の場合)は赤いボールペンで正の字を書きました。上の写真 (yield) ではマークと正の字で合計3回辞書を引いたことになります。

とにかく書き込むことで、英単語情報のインプット量を増やしました。私は記憶力に自信がなかったため、少しでも脳に学習したという跡を残したかったのです。

表紙裏に書き込みした辞書引きの回数の記録から、1,943回辞書を引いたことがわかります。受験英語でおなじみの英単語ターゲットは収録単語数が1,900です。同じ単語を複数回調べているものの、単語帳1冊分の単語数は調べたことになります。

蛍光マーカーは2本持参したのですが、2本とも留学中に使い切りました。自慢ではありません。本当にそれくらい必死に学習したのです。

しかしその成果があったためか、語学留学後の TOEIC スコアは850点を取ることができました(留学前から100点アップ)。そしてシンガポールの会社の内定を取ることもできました。

関連記事:英語習得物語 第12話:~そしてフィリピン・セブ島留学へ~(語学留学したときのめちゃくちゃ詳しい話)

言い換えが学べてTOEIC対策にもなる

言い換えが学べる英単語の例
言い換えが学べる英単語の例

TOEIC 攻略の1つのポイントは言い換えに対応できることです。リスニングの Part 2 や リーディングの Part 7 などでは、言い換えを理解していることが正答を選ぶポイントになる問題があります。

メリアム・ウェブスターは意味を簡潔に説明しています。その中には単語1語だけのものもあります。同義語や類義語のことです。これが言い換えを学ぶキーポイントです。

上の写真の例は always の意味です。以下の2つの意味が書かれています。

  1. at all times: invariably
  2. forever

この単語が具体的にどう言い換えができるのでしょうか?最初の意味の例で紹介します。

飛行機に乗っているとしましょう。「(万一の揺れに備えて)シートベルトは常にお締めください」というアナウンスがありますね。かっこを除くこの文は以下の3つの英文が同じ意味になり、言い換えができることになります。

  • The seat belt should always be fastened.
  • The seat belt should be fastened at all times.
  • The seat belt should be fastened invariably.

このように、ほかの単語でも言い換えについて検討することができます。 TOEIC の問題集などで学習の際に辞書を引くのであればこういう使い方をしてみてください。

関連記事:中学英語はフィードバックが大切?理系目線の音読学習法(短い英文の言い換えは音読効果も期待できる話)

電子辞書もあるが英語力向上ならまずは紙を使おう

最後に「電子辞書ではダメなのか?」という疑問についてお答えします。

私の答えはここまで書いた通り「英語力向上という意味では紙に書き込む学習スタイルにすべき」です。そのため学習と割り切ってペーパーバック版の購入をおすすめします。

ちなみに私はメリアム・ウェブスター英英辞典の電子版も購入して持っています。ネットのオンラインツールではなくCD版です。なぜでしょうか?

英語で仕事をするために、電子辞書もカスタマイズしているからです。私の本業はエンジニアですが翻訳の仕事もあります。技術文書という専門的な英語を扱う立場として、自分が使う辞書もカスタマイズすべきという持論があります。

実際に私のスマートフォンにはカスタマイズを前提とした辞書アプリが入っています(有料)。またメリアム・ウェブスター英英辞典の電子版には音声データがあるため発音の確認もできます。

辞書のカスタマイズについてはこの記事の趣旨から外れるため別記事で解説します。私の主張は、学習目的であれば電子版ではなく紙を使うべきです。

まとめ

紙の辞書を引くのは時間がかかります。また手軽に使えるツールも増えているのにあえて紙の辞書を使うのはイケてないかもしれません。

しかし紙に書き込むなど手を動かして訓練することが効果的なのは私自身が実証しています。別の記事でも解説しましたが、語学学習はある種のダイエットです。面倒でも、時間がかかってもこの方法をおすすめします。

この記事をまとめましょう。

  • メリアム・ウェブスター英英辞典のメリットは「コンパクト、低価格、簡潔な意味」なこと。大きい辞書を買ってオブジェにするくらいなら、安くてコンパクトな辞書を使い倒した方がコストパフォーマンスは絶対良い。
  • デメリットはペーパーバック版なのでボロボロになりやすいこと。しかし使い込むほど「自分だけの辞書」となり愛着が出てくる。
  • 目印を自作し、調べた英単語にマークを書くなどカスタマイズしよう。手を動かしたインプットの方が長い目でみて効果的。
  • 意味が簡潔に書かれているため、言い換えの訓練ができる。これは TOEIC 対策にもなる。

今回紹介した辞書について

Merriam Webster, 2016
この本の詳細を見る

この記事の執筆時点での市場に出回っている最新バージョンは2016年版です。現在売られている最新版と私が使用した辞書(この記事の写真)では表紙のデザインが一部異なりますのでご注意ください。

また最新版の購入についても注意が必要です。同じ表紙で異なるサイズの2種類が出ています。コンパクトなペーパーバック版は縦寸法が 17 cm のものです。このほか同じ表紙で 21 cm 版もありますので購入時には十分ご注意ください。

外部リンク:Dictionary by Merriam-Webster: America’s most-trusted online dictionary (メリアム・ウェブスターの公式サイト兼オンライン英英辞書)

まとめページ「英語習得物語 目次」に戻る