高卒や大学新卒でも海外で働けるか?難しい理由と突破口

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高校や大学を出てすぐに海外で働くことは可能でしょうか。無理ではありませんが、超えなければいけない厳しいハードルがあります。

この記事では、私が知る限りの海外就職の可能性と理由について解説します。働き方そのものが変わっていくことで学歴というバリアは無くなっていくのではないでしょうか。

高卒や大学新卒で海外で働けるか?
高卒や大学新卒で海外で働けるか?

高い給与を払ってもらえるほどの経験をアピールできるか?

高卒や大学新卒の人には職務経験がありません。

アルバイトやボランティア活動などの経験があったとして、その経験が入社後に活きるだけの価値があるか、採用担当者に伝えることはできますか?この点がとても重要です。

ビザを出す条件はどの国でも同じです。「その国の(経済的)発展に貢献してもらえる人材かどうか?」です。言い換えると「その国できちんと税金を払ってくれる人」です。学歴や犯罪歴を審査する国もありますが、第一条件ではありません(学歴については後ほど)。

就労ビザの審査の第一条件は「給与額」です。就労ビザ発給条件となる最低給与額は、ローカル社員さんの平均給与額よりも高く設定されています。そしてどの国も年々最低給与額は上がっています。

このような、現地基準で高めの給与を払ってでも採用したい人材か?履歴書や面接でアピールしなければいけません。後述しますが、会社がたとえ採用OKでも国の労働局が就労ビザ発給NGとする可能性もあります。

こういったリスクを考えると、経営側は大学を卒業して正規社員として就労経験を積んだ人を採用したくなります。その方がはるかに就労ビザが出やすいし、採用する会社の戦力としてもメリットがあります。

高卒や大学新卒にはそれだけのハードルがあるのです。

同じ理由で、就職/転職エージェントも高卒の人の対応を嫌がります。エージェントは会社と求職者のマッチングを成功させて報酬をもらうのが仕事です。マッチングする可能性が低い高卒や新卒ではリスクが高く、お金にならないのです。

ここまで説明した事情を知った上で、このような質問を私にした学生さんがいました。

年々就労ビザの発給条件が厳しくなっていると聞きました。もしそうだとすれば、大学を中退してでも厳しくなる前に海外の仕事に就くべきでしょうか?

関連記事:RYU×RYUフェスタ2018で沖縄の学生さんに海外就職のアドバイス

私はこう答えました「あせらずに大学を卒業して、社会人として経験を積んでから海外就職をした方が確実ですよ」。

夢をかなえるために、早めにアクションを起こしたほうが良いという気持ちは痛いほどわかります。ただこの学生さんのケースでは、就職活動が間近に控えていました。

人生の大きなイベントにはタイミングの問題もあるので、ここぞというタイミングでアクションを起こすのが大切ですね。人それぞれバックグラウンドや今おかれている状況が異なるので、できるだけその人に合ったアドバイスをする必要があります。

一般論で簡単にアドバイスはできません。

ビザを発給する条件が不明瞭なケースもある

ビザの申請条件は表向きにはルールが公表されているものの、実態としてはブラックボックスです。公表しているルールどおりだと言う人もいるのですが、私の個人的な経験でも審査官個人の感覚で決めているのでは?と疑うケースはあります。

会社が採用OKでも、就労ビザ発給NGとなるケースはあります。他人から聞いた話になってしまうのですが、シンガポールでビザが出ず内定取り消しになったケースを何度も聞きました。大学卒で社会人経験があってもNGになります。

これまで説明したように、ビザの申請条件はまず給与額です。次にチェックされるのが学歴と職務経験です。採用する仕事にふさわしいバックグラウンドを持った人材でない場合、ビザNGとなるケースがあります。

1つの例を紹介します。大学では経済学を専攻したけれども、仕事がエンジニアだとします。この場合、仕事の内容と大学で経験したことがミスマッチだと指摘されて就労ビザが拒否されました。

この例の場合、IT系の仕事であれば大学でComputer Science専攻で、かつエンジニアの職務経験が○年以上でないと就労ビザを許可しない国があります。逆に専攻と職務内容が違っていても、給与額の条件を満たせば就労ビザを出す国もあります。

このように国により本当にケース・バイ・ケースです。

ビザがNGになる半面、新卒で海外の仕事に内定した人に会ったこともあります。この人の場合は博士卒で、大学院での研究内容と職務内容はマッチし、かつ給与の条件もクリアした(高度人材として期待された)ので就労ビザが出ました。

関連記事:ビザって何?海外で活動するために必要な在留資格とは?

学歴フィルターもあるが、高学歴≠高偏差値

学歴についても同様で、審査基準に不明瞭なケースがあります。

そもそも学歴には2つの解釈があります。

  1. 高校卒か、大学卒か、修士卒か、博士卒か(本当の学歴)
  2. どこの大学を卒業したか(学閥)

日本でいう高学歴は偏差値の高い大学のことを言いますね。

しかし海外では違います。学歴とは学位の高さです。

高卒よりも大卒、大卒よりも大学院卒の方が難しい試験や学業を修めており、より高い潜在能力を持っていると考えられます。だからこそ、高学歴は高給取りとなる可能性も高い(高い税金も払ってくれる)ので就労ビザ申請に有利なのです。

学歴による有利不利を数字で比較できるケースもあります。もしオーストラリアで就労ビザを申請する場合、学歴にこのような点数が割り振られています。

  • 博士号20点
  • 大学卒15点
  • オーストラリアの学校で認定を受ければ10点
  • その他0点(日本の高校卒を含む)

もちろん学歴以外に年齢や英語力、実務経験も問われて総合的に審査されます。ただポイントを少しでも高くして審査に通るには、学歴も高いほうが有利なのです。

外部リンク:Skilled Independent visa (subclass 189) (Points-tested) stream (オーストラリア政府による就労ビザの解説)

では、大学の偏差値やブランドは全く関係ないのか?ブランド力が影響するケースもあります。

「タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)」や「QS世界大学ランキング」といったランキングに入っている大学を卒業しているとビザに有利になるという情報もあります。

外部リンク:World University Rankings 2018 | Times Higher Education (THE)

外部リンク:QS World University Rankings 2018 | Top Universities

このランキングに入る日本の大学は、早稲田、慶応、国立大学(旧帝大系)です。無名の大学よりもハーバードやオックスフォードのような、世界の誰でも知っている大学が履歴書にあれば確かに有利でしょう。

シンガポールではこういう噂もありました。参考までシェアします。

日大(日本大学)は英語でNihon University。大学に国名(Nihon/Japan)が入っているので、東京大学卒の人よりも就労ビザが有利なんだよね…?

このような噂が立つくらい、ビザの審査基準は不明瞭でブラックボックスなのです。

大学のブランドについてはこれ以上説明しません。

このシリーズ「海外就職のトリセツ」は、普通の人たちへの海外就職のノウハウを提供したいのです。こういう判断基準も存在するということをお伝えしたかっただけです。

それでも海外就職したい人への突破口は3つ

とりあえず海外に出てみる

ここまでネガティブなことばかり書いてしまいました。希望はないのでしょうか?

高校卒や大学新卒でも海外で働ける方法を考えました。

  1. 海外インターンシップかワーキングホリデーで渡航→現地で仕事を探す。
  2. 日本国内の会社に入社→駐在員になる。
  3. 企業家ビザや投資家ビザで渡航するか、ノマドワーカーになる。

あなたがまだ学生であれば、海外インターンシップで職務経験を積めるチャンスはあります。もしすでに日本で働いているのであれば、ワーキングホリデービザで渡航して現地でアルバイトを見つけることができます。

滞在先の会社の人と仲良くなったり、自分をアピールできれば採用してもらえる可能性はあります。知り合いやツテ・コネで仕事を見つける方法は今でも通用します。

海外インターンシップやワーキングホリデーを紹介している会社はたくさんあります。まずは情報収集してみるのはどうでしょうか。国によってビザの発給条件がケース・バイ・ケースなのはこれまで解説したとおりなので、行動してみないとわかりません。

関連記事:海外就職や移住に役立つ求人・転職・ローカル生活情報サイト一覧

注意点も説明しなければいけませんね。

海外インターンシップは、外国にある日本の会社で働くはずです。日本人の職場だと外国でも日本語でしか仕事をしない可能性があります。またインターンということで重要な仕事は任されない可能性も高いです。

そういったインターン経験は就活時や転職時にアピールポイントになるかわかりません。

関連記事:海外就職で求められる英語レベルはどれくらい?

ワーキングホリデーの場合できる仕事は限られます。たいていは飲食店などのサービス業になります。現地でどのような仕事ができて、さらにその先のキャリアはどうなるのか、何とも言えません。自分の意思が強くないと流されてしまいます。

渡航して仕事に就いたら、定時後や休日の時間も現地の空気を五感で感じて「本当に海外で働いて生活したいと思えるか?」を決断してください。

海外で定住したい目的は何ですか?遊んで友達を作りたいなら旅行で十分です。人生の大切な決断なので、目的意識だけはハッキリさせてください。

海外でなんとなくキラキラしたいのであれば、お勧めしません。

日本のサービスの海外進出役になる

駐在員になるには有名企業に入る必要があるから学歴は必要なのでは?とお考えかもしれません。実はそうでもない業界があります。

それは飲食業界です。学歴不問ですね。

近年は和食が世界的ブームで人材が不足しています。日本と同じレベルの料理を提供できる職人さんや店舗マネージャとして赴任する方法があります。

外国で直接飲食店の仕事に応募をする方法もありますが、いきなり現地で仕事を探すのは大変ですし、働ける保障はありません。だからこそ、日本の会社の海外進出を狙って駐在員として赴任する方法があります。

実例を1つ紹介しましょう。

大学を中退して実質高校卒の子です。その子は語学留学の経験はありますが、留学後は日本国内の某飲食店で働いていました。その会社が海外進出することになり、駐在員を募集しました。その子はダメ元で駐在員のポストに応募したところ、なんと駐在員に抜擢されたのです。

本当に抜擢されるとは本人も思っていなかったそうです。選考したえらい人も「まさかあの子が本当に選ばれるとは」と驚かれたそうです。

このお話は駐在を勝ち取った本人から直接聞きました。

企業家や投資家、またはノマドワーカー

私が一番おすすめするのはこの方法です。

もしあなたが稼げる人であるなら、フリーランスや起業家ビザ、もしくは投資家ビザで渡航するのです。

初めに解説したように、その国の経済的な発展に貢献してくれる人材にビザは出やすいです。資金・経験・語学力があれば学歴をカバーできます。

これからの時代は、現地に定住せず国を転々としてノマドワーカーとして生きる方法もあるでしょう。

ノマドの海外就労についてはグレーゾーンなところがあります。本来であれば、観光ビザで入国して就労することは違法になる可能性があります。しかし観光ビザで海外出張しても問題ないという実態もあります。現地で報酬が発生しなければ大丈夫だとは思いますが、注意してください。逆にこの点を注意していただければ、今後間違いなく選択肢になるでしょう。

ここ数年で若手の起業家やフリーランスは増えています。会社に属さなくてもどこでも働ける時代は既に来ています。

関連記事:海外就職とは何か?働き方の種類と外国で日本人が必要な理由

まとめ

かなり厳しいことを書かせていただきましたが、いかがでしょうか。

正直、学歴とキャリアの間にもはや重要な関係はないと考えています。しかし、旧態依然とした大学制度が残っているおかげで、まだまだ学歴でキャリアの可能性を狭められているのは事実です。そのことをこの記事では書かせていただきました。

目的がハッキリしているのであれば、自分の今おかれている状況で全力を尽くしましょう。悔いの残らない様に頑張ってください。

はばたく理系はそんなあなたを応援しています。

この記事の内容をまとめましょう。

  • 会社がビザ拒否のリスクを取ってでも採用したい人材であること。
  • ビザ発給の条件は不明瞭なので、申請してみないとわからないケースが多い。
  • ワーキングホリデーや海外インターンシップで海外就労を体験してみるのも一つの方法。
  • 学歴不問であれば、飲食業の駐在員海外進出などはねらい目。
  • 起業家、フリーランス、ノマドワーカーとして海外で働く時代はすでに来ている。

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参考文献