ベルギーの住居と建物でよく物が壊れるおはなし
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ベルギーに引っ越して半年以上が経過しました。今の住居には満足しているのですが、やはり日本で借りる部屋と比べていろいろ不具合が起きます。
この記事ではベルギーの住居で起きた不具合をまとめました。日本では起きないことがありますので、ヨーロッパでこれから生活される方の参考になれば幸いです。
部屋の中の不具合あれこれ
ヒーターが熱くならない・熱くなりすぎる
部屋の中には備え付けのヒーターが2台あるのですが、どちらもうまく機能していないようでした。気が付いてオーナーさんに連絡しました。
オーナーさんが修理業者を手配してくれ、テクニシャンのおじさんが様子を見に来てくれました。気が付いたのは冬前だったので、助かりました。
このヒーターは暖房を ON にしても全く暖かくなりませんでした。慣れた手つきでおじさんが配線を確認したところ「チャージャーが故障しているから要交換」ということでした。部品の手配で 1 週間待ちましたが、無償交換でした。冬前なので不便も感じず助かりました。
部品交換後、 2 台のヒーターの熱を比べてみました。修理したヒーターの本体は適度に暖かく、もう一台は本体が熱すぎることに気が付きました。破裂したら困るのでもう一度修理業者に確認してもらったところ、もう一台のヒーターもチャージャーが故障しているということで交換してくれました。
2 度出てきたチャージャーというのはこの写真にある手のひらサイズの部品です。私はエンジニアなのに正直どういう働きをするのかは知りません。
このヒーターは夜間にエネルギーを蓄積し、朝部屋を暖めるために使うそうです。恐らくヒーターの電源はチャージ用とファン用で分かれているのでしょう。夜間はチャージ用の電源でこのエネルギーを蓄積(バッテリー?)しておき、朝はファンの電源でこの蓄積熱を部屋に巡回させるのでしょう。何らかの切り替えをやっているようです。
最初に不具合を連絡してから修理が終わるまでトータルで 1 か月ほどかかりました。とにかく修理に時間がかかるので、気が付いた時点でオーナーさんに連絡しましょう。
バルコニーのドアが完全にロックできない
次に見つけたのは、バルコニーのドアの取っ手が写真に示す様に完全に下まで動かせなくなりました。
この状態でもロックはできています。部屋も 5 階なので外からは侵入されにくいでしょうが、こういう事象は分かった時点でオーナーさんに連絡しておかないと、私が壊したことにされても困ります。
部屋を借りた時点ではちゃんと閉まりました。単純に私の力ではちゃんと閉まらないだけかもと思いました。なぜなら玄関のドアも外から閉めるときは勢いをつけて思いっきり動かさないと閉まりません(他の部屋も同じ)。
オーナーさんに連絡したら、オーナーさんが直々に直しに来ました。扉のヒンジを固定するネジが下にズレていたようです。なぜズレたのか?オーナーさんが言うには「道路の車の振動で下にズレることがある」とのことでした。
ヒンジの固定場所を元の位置に戻してくれました(無償)。定期的に扉の状態をチェックし、同じことが起きたらまた連絡してほしいとのことでした。
キッチンの換気扇が回らない
キッチンの換気扇が動かなくなりました。写真に示す様にダイアルを ON にしてもうんともすんとも言いません。
ダイアルを回してみて気づいたのは、以前と違って何かスカスカな感触でした。試しにダイヤルカバーを外したら、なんとスイッチを回す突起が削れて回せなくなったのをテープで補修していたようでした。
このテープのことはとりあえず触れずに(私が壊したことにされると困る)、オーナーさんには「換気扇のスイッチが入らない」と連絡しました。バルコニーのドアの修理時にこちらも見てくれましたが、こんな細工をされたことはオーナーさんも知らなかったようです。
ダイヤルカバーだけを購入して交換できるようなので、オーナーさんにお願いしました(これも無償修理)。それまでは細いペンチでスイッチを入れてほしいとのことで、ペンチを借りました。
冷凍庫のドアが壊れる
ベルギーの冷凍庫は、冷蔵庫の中に内扉で冷凍スペースを設けています。
ある日、冷凍庫の中の食材を取るために内扉を開けました。開けた内扉の上部に右手を添えたところ「バキっ!」と音が鳴り、内扉が落下しました。
ここまでくると本当にドリフのコントのようで、やっちゃったというショックが半分と、ツッコミたい気持ちが半分でした。いずれにせよ修理しないといけません。
以前加入した保険で直せるか調べてみましたが、今回は自損なのでカバーしてもらえそうにありません。
参考記事:ベルギーで賃貸保証金口座開設と火災保険を契約するまで
さすがに扉だけ交換は無理で冷蔵庫を丸ごと交換だろうと、冷蔵庫の相場価格を調べようと思いました。幸い今使っている冷蔵庫の型式がわかったため、Googleで検索したところなんと補修部品の通販サイトがトップで表示されました。
外部リンク: PARTS NL(オランダ語による補修パーツのオンラインショップ)
このサイトはホームセンターのようにプリンタのインクから配管、配線器具、オーブンの部品まで売っているようです。ヨーロッパの家電は補修部品を使って長く使うのでしょうか(モーターや冷媒がダメになるまで)。それとも冷凍庫の扉まで規格化されているのでしょうか?
日本でもし同じことが起きたら、メーカー修理か新冷蔵庫の購入でしょう。補修部品だけを購入して交換するのは確かにエコでしょう(冷蔵庫自体の消費電力が気になりますが)。
この件もオーナーさんに連絡したところ、無償修理してくれるとのことでした。しかしこの件だけは私の自損もあるので、パーツは自分で手配する予定です。ただ費用はオーナーさんに請求できるとのことで、とても助かります。良いオーナーさんに巡り合えたと心から感謝しています。
洗面台の蛇口が回らない
ベルギーの水は硬水なので、定期的にパイプのケアをしないと配管が詰まるということは知っていました。そのため、月一回は専用の洗剤かお酢をパイプに流して予防しています。
しかし、蛇口の栓の硬さは水質に影響するのでしょうか?トイレにある洗面台の蛇口から水が出せません。次に示す写真の左側の蛇口ですが(押したら水が出る蛇口ではない)、硬くなりすぎて左に回せず水が出せなくなりました。
入居時からすでに硬かったのですが、それでも手を洗うことはできました。しかし今は私の力ではほぼ回せないくらい硬くなりました。
オーナーさんは蛇口ごと交換してくれました。慣れた手つきで修理していたため、よくあるのかもしれません。交換後は問題なく水が出ます。
マンションのエレベーターも一か月以上故障
自宅だけでなくマンションでも不具合がありました。
ある時、エレベーターのボタンを押しても一向に反応が無く故障しているようでした。私は運動だと思って仕方なく階段を使っていましたが、中にはベビーカーを使う家庭もいてとても不便そうでした。
その後、 1 週間のうちに 3 度も止まり消防隊が出動して騒ぎになりました。エレベーターの中に人が閉じ込められたケースもありました。/p>
後日、エレベーターホールに貼紙がありました。曰く「一週間で 3 回止まったので、消防署の指導で修理と検査が完全に終わるまでエレベーターを稼働できない」とのこと。利用者の安全を考えれば当然のことでしょう。
それから一か月経過しても再開のめどは立ちませんでした。さすがに住民は怒りました。
貼紙の余白に手書きで「管理費の 65 ユーロを返して!」などかなり辛辣な書き込みがされています。ツイッターによる SNS での応酬ではなく、あくまでも貼紙というアナログな SNS で応酬が繰り広げられました。
私も管理費として 65 ユーロを毎月支払っているので、他の住民の気持ちは理解できます。部屋の物が壊れるのもそうですが、この国の人たちはメンテナンスに対する認識が甘いのでしょう。問題が起きて事が重大になるまで対処しないのが普通の様に思えます。
日本でもトンネルの定期点検の手抜きで天井が崩落する事故が起きたり、新幹線の台車に亀裂が入ったまま運転するなど、かつての安全神話が過去のものとなりつつあります。
自分の身は自分で守ることをお勧めします。
まとめ
私の場合は生活に支障をきたさないレベルの故障だったので、ラッキーな方かもしれません。不便なことはたくさんありますが、オーナーさんと信頼関係を築く意味でも何かあれば連絡しましょう。
それにしても、部屋のオーナーさんが普通に修理してくれたことに驚きました。私も DIY 男子として見習いたいところです。