検索エンジンに評価されるノウハウ『現場のプロから学ぶSEO技術バイブル』
この記事は約 6 分で読めます
今回の書評は『現場のプロから学ぶSEO技術バイブル』です。
Google公式情報をベースにした「信頼できるSEOの情報商材」
ブログやサイト運営をやっていれば誰でも、自分のコンテンツを検索結果の上位に表示されてアクセスされたいはずです。
SEO は Search Engine Optimization (検索エンジン最適化)の略です。意味は「自分(自社)のブログ(ウェブサイト)のコンテンツを検索結果の上位に表示するためにやるべきこと」でしょうか。
本書はこの SEO についての技術的な解説書です。バイブルという名前が付く通り、基本的な考え方から具体的なノウハウまで余すところなく情報が詰まっている本です。
この手の情報は今も昔も玉石混交です。いわゆる「情報商材」というものが今も市場に出回っています。本書もある意味「書籍」という名の情報商材です。
しかし情報商材というとどうしても、知識やノウハウを持っていない購入者に付け込んで情報を売るようなイメージがあります。私は情報商材を購入すること自体は否定しません。需要と供給の関係なので。
どうして情報商材ビジネスは無くならないのでしょうか?
SEO に関していえば、 Google はランキングアルゴリズム(どのウェブページを検索結果の上位にするかを決める根拠)を非公開にしているからです。検索エンジンは他にもありますが、ここでは最大手の Google を検索エンジンと同義にします。
実際にはすべてが非公開なわけではありません。「読み込みスピードの遅いページは評価を落とす」などの発表が定期的に行われています。
あくまでも数式などで示せるような「絶対的なルール」が分からないということです。 Google が初期に発表したページランクという考え方は数式も含めて論文と言う形で公開されました。
公式に情報公開がされていない以上、いい加減なことはいくらでも言えます。だから情報商材がビジネスとして成立するのです。
しかし本書は違います。
本書は Google や他のウェブ関連団体が公式に発表している情報だけを根拠にノウハウが整理されています。精神論や信頼性があいまいな情報は一切ありません。
もちろん本書で書かれた方法を実践しても SEO の効果を保証してくれるわけではありません。しかしそれでも、へたな情報商材を購入するよりも本書を購入する方が絶対に信頼できます。
私はワードプレスブログを始めてから、ここまで試行錯誤してきました。その経験から「他の情報商材を購入しなくても本書の内容は信頼できる」と言えます。本書の内容に従ってサイトを整備し、あとは検索ランクが上がるかどうかは運も関係する感じです。
本書を「ウェブサイトを持つなら最低限やるべき SEO のノウハウ」として紹介させていただきます。価格に対してコスパは間違いなく良いです。
バックエンド寄りのいわゆる内部対策SEOがメイン
「本書に書かれている内容を実践して自分のサイトを改善したい」のですが、注意点もあります。
本書のコンテンツは、記事を書くブロガーやライターよりもサーバーや HTML の知識を持つバックエンド側の人向けのものが多いです。そのため IT 技術に精通していないブロガーが読んでも「?」となる可能性があります。
上の図に示すように、どういう記事を書くべきかといった「コンテンツ SEO (chapter 8) 」、ユーザーや検索エンジンにとって有益な「サイト構造・リンク構造 (chapter 3) 」も本書では取り扱っています。これらの内容も Google や他の団体による公式情報をベースにしっかり解説しています。
ただし、同じテーマであれば以前に紹介した「のんくら本 (Google AdSense マネタイズの教科書)」があります。コンテンツメインの SEO や収益化を目指すのであれば、のんくら本の方をお勧めします。本書を最初に手にするのは危険かもしれません。
私はワードプレスブログを始めたものの、コンテンツ(記事)を作るだけでは満足できなくなりました。そこでワードプレステーマも自作して「技術的なバックグラウンドも理解したうえで、長くブログ運営をしたい」と思うようになりました。これが本書を購入した最大の理由です。
実際、本書を通じて以下のことを学ぶことができました。
- 適切な HTML マークアップをするワードプレステーマを完成させるには何を実装すれば良いのか(特に head タグ内の SEO について)
- サイトの高速化やセキュリティを考慮したサイトを運営するにはサーバーのどこをチェックすれば良いのか (Google はサイトの信頼性も評価しているため)
- ワードプレスブログを運営するうえで必要なプラグイン、不要なプラグインを区別する技術的な根拠は何か(余計なプラグインを入れて誤動作を起こさないようにする)
このように、ソースコードレベルで「無駄なく確実に読者に情報を届け、かつ検索エンジンに評価されるサイトにしたい」と考えている中級者~上級者向けの内容となっています。
ワードプレステーマを自作してウェブサイトの裏側を理解できた
自分でコードを書くことで中身の理解が断然深まる(上の画面は自作ワードプレステーマ POCO の記事の JSON-LD 構造化マークアップ)
本書の中で私が一番役に立った部分、それは「 Chapter 5 セマンティックなマークアップ」にある構造化コードでした。 Google 検索で上位表示させるだけでなく、カルーセル表示やリッチリザルト表示をさせるために必須のコーディングです。
実際に、 JSON-LD, Microdata, RDF などの構造化マークアップの具体的なコードや、各形式のメリットとデメリットを比較した解説があります。ブログを運営する側には気にしなくていい内容ですが、ワードプレステーマを自作するのであれば実装は必須でしょう。
私は大学で IT (情報科学)を学んでいたのですが、それでもウェブ系のプログラミングを避けているところがありました。今思うと不思議ですが、食わず嫌いでした。
しかし本書を読みながらワードプレステーマを自作してみて「こういう仕組みになっていたんだ」と理解を深めることができました。慣れるまで時間が必要なものの、言われてみれば納得できる内容でした。
そして上の図に示すような構造化データを出力するコードを実装することができました。
もちろん似たような情報はネットで調べれば出てきます。構造化マークアップについては本書を参照しなくても Google の公式情報をネットで調べれば十分かもしれません。
IT 技術は進歩が速いです。自分でテーマを自作していくうちにも最新情報が出てきます。
上の図の構造化マークアップについても、もっと複雑だがしっかりした構造化方法が Yoast 社から発表されました。せっかく実装したコードを見直して、数日かけて最新式のフォーマットで出力するようにアップデートしました。
このようなアップデートができるのも、本書を通じて SEO の「基礎」を十分に学ぶことができたからです。
本気で SEO に取り組みたい方は是非お手に取ってみてください。取り扱い範囲は広いものの、図と表を使ってしっかり解説しています。ごまかしは一切ありません。