ベルギーで就労する人のための所得税申告と調整方法

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日本のサラリーマンは会社が年末調整をしてくれるので、自分で確定申告をする必要はありません。一方、ベルギーではサラリーマンも自分で申告する必要があります。

この記事では私が税金の申告した経験を簡単にまとめました。細かいことは書けないので、こういうことをするという紹介程度にとどめたいと思います。

※この記事で紹介する内容は、私のような現地採用社員に適用されます。駐在員の場合優遇税制があるため、ここで紹介する方法が適用されないケースがあります。

外部リンク:BELGIAN TAX RETURN: HOW DOES IT WORK?| Commissioner Brussels (英語によるベルギーの確定申告の解説)

源泉徴収から申告・支払い・調整まで足かけ2年かかる

ベルギーの確定申告のスケジュール

上の図に示すスケジュールで所得税の処理と調整が行われます。

例として図中にある「前年」を2017年として、支払った税金が戻るまでの流れを説明します。

まず2017年1年間を通して、所得税と社会保障費を毎月源泉徴収します。これは日本と同じですね。

日本では同じ2017年の12月に源泉徴収票と年末調整(税金の還付)が行われます。年内で処理が終わりますね。

しかしベルギーでは2018年(図の当年の)2月末に、2017年の給与額や支払った税金の額が集計された書類をPDFで受け取ります。この書類は Form 280.10 と呼ばれ、日本でいう源泉徴収票に相当します。詳細は申告手順で解説します。

この書類だけではまだ申告ができません。遅れること3か月後の2018年5月末、政府から申告書類が郵送で届きます。この書類に必要事項を記入して6月末までに申告を終わらせます。

そこからさらに半年後、2018年の12月に「税金支払額の確定通知書」が郵送で届きます。この書類によって「支払った税金が戻ってくるか、もしくは支払い不足で追加で支払うのか」が確定します。

人によってはこの通知書は11月に着く人もいるようです。またサラリーマンであれば基本的に追加支払いはないはずです。

そして2019年(図の翌年の)2月末に払いすぎた税金が銀行振込で戻ってきます。

2017年に支払った税金が2019年に戻ってくる。そのため足かけ2年かかるのです。

ベルギー人と結婚したある日本人女性によると、これでもきっちり戻ってきているそうです。ある年の税金が戻ってこず、次の年に2年分一気に戻ってくることもあるとか。

いずれにせよ、大まかな流れとしてはこのようになります。

実際の申告手順

源泉徴収票が給料明細と別に届く

毎月の給料明細はsdworxという業者(給料明細の作成を代行する業者)が発行したPDFで受け取ります。

2月に給与明細とは別に Form 280.10 がPDFで発行されます。給料明細と同じシステムにアクセスしてダウンロードする形で入手します。この書類には前年に雇用主から支払われた給与、源泉徴収された税金、交通手当てなどの金額が細かく書かれています。日本の源泉徴収票に相当する書類です。

日本の源泉徴収票は小さい紙で、12月の給料明細と一緒に封された状態でもらった記憶があります。ベルギーの From 280.10 はA4サイズですが、PDFデータでもらえるので印刷するかデータのまま持っておくか選択できます。

この Form 280.10 に書かれている金額を後日届く申告用紙に記入します。税金を支払っている大切な証拠なのでデータのまま保管しましょう。

申告書の封筒が届くので記入して返送

確定申告書の封筒
左からオリジナルの封筒、手引きと下書きフォーム、税金の申告書本体、返信用封筒

5月末に茶色の封筒が届きます。みんな同じ封筒で届くので、この封筒を持っていたら「税金の季節だね」と言われました。

この申告書には下記の項目を記入します。

  • 銀行口座情報(過剰納税だった場合に返金額が振り込まれる)
  • 結婚ステータス(独身か既婚かで控除額が変わる)
  • 税込み額の総収入
  • 源泉徴収額
  • 通勤費などの手当て額
  • 日付と署名

サラリーマンの場合は先に紹介した Form 280.10 で各金額が計算済みです。各金額を Form 280.10 から申告書に書き写せばそれで終わりです。

ただし金額と合わせて正しい項目コードも書く必要があります。例えば上記の結婚ステータス(独身)は 1001-66 のように全項目に6桁の数字が割り振られています。写真の左から2番目の冊子がその項目コードの一覧なのですが、量がありすぎて正直税理士レベルじゃないとわかりません。

記入ミスがあると申告漏れとみなされ追徴課税を請求される可能性があります。私の上司は何年も記入ミスをして実際に多く支払っていたそうです(税務署にクレームして少し戻ってきたそうです)。たくさんの項目コードがあり混乱しますので、私は上司に教わりました。ひとりで考えずに誰かに相談しましょう。サラリーマンは同じ項目しかなので、1度わかれば2回目からはスムーズに書けます。

例外は家族のケースです。夫婦だったり、子供がいたり、副業をしていたり、家のローンや借金があると記入が複雑になり添付書類も増えます。ベルギー人と結婚した日本人の奥様方には難しすぎるため、ご主人に全てやってもらうそうです。

記入が終わった申告書はスキャナで取り込みPDFにしました。あとでトラブルになると嫌なので、データで記録に残しておいた方が良いでしょう。

申告書の原本は返信用封筒で送り返します。あて先は印刷されているため自分で記入する必要はありません。切手や送料も不要です。

返信の締め切りは6月末です。手続きは以上です。

オンライン申告もできる

税金のオンライン申告ページ
オンライン申告のポータルサイト、この画面では658,718人がオンラインで申告していることがわかる(英語ページなし)

この申告手続きはオンライン上でもできます。ただしICチップ付きの滞在許可証(IDカード)とカードリーダー付PCが必要です。

外部リンク:MyMinfin – Welcome (ベルギーの税金オンライン申告ポータルサイト)

今回私は利用しませんでしたが、記入項目がわかったので次回以降はオンラインで申告するでしょう。

オンライン申告の場合、締め切りが郵送よりも長いそうです。

後日談:銀行振り込みでちゃんと戻ってきた

税金支払額の確定通知書
税金支払額の確定通知書

2月の末、無事に「税金支払額の確定通知書」が届きました。

中を開けて書類を見ると、3,000ユーロという数字が。え?多すぎない?もしかして記入を間違えた?と焦って資料をくまなく翻訳して読みました(書類は居住地の言語で書かれており、私のケースはオランダ語)。

翻訳したら英語訳に refund と書かれていたのでホッとしました。

オンラインバンクの税金払い戻し画面
税金の過剰払い分が銀行振込で払い戻しされた

払い戻しは2月28日と書いてあったのですが、2日はやく26日にはきちんと振り込まれていました。何はともあれお金が戻ってくるのは嬉しいですね。

ご注意ください。初年度は多めに戻ってくるケースが多いとのことです。毎年これくらいの額が戻ってくることを期待してはいけません。

2度目以降は申告不要?

2019年度に届いた確定申告の書類

2019年5月下旬、確定申告の時期が来ました。

しかし今回は封筒が小さいです。なぜでしょうか?

中のレターを英訳して読んだところ「申告の簡略化のご提案」と書かれていました。

前回の申告をベースに、今回は申告内容(各コードと金額)がすべて書かれた紙が既に入っていました。返金予定額もすでに計算されていて「この申告内容で間違っていなければ、今回は申告不要です。年末に最終的な決定を再度通知するのでお待ちください。」と書かれていました。

「結局政府側は収入を把握してるんかい!」と思わず心の中で突っ込みました。自分が持っている Form280.10 の内容と既に計算されている内容を一応確認しました。内容に相違はありませんでした。

つまり、今回は紙の申告も電子申告も不要です。2度目から不要なのか、今年から制度が変わったのか、私にはわかりません。

簡略化した申請用紙は今回も同封されています。以下のケースでは申告が必要になるようです(抜粋)。

  • 申告内容以外の収入がある
  • 所有不動産に変更がある
  • 子供の人数が違う(出生などで人数が変わった場合を含む)
  • 税金控除になる経費がある

推定返金額は前回と違って€100強です。あの€3,000はやはり1度だけのようです。初年度だけ税制優遇があるのでしょうか?

追加払いを請求されるよりは良いですが、つくづくベルギーの税制については理解に時間がかかります。

まとめ

この申告を正しく行うことで、€200–€300が返ってくるとのことです。

私は今回が始めての申告なので、いくら戻ってくるかはまだわかりません。わかり次第シェアしたいと思いますが、返金は翌年だそうです。気長にお待ちください。

この記事の内容をまとめましょう。

  • Form280.10の情報をもとに自分で確定申告をする、ただし独身サラリーマンの場合記入はシンプル
  • 申告は郵送だけでなくオンラインでも可能、ただしカードリーダー付きPCが必要
  • サラリーマンであれば支払い済みの税金はいくらか戻ってくる

外部リンク:Belgium Tax Calculator(年収から税金と手取り額を概算するサイト)

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※2019.3.3追記:この記事を大幅修正して支払額やスケジュールを追加しました。

※2019.6.10追記:2度目以降は申告不要?を追加しました。

※この記事の内容は2018年の情報をベースにしています。ご不明な点はベルギーの税務に詳しい人にお問い合わせください。