TOEIC公式アプリでスコアアップできそうか?徹底レビュー

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TOEIC公式アプリを使ってみた

今はスマートフォンアプリで手軽に英語学習ができる時代です。本当に便利でうらやましいです。しかしアプリも情報もたくさんありすぎて、どれを使うのがよいか選べない問題もあります。

そこで 10 年以上英語を学習し、英語で仕事をしている私がアプリをレビューしたいと思います。

今回は TOEIC の公式アプリ “English Upgrader” をレビューしました。公式問題集はおすすめですが、このアプリはどうでしょうか?効果があるでしょうか?実際に使ってみた意見をズバリシェアします。

結論:正直、使いにくい

TOEIC公式アプリのメイン機能

まず結論を言うと、私のように自分の学習スタイルに合わせて設定や教材をカスタマイズしたい人には使えません。

その理由を詳しく解説しましょう。

このアプリには「リスニングモード」と「クイズモード」の 2 種類があります。このふたつのモードをそれぞれ細かくレビューしました。

リスニングモードは自分のペースで学習できない

リスニングモードレビュー

リスニングモードは上の図にあるように、画面上部に音声再生機能、下部にテキストが表示されます。

提供されている英文は TOEIC Part 3 の会話文形式か、 Part 4 のナレーション形式です。試験対策に使えそうですね。

テキスト表示部はスキットの英文、日本語訳、覚えるべき単語と熟語がワンタッチで切り替え表示できます。公式コンテンツを学ぶのに無料でここまで提供してくれるのは正直うれしいです。

音声部には再生ボタンとスキップボタンがあります。再生ボタンを押すとラジオ番組が始まったかのように、ラジオパーソナリティーによるイントロが始まります。番組途中に会話かナレーションの英文音声が再生され、そのあとパーソナリティーによる解説に続きます。

これが使いにくいです。なぜラジオスタイルのナレーションなのでしょうか?

このアプリで提供されているコンテンツは元々ポッドキャストで配信されていたからです。

学習したい英文の 1 スキットはおよそ 45 秒から 1 分程度です。しかしラジオスタイルになると 5 分以上になってしまいます。私が学習に使うとしたら無駄なコンテンツです。私は教材だけに集中したいからです。

NHK のラジオ英会話講座が好きな方には良いでしょう。ラジオ講座は生涯学習のツールとして素晴らしいです。また電車や車の移動中にコンテンツを聞き流す、といった使い方もできます。

いずれにせよ、聞き流すという学習法は受け身です。自分のペースで学習できません。ラジオパーソナリティーのペースに自分が合わせないといけません。

効率よく学習するにはもっと積極的にコンテンツに触れるべきです。辛口評価ですが、これが私のレビュー結果です。

次に紹介するクイズモードではスキットだけを繰り返し再生できます。リスニングモードよりこちらのほうが比較的に使いやすいでしょう。

※ iTunes の評価に「効果音がうるさい」という指摘がありました。正解/不正解のブザー音のことを指しているのですが、設定で消音にできます。そのためこの指摘はマイナス評価の理由にはなりません。

クイズモードは音声再生中に解答できれば◎

クイズモードレビュー

次に「クイズモード」をレビューしましょう。こちらの方が使い道があります。

クイズモードでは画面上部に音声再生ボタン、下部に英文テキストが表示されます。リスニングモードと違い、学習したい会話文やナレーションだけを再生できます。

画面下にある「クイズに挑戦」を押すと「理解度チェッククイズ」という画面に移ります。実際の TOEIC で出題されそうな 3 択の問題が 3 問から 4 問出題されます。選択肢のどれかを押すとその場で答え合わせをして、次の問題に行きます。

すべて解答が終わると「フレーズクイズ」という画面に移ります。スキット内に出てきた英単語や熟語についての 3 択問題が 7 題から 15 題出題されます。すべて解答するとクイズモードが終了します。

この機能についての私の指摘はこの 2 点です。

  1. 「理解度チェッククイズ」にて、ナレーションを聞きながら解答できない
  2. 「理解度チェッククイズ」と「フレーズクイズ」は別々にできるようにしてほしかった

まずは最初の指摘です。

実際の試験では設問を見ながら会話やナレーションを聞くことができます。しかしこのアプリでは音声を全部聞き終わらないと問題画面に行くことができません。もし音声を聞きながら問題が解けるようにアプリが作られていたら ◎ でした。絶対にお勧めしました。

TOEIC リスニングの攻略法として私は「ディレクション中に設問を読む」、「指で選択肢を抑えて正答候補を覚えておく」を提案しています。

私はリスニング力が弱かったので、ディレクション中も問題文を読んで解答していました。同じことがこのアプリでもできて実際の試験のリハーサルとして活用できれば良かったです。しかし残念ながらそのように作られていません。

出題側からすれば、全部ナレーションを聞いてから解答してもらうという意図なのでしょう。それは理解できます。しかし実際の試験ではナレーション中も問題と選択肢に目を通すことができます。その点をもう 1 歩工夫してくれたら良かったです。

関連記事:TOEIC問題集を解きまくって850点!一番の対策は実践(私の TOEIC 攻略法を解説)

もうひとつの指摘です。

「フレーズクイズ」は「理解度チェッククイズ」の後にしか表示されません。もったいないです。このふたつは独立して別々に使えるようにしてほしかったです。

後ほど詳しく解説しますが、フレーズクイズ単体だけでも単語力アップに使えます。アプリが修正されることを期待しています。

それでも使い倒したい人へ、私ならこう使う

ここまでネガティブなことばかり書いてきました。かなり辛口な評価だったと思います。

しかしこのアプリには「公式コンテンツを無料で使える」というこれ以上ない魅力があります。何とかして使い倒す方法はないのでしょうか?

私だったらこう使うというアイデアをふたつ考えましたので紹介します。参考にしてみてください。

クイズモードの音声データが音読教材として使える

クイズモードでは英文音声を聞きながら解答ができないと指摘しました。

それなら音声データを音読の教材として使うのはどうでしょうか?

このアプリは全部で 63 個のスキットがあります。しかもたくさんのシチュエーションを想定した英文になっています。仕事についての会話(会議や発注、面接)、レストランでのやり取り、飛行機や電車で移動中のナレーションなど、かなり実用的な内容ばかりです。

生きた英文で学習すべきという私のスタンスからすると、このコンテンツ自体は本当に素晴らしいです。むしろ私が英語で生活しているよりも難しめの英文がそろっています。高負荷トレーニングとして活用する方法があります。

私はかつて CNN のニュース教材を音読して TOEIC スコアを 95 点アップさせたことがありました。 545 点から 630 点になりました。音読でリスニングや発音を鍛えることができます。

その時にやった音読学習法は以下のリンク先にまとめてあります。こちらと合わせて音読トレーニングをするのはありです。どうでしょうか?

関連記事:第6話:CNN EEを音読してみてTOEIC95点アップ(545→640)

関連記事:中学英語はフィードバックが大切?理系目線の音読学習法

フレーズクイズで単語力の増強ができる

フレーズクイズレビュー

本音を言ってしまうと、本当に使える単語力を身につけるには問題集ではなく洋書多読をしてほしいです。

しかし仕事の関係で短期間で TOEIC スコアアップを求められている人にとっては問題集を使ってでもクリアしたいところです。そのため以下の方法を提案します。

フレーズクイズを単語力アップのために使い倒してみましょう。

すでに指摘した通り、理解度チェッククイズが終わらないと始められないという面倒な手続きはあります。しかし問題数を調べてみたところ、全 63 スキットで 747 問あることがわかりました。

私がおすすめする中村澄子先生の参考書『 TOEIC テストパート5・6出るのはこれ!(講談社)』は全 305 問でした。この参考書と比較しても、アプリで提供されている 747 問は倍以上で圧倒的なボリュームです。

そして無料の公式コンテンツで学習できるという魅力。これはやはり捨てきれません。

私は実際にやってみて、意外と間違えて悔しい思いをしました。こちらも難易度は高めですが、やる価値はあります。

使い方としては、出題された単語や熟語がすべて正解できるようになるまで何度も解くことです。残念ながらアプリ中に詳しい解説がないので、辞書で調べるなりしてひとつずつなぜ間違えたのか理解しながら進めましょう。

TOEIC では偶然に正解をマークするのは全 200 問を通じて数問もありません。スコアアップにはきちんとした理解をするのが遠回りのようにみえて実は近道です。

大変でしょうが、コツコツやっていきましょう。頑張るあなたを応援しています。

関連記事:TOEIC600点未満の人向けパート別参考書と解答のコツ

関連記事:英単語を克服するコツ、多読による覚え方と必須単語数

まとめ

TOEIC 公式アプリの良いところと悪いところを徹底的にレビューしました。辛口評価をしましたが、アプリも使い方しだいです。ご自身に合うやり方を試行錯誤してみてくださいね。

この記事をまとめましょう。

  • アプリ内にある「リスニングモード」と「クイズモード」のうち、使うならクイズモードだけで良い。リスニングモードはラジオ講座が好きな人向けのコンテンツ。
  • クイズモード内の英文音声を音読教材として活用しよう。様々なシチュエーションの生きた英語があり、無料コンテンツとしては素晴らしい。
  • フレーズクイズで単語力や英熟語のトレーニングができる。間違えた問題は辞書で調べるなりして間違えた原因を理解しよう。

この公式アプリは正直使いにくかったのが感想です。しかし無料でコンテンツを利用できるというメリットがあるので、ダウンロードしても損することはありません。

TOEIC公式コンテンツ by IIBC
TOEIC公式コンテンツ by IIBC
The Institute for International Business Communication, 無料

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このブログを書いている人

ダイブツ
twitter: @habatakurikei
元々IT系だけど電気系技術者。20代で博士号を取得するも、全然社会の役に立てないのが不満でブログによる情報発信を開始。あなたに有益な知識やノウハウを理系目線かつ図解でわかりやすく解説するのがモットー。2018年心臓発作であわや過労死寸前。そこからガジェットレビューを通じた体調管理の情報発信も開始。ベルギー在住でシンガポール就労経験もあり、海外転職や海外生活のノウハウも公開中。

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