ビザって何?海外で活動するために必要な在留資格とは?

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外国で働くには就労ビザが必要、ということはみんな知っていると思います。しかし、国により発行方法や入国方法が異なるため、「就労ビザ、労働許可、ワークパーミット、在留資格」など様々な呼び方があります。海外に詳しくない人にとっては混乱するかもしれません。

この記事ではビザとは何か、海外就職や留学など海外で活動するために必要な在留資格(労働許可・滞在許可)とは何か、ビザと労働許可(滞在許可)の違いについて解説します。私が実際に在留資格を取った経験のあるシンガポールとベルギーの二か国の在留ルールの違いについても解説します。

下のイラストは、おおむねどこの国でも当てはまるようなビザと労働許可(滞在許可)を比較しました。イラストにもあるように、ビザと労働許可は基本的に違うものです。順に解説しましょう。

ビザと労働許可の違い(イメージ)

ビザとは何か?

ビザは入国に必要な書類

ビザ(査証)はその国に入る目的と滞在期間を明記した書類です。空港の入国審査(イミグレーション)で入国審査官(入国のスタンプを押す人)に見せる必要があります。ビザは入国目的ごとに種類が異なり(観光ビザ、就労ビザ、留学ビザ、ワーキングホリデービザ、起業家ビザ、配偶者ビザなど)、国により申請方法や必要書類も様々です。

パスポートのスタンプを押すページには「査証」という字が印刷されているのをご存知でしょうか?このページは本来入出国スタンプを押すだけではなく、発行されたビザを張り付けるためのスペースです。

日本人の場合、ほとんどの国では観光目的のビザは不要です。しかしそのために忘れてしまいがちなこともあります。今でも観光目的でビザを求める国があるため、渡航前に取得しなければいけない国があります。もしビザがないと現地の空港に着いても入国審査で許可されず空港の外に出られない可能性があります。

グレーゾーンな部分も

ビザはその国の大使館(領事館)が発行する紹介状のようなものです。「○○さんが××(観光/就労/留学など)目的で入国します」という顔写真付きのシールをパスポートに貼ることで、大使館(領事館)のお墨付きとなります。

ただし、入国を判断するのはその国の入国審査官個人です。通常ビザがあれば入国できますが、大使館がOKでも入国審査官がNOと言えば入国はできません。ただ日本人でNGだったケースを私は聞いたことがありません。

この点が非常にグレーゾーンであいまいです。日本人はほとんどの国で観光目的であればビザが免除になります。つまり本音は就労目的でも、入国審査でそう言わなければ(観光目的とウソをついても)入国できてしまいます。観光目的であれば帰りの航空券を見せるように言われますので抑止力はありますが、違法就労を生む温床となる可能性もあります。

ビザの条件は頻繁に変わる

国により必要なビザは異なりますし、必要な条件も数年ごとに頻繁に変わります。渡航先の情報は常に調べておく必要があります。

私は一度ベトナムの入国時に冷や汗をかいたことがあります。2014年9月に転職活動でベトナムに(4日間なので観光として)入国したときはビザが不要で何の問題もありませんでした。しかし、2016年11月に遊びに行ったときは、空港のチェックインや飛行機内で頻繁に「ビザを持っているか?」と聞かれました。何か変だな?と思っていたら、到着した空港には前回見なかった到着ビザ(入国審査前にお金を払って取得するビザ、入国手数料のようなもの)の発行カウンターがあったのです。

結果的に日本人は観光目的であればビザなしで15日間滞在ができました。入国審査時にビザのことを質問されたものの、パスポートと帰りの航空券を見せて滞在15日以内であることを説明できたので入国できました。しかし、まさか初渡航から2年で条件が変わっているとは知らず、きちんと調べなかった自分に反省しました。

このようにビザは入国時に必要な書類になります。入国条件などは事前によく調べましょう。

労働許可(滞在許可)は現地の身分証明書

労働許可は、その国の人にはできない特殊な能力を持った外国人に発行されます。またその国の発展に貢献できる人材である必要があります。そのため基本的に誰にでも発行されるものではありません。学歴や給与額、専門性が事前に明確でないと発行(審査)されません。この審査に通らない人には就労ビザも発行されません。

ビザは入国後も有効期間内まで滞在証明書として利用できます。ただビザに記載されている滞在期間はあくまでも一時的なものです。通常は入国後、現地で労働許可証(滞在許可証)というカードを発行してもらいます。ビザの有効期間を過ぎても許可証の所持もしくは申請せずにその国に滞在した場合は、不法滞在となり警察のお世話になります(申請中の場合は仮の許可証が発行されます)。

サイズは基本的にクレジットカードサイズです。このカードは現地での身分証明書ですので、パスポートの代わりに常時携帯する必要があります。現地で警察などに提示を求められた場合は見せないと問題となります。

私は実際に身分証明書の提示を求められた経験があります。シンガポールで飲み会があったある日の深夜2時頃、タクシーで家に帰った時のことです。信号もない道路で突然タクシーが減速しました。窓の外を見ると検問をしていました。警察の指示通りにタクシーを停めて外に出て、私の国籍や身分証明書を尋ねられて簡単な取り調べをしました。

もちろん何も問題なく検問は終わりました。シンガポールには2年半滞在してこの1度だけでしたが、こういうことは実際にあるのです。そのため正しい手続きで許可証を入手し携帯する必要があります。

ちなみに、永住権は滞在許可の有効期間が長くなったバージョンとお考え下さい。永住権所有者は原則現地の滞在と就労どちらも可能です。

シンガポールとベルギーのルールの違い

私はシンガポールとベルギーの二か国で現地採用として就労させていただきました。その経験から、両国のビザや労働許可の発行方法の違いについて説明させていただきます。あくまでも国によってルールが違うことの例として説明させていただきます。

シンガポールベルギー
ビザA4レター(ビザとは別の紙)タイプDビザ(パスポートに貼付)
労働許可証MoMが発行(クレカサイズ)会社がある地域の政府機関が発行(A6)
滞在許可証労働許可証と一体居住地域の市役所が発行(労働許可証と別)

詳細を説明しましょう。

シンガポール(2014年9月時点)

  • ビザ:パスポートに張り付けるビザはありませんでした。その代わりに、MOM(シンガポール人材省:Ministry of Manpower)が発行したレターをもらって印刷し、パスポートと一緒に入国審査官に提示しました。申請手続きはオンラインでできるため、レターもPDFで会社か転職エージェント経由で受け取ります。
  • 労働許可:現地入国後S Passと呼ばれる「労働許可」と「滞在許可」が一体のカード(クレジットカードサイズ)が、会社経由でMoMから発行されました。有効期間は2年で、有効期間内であれば何度もシンガポール入出国が可能でした。先にも説明した通り、パスポートの代わりに常に携帯している必要がありました。

ベルギー(2017年4月時点)

  • ビザ:90日を超える就労/留学目的の滞在を想定した「タイプDビザ」をパスポートに貼り付けて入国審査官に提示しました。有効滞在期間は最大1年で期間は調整できます。このビザの申請に先立ち労働許可証(入学許可証)が必要です。申請・発行は東京にある在日ベルギー大使館です。
  • 労働許可証:ベルギーは連邦制なのでブリュッセル/フランダース/ワロン地方によって管轄が異なります。私のケースでは就職先の会社がブリュッセルにあるため、BEE (Brussels Economy and Employment)に申請します。有効期間はタイプにより異なりますが、原則1年です。A6サイズでクレジットカードより大きく、ベルギー国内での携帯は不要なので更新/返却に備えて保管します。
  • 滞在許可証:ビザ・労働許可証を持って入国後、実際に住む地域の市役所(コミューン)で申請・発行してもらいます。有効期間は1年(労働許可の有効期限+1か月程度)で、クレジットカードサイズです。ベルギー国内にいるときはパスポートの代わりに携帯が必須です。

このように、二国間の比較であってもビザや労働許可のルールがこんなにも違うのです。シンガポールは電子申請ができるためシンプルな構造になっています。一方、ベルギーではビザ・労働許可・滞在許可の3枚が別々に存在し、管轄も異なり手続きはとても面倒です。

外国で就労する際にはその国の事情を事前によく調べましょう。

まとめ

以上、いかがでしたでしょうか。かなり難しくなってしまいましたが、要点は掴めましたでしょうか。国によりルールが様々なので一般的な議論は難しいですが、これが無いと海外での活動はできません。実際に経験しながら覚えることになるでしょう。

この記事の内容をまとめましょう。

  • ビザは入国時に必要な書類で、現地での活動目的に応じて種類がある。労働許可の出ない人にはビザも出ない。
  • 労働許可(滞在許可)は現地で活動するために必要な身分証明書。その国に貢献できる人材にしか発行されない。
  • 国によりビザや在留資格のルールは違うので、行く先の国のルールは事前に調べよう。

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