RingConn vs Fitbit 「睡眠の質」表示比較レビュー

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FitbitとRingConnを左手に装着した状態の写真

市場に出ているスマートウォッチの睡眠分析機能は飽和状態にありイノベーションがみられなくなりました。そのためトレンドとしてはより小型なリング型のデバイスに注目が集まっています。

この記事では RingConn (リングコン)の睡眠機能をレビューします。クラウドファンディング発で話題になった製品ですが睡眠機能はどうでしょうか?

結論をいうと、Fitbit と判定が異なり日々の睡眠分析として使うには難しいと判断しました。

起床後の体調状態にかかわらず、毎晩入眠直後に深い睡眠が出で毎日ぐっすり眠れているという分析結果になりました。

RingConnでできること

RingConn アプリでデータを管理します。基本的な機能と何ができるのかを解説します。

基本的な睡眠管理機能

リングコンアプリの睡眠分析結果の基本画面

上図左はアプリのメイン画面です。メイン画面には睡眠スコアや睡眠分析結果の概要が表示されています。

詳細をみるには “Sleep” タブをタップします。すると画面が切り替わり睡眠スコアが大きく表示されます。睡眠スコアの計算方法は不明のため、このレビューでは睡眠スコアで良し悪しを判断しません。

画面を上にスワイプ(下にスクロール)すると睡眠データが表示されます。睡眠時間、ベッドにいた時間、睡眠効率が表示されています。

さらに画面を移動すると “Sleep Stages” が表示されます。このレビューで扱う睡眠の状態を示したグラフ(睡眠サイクル)です。

睡眠ステージは「覚醒」、「レム睡眠」、「浅い(ノンレム睡眠)」、「深い(ノンレム睡眠)」の 4 ステージです。睡眠トラッカーが標準的に扱う 4 項目です。

グラフの右上には “Sleep HR and Stages” と書かれたスライドスイッチがあります。タップすると睡眠サイクルから睡眠中の心拍数のグラフに表示が切り替わります。

ただし睡眠サイクルと心拍数のグラフは重ねて表示されません。グラフが切り替わるだけなので個人的には睡眠ステージとの心拍数が比較できず使いにくいです。そのため画面の紹介は省略させていただきます。

過去の睡眠の傾向から体調管理ができる

リングコンアプリの過去の睡眠傾向管理画面

アプリのメイン画面下にある “Trends” をタップすると睡眠の傾向を知ることができます。

上図では「週」、「月」、「年」単位で画面を切り替えることができます。

このグラフを見る限り、週の平均睡眠時間は 6 時間 51 分、月の平均睡眠時間は 6 時間 26 分。過去 1 か月より直近 1 週間の方がわずかに長く眠れているようです。

睡眠時間以外にもベッドにいた時間や各睡眠ステージの占有時間の平均値などもの見ることができます。

生活習慣を改善するためにはこのように睡眠の傾向を把握することは大切ですね。

睡眠以外で計測できる生体データ

リングコンアプリの睡眠中の生体データ計測結果の画面

睡眠サイクルの画面からさらに移動すると他の生体データの計測結果もみることができます。

上図では「心拍数」、「安静時心拍数」、「心拍変動」、「血中酸素濃度 (SpO2) 」、「皮膚温」が表示されています。

安静時心拍数や心拍変動はストレスレベルの判断に活用できます。皮膚温は体調管理(特に女性の月経周期管理)に活かすことができます。

上図は睡眠中の計測結果だけが表示されています。日中の計測結果や歩数の値は別の画面で確認することができます。

ただし RingConn は「睡眠中の呼吸数」を計測する機能がありません。睡眠時無呼吸症候群かどうか調べるために重要な項目です。

血中酸素濃度でも睡眠時無呼吸症候群の参考にできますが、多角的に判断するためにも実装してもらえるといいですね。

レビュー方法

レビューをするにあたり、下記に示す方法でデータ収集と分析をしました。結果だけ知りたい人はここは飛ばしてください。

データの取り方

RingConn と Fitbit をそれぞれつけて睡眠データを計測しているイメージ

睡眠の質を比較するための判断基準は Fitbit のデータです。過去の経験上、起床後の身体の感覚(すっきりしているか、眠気が残っているか)と睡眠図に最も関連性を見いだせているのが Fitbit だからです。

左手の人差し指に RingConn, 左腕に Fitbit を装着していつも通り就寝しました。 RingConn は非利き手に装着することを推奨しているので左手に装着しました。

起床後アプリでデータを収集し、両デバイスの波形を比較しました。その結果を解説します。

RingConn 本体の装着テストは合計 1.5 か月やりました。しかし睡眠サイクル比較のためのデータ収集は約 1 週間分としました。

睡眠の質を評価するポイント

医師が書いた睡眠に関する本や私が Fitbit で計測した睡眠データから、睡眠の質をチェックするポイントは以下の 3 つに整理しました。

  1. 「覚醒」から「最初の深い睡眠」に入るまでの時間は短いほど良い (30 分以内が目安)
  2. 最初の深い睡眠は 20 分間以上あることが望ましい
  3. 睡眠中の途中覚醒回数は少ない方が良い

1 番が最も重要で、番号順に優先順位は下がります。各項目の詳細と根拠については下記の補足説明をご覧ください。

関連記事:補足:睡眠の質をチェックする3つのポイント(各社の活動量計の睡眠管理機能を徹底レビュー)

睡眠サイクルの比較結果:深い睡眠が長い

代表的な睡眠サイクルの比較結果

上図は代表的な睡眠サイクルの比較結果です。

RingConn の波形をグレースケールにして Fitbit のグラフを上に重ねています。時間軸は同じになるように調整済みです。

上図を見ると RingConn では入眠直後に深い睡眠が出ています。チェックポイントを使って評価するとこのようになります。

  1. 最初の深い睡眠まで 5 分 (30 分以内が良い) → ○
  2. 最初の深い睡眠が 30 分間 (20 分間以上が良い) → ◎
  3. 中途覚醒 3 回 → × (ただし優先順位低い)
  4. 睡眠の質の総合評価 → ○

このように RingConn のグラフを見た限りでは、この日は良く眠れたと判定できます。

しかし Fitbit の結果は真逆です。最初の深い睡眠まで 90 分以上ありぐっすり眠れた感じはありません。判定結果も × です。

RingConn は入眠直後の深い睡眠がほぼ毎日でました。心拍数や手の動きなどから睡眠状態を判定しているはずですが、毎晩本当に同じだったのでしょうか?

他の製品であれば 1 週間以上データを収集して細かく比較するのですが、これ以上やる必要がないと判断してデータ収集を止めました。

RingConn の睡眠サイクルで睡眠の質を判断するのは難しいでしょう。体調と関係なく毎日ぐっすり眠れたと判定されます。

まとめ

リングコンのパッケージと内容物の写真

クラウドファンディング経由で発売しているスマートリングとしては完成度は高いです。

睡眠分析については改善が必要ですが、生体データの計測については興味深い結果となりました。別記事で解説します。

今後のさらなる改善に期待したい製品です。

この記事をまとめましょう。

  • Fitbit では毎日入眠直後に深い睡眠は出ない。しかし RingConn は毎晩深い睡眠を入眠直後に検出した。毎日ぐっすり眠れていることになるが実際は違う。
  • 週単位や月単位で睡眠の傾向を分析できる。生活習慣を改善するきっかけとして RingConn は手軽に始めることができる。
  • 睡眠中の呼吸数は計測できないものの、安静時心拍数、心拍変動、血中酸素濃度などを 24 時間計測しているので日々の生体データはとれる。

外部リンク:RingConn

RingConn
RingConn
Guangdong Jiuzhi Technology Co., Ltd., 無料

関連記事:RingConn対アップルウォッチ生体計測データ比較レビュー

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※このレビューは 2023 年 7 月に行いました。最新ソフトではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。

※このレビューではアプリは iPhone 版を主に使用しました。 Android 版でも大きな違いはないと想定してレビューしました。

※レビュー時点での RingConn Firmware Version: FR01.039

※この記事のデータ測定結果は診断結果ではありません。データを過信せず不調を感じた際にはかかりつけ医に相談してください。

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この記事のカテゴリ:体調管理とガジェットレビュー
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このブログを書いている人

ダイブツ
twitter: @habatakurikei
元々IT系だけど電気系技術者。20代で博士号を取得するも、全然社会の役に立てないのが不満でブログによる情報発信を開始。あなたに有益な知識やノウハウを理系目線かつ図解でわかりやすく解説するのがモットー。2018年心臓発作であわや過労死寸前。そこからガジェットレビューを通じた体調管理の情報発信も開始。ベルギー在住でシンガポール就労経験もあり、海外転職や海外生活のノウハウも公開中。

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