【おすすめ】各社ヘルストラッカーの健康管理機能をレビュー【比較】

この記事は約 8 分で読めます

レビューしたデバイスのラインナップの写真

スマートウォッチ(活動量計)の普及により、より手軽に健康状態を把握できる環境が整ってきています。

まだまだ改善課題はあるものの、センサー技術の向上のおかげで今までより小さいデバイスでも同じ機能を実装できるようになりました。そのひとつがスマートリング(指輪型)です。

スマートリングにはこのようなメリットがあります。

  1. 腕時計よりも小さいため手軽に健康管理を始められる。
  2. 目立たないためファッションの一部としてさりげなく取り入れることができる。

この記事ではスマートウォッチとスマートリングでどの程度健康管理ができるのか?レビューしたまとめページです。

歩数や心拍数以外にも多くの機能が実装されていますが、実際にどれが使いやすいのでしょうか?

結論としては、アップルウォッチを使うのがベストです。アップル社は心電図計測機能や心房細動の警告機能など、ヘルスケア領域への投資と開発に本気を感じます。

以下にレビュー結果の表をまとめたので詳細を順次説明します。

比較結果:どの製品も一長一短

各社スマートリングの生体データ計測機能と仕様についての比較表
各社製品の生体データ計測機能のレビュー結果(クリックして拡大やダウンロードができます)

このレビューでは Apple Watch (Series 8) と各製品を個別に比較しました。上の表はその比較結果です。

統計解析も実施しましたが、良いか悪いかはあくまでも主観的な評価になります。表をぱっと見ても Apple Watch が一番お勧めなのが伝わるでしょうか。

このレビューで比較した項目は下記のとおりです。

  1. 歩数 (Steps)
  2. 安静時心拍数 (RHR: Resting Heart Rate)
  3. 心拍変動 (HRV: Heart Rate Variability)
  4. 呼吸数 (Respiratory Rate)
  5. 血中酸素 (Oxygen Saturation, SpO2)
  6. 皮膚温 (Skin Temperature)
  7. 最大酸素摂取量 (VO2 Max)

「非対応」と書かれている項目は、その製品に実装されていないことを示します。

「計測精度の比較はしていない」点に注意してください。精度の比較は医療機器を使う必要があり実質的にレビューできません。

レビュー方法はシンプルです。各項目を一定期間継続的にデータ収集しました。そして Apple Watch のデータと各製品のデータを統計処理して「 Apple Watch と似た傾向を示すかどうか」比較しました。

そしてどちらの計測結果がよりレビュアーの実感(健康状態)に近いかどうかで判定しました。

各製品のレビュー結果を簡単に紹介

Fitbit

Fitbitのレビュー結果

Fitbit は私が心臓発作で死にかけた後、回復の過程で睡眠の質をデータで示してくれた恩人(恩デバイス)です。そのため健康管理のメインデバイスとして末永く使っていく予定でした。

しかし Apple Watch と比較した結果、 Fitbit Charge 5 は歩数の測定において一致していることがわかった一方で、皮膚温度と VO2 Max の測定に問題があったことが明らかになりました。また心拍変動や血中酸素濃度についても疑わしい結果が出ました。

レビューの結果、睡眠以外の生体データ計測機器としてはおすすめしていません。

今後の開発課題として、皮膚温度と VO2 Max の測定を改善を提案させてください。オーラリングでは皮膚温の高さから体調不良の可能性を指摘していましたが、 Fitbit では皮膚温に普段との差が出ませんでした。

関連記事:Fitbit Charge 5対アップルウォッチ生体データ比較レビュー

Garmin

ガーミンのレビュー結果

Garmin は VO2 Max 計測を早くから導入し生体データ計測技術が先行しているイメージがありました。

Garmin Vivosmart 5 は心拍変動と皮膚温度の測定は非対応です。その他の指標は提供されています。

Apple Watch と比較した結果、酸素飽和度の測定値が低く、呼吸数の計測範囲が狭いことが示されました。 VO2 Max については Garmin は Apple Watch より高い値を示しました。

売りだと思っていた VO2 Max の精度が思っていたのと違うことがわかりました。

デバイス全体的に改善の余地がまだまだあると感じました。

ガーミン社の強みは GPS と連動したアウトドア活用です。登山などの使い方では全く問題ありません。これはあくまでもヘルスケア目的のレビュー結果です。

関連記事:ガーミンVivosmart5対生体計測データ比較レビュー

Oura Ring

オーラリングのレビュー結果

Oura Ring はアスリート向けのデータ計測デバイスとして活用が始まりましたが今ではスマートリングの代表製品です。

Oura Ring Gen 3 は VO2 Max を測定しません。そのため推定値で比較をしました。

Apple Watch と比較した結果、歩数と呼吸の測定傾向は両デバイスともに似ていました。その一方で安静時心拍数、心拍変動、血中酸素濃度の測定には違いがありました。

気になったのは、指に装着する Oura Ring は Apple Watch よりも皮膚温度の測定が良い可能性がある点です。

数あるスマートリングの中で生体データを計測したいのであれば Oura Ring は無難な選択でしょう。

なおメーカーによると Oura Ring は左右どちらの手に装着しても問題ないとのことですが、レビュー結果「非利き手(レビュアーの場合左手)」に装着した方が測定が安定していました。

関連記事:オーラリング(左手)対アップルウォッチ生体計測データ比較レビュー

関連記事:オーラリング(右手)対アップルウォッチ生体計測データ比較レビュー

サーキュラーリング

サーキュラーリングのレビュー結果

Circular Ring は Apple Watch や Fitbit と同じ項目を測定できるため良い結果を期待していました。

しかし心拍変動、呼吸数、酸素飽和度、最大酸素摂取量など項目では Apple Watch の方がより安定した正確な結果を示しました。

中でも血中酸素については Apple Watch と逆の傾向になるという珍しい測定結果となりました。

着せ替えリングがありファッション性の高さはあるものの、あえて Circular Ring をおすすめしません。

関連記事:サーキュラーリング対アップルウォッチ生体データ比較レビュー

リングコン

リングコンのレビュー結果

RingConn はスタートアップでかなり盛り上がった製品です。呼吸数と VO2 Max は非対応です。

Apple Watch と比較した結果 RingConn は一般的に酸素飽和度が低く、安静時心拍数の測定範囲が広かったです。また皮膚温には Apple Watch との相関は認められませんでした。

リングの装着感などお気に入りのデバイスでありお勧めしたいところでもあります。しかし測定の改善や非対応項目の実装など開発を加速してほしいのが本音です。

関連記事:RingConn対アップルウォッチ生体計測データ比較レビュー

ウルトラヒューマンリング

ウルトラヒューマンリングエアーのレビュー結果

インド発と思われる製品 Ultrahuman Ring Air です。呼吸数と VO2 Max は非対応です。

Ultrahuman Ring Air は安静時心拍数と皮膚温において Apple Watch と同様の傾向を示しました。安静時心拍数の値はアップルウォッチと差はあるものの、日々のストレスレベルの違いをグラフから判断できそうです。

しかし一方で、心拍変動や酸素飽和度の信頼性に懸念がありました。

生体データ測定とは別の部分での改善が必要です。アプリの使いにくさや充電時間の長さがとにかくマイナスポイントです。

価格は安めですがおすすめはできません。

関連記事:Ultrahuman Ring Air対アップルウォッチ生体計測データ比較レビュー

データ解析のための補足

このレビューにてできるだけ細かくデータを分析するための条件や補足内容を書きます。

日中と夜間の心拍数全数分析は量が膨大になるので省略します。気になった場合のみ取り上げます。

皮膚温は +/- 0.3 度といった形ですでに平均値計算が行われています。そのため統計解析 t 検定の対象外となります。

VO2 Max の比較も参考程度とお考えください。 VO2 Max を正しく計測するにはトレッドミルのような設備が必要です。

またアップルウォッチによる VO2 Max の計測にはワークアウトをセットする必要があります。日々の生活や業務上毎日計測できていません。ただし休日など一日に複数回計測できた場合はその日の平均値を採用します。

VO2 Max の値は安静時心拍数から推定することができます。参考のために推定値の計算結果も比較します。デンマークの研究者グループによる推定方法を採用しました。

外部リンク:最大酸素摂取量 – Wikipedia

各計測項目について、アップルウォッチは夜間のみ計測する項目と、日中/夜間問わず計測する項目があります。両デバイスとも同じ時間帯の計測結果を比較するため、アップルウォッチのデータはダウンロード後に時間帯を取捨選択したうえで集計・分析しました。

特に断りがなければ「歩数」、「最大酸素摂取量」、「安静時心拍数」は同日中 (0:00 – 23:59) のデータを採用します。その他の項目は睡眠中の時間帯 (0:00 – 6:00) に計測されたデータを採用しました。

安静時心拍数についてアップルウォッチの計測は例外的です。一日に何度も計測しているはずですが、他の項目と違い計測結果が個別に記録されていません。そのためその日の最後にヘルスケアアプリで表示されていた結果を採用しました。

まとめ

どの製品にも癖があり、一長一短な点はあります。

しかし心拍変動など、心拍センサーの半導体に依存している部分はどの製品も似た結果になるのが興味深かったです。

機能と値段が比例するのか、本気で健康管理をしたいのであればアップルウォッチをお勧めします。

アップルウォッチはスマートウォッチの中では高い方ですが、ロレックスの腕時計よりは全然安いです。自分への投資としては高くないともいえます。

スマートリングはまだまだ発展途上です。計測精度を気にせずファッションで取り入れる分にはスマートリングも問題ありません。

今後の技術開発でさらに便利になっていくでしょう。引き続きキャッチアップしていきたいと思います。

※このレビューは 2023 年以降順次行っています。最新アプリではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。

※この記事でレビューした結果は医療機関による診察に代わるものではありません。身体に不調を感じた場合は必ずかかりつけ医に相談してください。

※この記事で取り上げていない他の製品についてはレビューしていません。あらかじめご了承ください。

シェア
この記事のカテゴリ:体調管理とガジェットレビュー
この記事のタグ:なし

このブログを書いている人

ダイブツ
twitter: @habatakurikei
元々IT系だけど電気系技術者。20代で博士号を取得するも、全然社会の役に立てないのが不満でブログによる情報発信を開始。あなたに有益な知識やノウハウを理系目線かつ図解でわかりやすく解説するのがモットー。2018年心臓発作であわや過労死寸前。そこからガジェットレビューを通じた体調管理の情報発信も開始。ベルギー在住でシンガポール就労経験もあり、海外転職や海外生活のノウハウも公開中。

私の詳細:プロフィール

このような記事も読まれています

Suunto 3 Fitness vs Fitbit 「睡眠の質」表示比較レビュー

Suunto製トラッカーを代表して3 Fitnessの睡眠管理機能をレビューしました。レム睡眠や深い睡眠といった睡眠ステージを表示しないためFitbitと同じ基準で評価できません。代わりに熟睡時間は表示されますが何分間以上あれば良いのか判断できません。

Withings Steel HR Sport vs Fitbit 「睡眠の質」表示比較レビュー

Steel HR SportとFitbitを両方装着して約3週間睡眠の記録をとりました。両デバイスの計測結果を比較したところWithingsの波形で睡眠の質を分析するのは難しいです。ただし就寝/起床時刻の規則性分析は健康管理に役立つでしょう。

私の心臓発作の原因は脳疲労からくる自律神経失調?

前回、心臓発作が起きたのに心臓の検査の結果問題ないことをお話ししました。では何が原因だったのでしょうか?このままでは「運が悪かった」で済まされてしまい、再発が防げず本当に過労死になってしまう可能性もあります。 私が個人的に調べてみた結果『脳...