Suunto 3 Fitness vs Fitbit 「睡眠の質」表示比較レビュー
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このシリーズの目的は、日々の睡眠状況をしっかり把握し、より良い生活ができるようにサポートすることです。そのためにスマートウォッチやアクティビティトラッカー(活動量計)の睡眠計測・管理機能を辛口でレビューしています。
この記事はフィンランドメーカーのスント (Suunto) 製アクティビティトラッカー、 3 Fitness の睡眠機能をレビューします。
結論からいうと「 Fitbit と同じ評価基準で比較できなかった」です。そもそも日々の睡眠結果の表示が他社製と違うのです。
どういうことでしょうか?詳しくみていきましょう。
Suunto 睡眠管理画面解説
Suunto アプリという、会社名と同じ名前のアプリで日々のデータを管理します。このアプリの画面を簡単に解説します。
シンプルすぎてそっけないメイン画面
上図は睡眠管理のメイン画面です。
画面上部左から「就寝時刻/起床時刻」、「円グラフ」、各数字が表示されています。
他社製のように「レム睡眠」や「深い睡眠」といった睡眠ステージを Suunto アプリでは使わないようです。
睡眠結果を毎日チェックするなら下記の項目を見るでしょう。
- トータル睡眠時間
- 熟睡した時間
- 途中目覚めた時間
「睡眠の質」という項目もあります。レビューにて説明しますが、計算方法が不明で参考になりません。
またどの項目も上図の画面で表示されている以外の詳細を教えてくれません。他社製のトラッカーですと詳細なデータを別画面で表示してくれるのですが。
睡眠の項目の下には「歩数」と「カロリー」の画面があります。毎日どれくらい歩いたか(走ったか)やその時間帯のカロリー計算結果を表示してくれます。
心拍数のグラフ表示はアプリにありません。後ほど解説します。
履歴はアプリと時計画面両方で見れる
アプリのメイン画面下にある「ダイアリー」をタップすると過去のデータを見ることができます。
画面右上には「日/週/月」の表示を切り替えるリストがあります。平均睡眠時間はこの集計期間にあわせて再計算されます。
画面中央にはグラフが表示されています。各色で下記のような意味になります。
- 青:睡眠の質 (0 – 100%)
- 赤:平均心拍数
- 紫:睡眠時間
グラフの下にはボタンがあり、折れ線グラフを「質か平均心拍数か」選択できます。
残りは毎日の睡眠結果の一覧になります。下にスクロール(上にスワイプ)すると最新のものから順番に表示されます。
睡眠の履歴は時計画面上でも見ることができます。上の写真では睡眠時間の棒グラフ(紫)が表示されています。
こうしてみるとかっこいいですね。
睡眠波形の比較結果:同じ土俵で比較できなかった
上図は同じ日の Suunto と Fitbit の睡眠データです。
「睡眠の質」を睡眠データから評価できるか比較レビューしました。
Suunto 3 Fitness を 7 日間装着してデータをとりました。
結論は「 Fitbit と同じ基準で評価できない」です。詳細を説明します。
グラフの種類と表示しているデータが違う
まずはグラフの種類が違いますね。下記に示す違いがありました。
- Suunto は円グラフ → 目標の睡眠時間に対する実際の睡眠時間を割合表示
上の図では 8 時間目標に対して 6 時間 12 分(円グラフの紫色)しか寝ていない。そのため目標に足りない時間 (1 時間 48 分)はグレー表示になっている。 - Fitbit は棒グラフ → 時間経過に対する睡眠の状態変化を表示
どの時間帯がどのような睡眠状態(覚醒/レム睡眠/深い睡眠)だったかわかる。
睡眠の質(スコア)の計算根拠が不明
次に睡眠の質です。 Suunto では 44 % と表示されているのですが、どうやって計算しているのか根拠が不明です。
次に紹介する「熟睡時間」では一応 39 分あるので 44 % というスコアは低すぎると思うのですが。
単純に睡眠時間だけで判断しているのでしょうか?
熟睡がどのタイミングで起きたかわからない
最重要部分が「熟睡/深い睡眠」です。この部分で疲れが取れたか判断できます。
- Suunto は「熟睡時間」が表示されている。
この熟睡時間もどのように算出されるのか不明(メーカーのユーザーガイドも確認したが不明)。また「睡眠中のどのタイミングで熟睡したのか」が画面からはわからない。 - Fitbit は「深い睡眠ステージ」が熟睡部分に相当する。
この深い睡眠ステージは「入眠直後(グラフの左側)」で出ると疲れがとれることが分かっている。つまり上図右の Fitbit 例は「あまり眠れていない」と評価できる。
外部リンク:Suunto 3/Suunto 3 Fitness ユーザーガイド – 睡眠分析 | SUUNTO
このように、 Suunto の睡眠機能は他社製と異なり比較ができません。
熟睡時間は表示されるので Suunto のデバイスでも睡眠の質を評価することはできるはずです。しかし「熟睡時間が何分以上だと良い睡眠だったか?」という評価基準を知りません。
例えば「 1 日の睡眠時間は 7 時間以上必要」といった情報はよくみます。
しかし私が睡眠の本などで調べた限りでは「トータルの睡眠時間のうち熟睡が何分間以上必要」といった情報は見たことありません。
以上のことから私には Suunto 3 Fitness で睡眠の質を評価する方法を提案することはできません。
その他気がついたこと
睡眠機能以外に使ってみて気になったことをまとめます。
その日の心拍数グラフはアプリで見れず時計画面表示のみ
アプリには「毎日の心拍数グラフ」表示がありません。
信じられません。他社製品では必ずアプリ画面上で確認できます。
Suunto アプリで表示されるのは「平均心拍数」です。一定期間計測した内容の平均値計算済みであり、元の計測値表示ではありません。
同じく過去の日の心拍数グラフも見ることはできません。健康管理をするのに不便ではないでしょうか。
上の写真にあるように、腕時計画面上では当日の心拍数グラフだけ見ることができます。
あくまでもジョギング中など、アクティビティの最中に心拍数を確認するための機能なのでしょう。
他人のアクティビティがのぞける?
アプリを最初にセットアップした直後、びっくりしました。
何気なく画面下の「詳細」ボタンをタップすると、他人のアクティビティが表示されたのです。
上図左は別のユーザーさんがブリュッセル中心部をジョギングしたルートが表示されています。ユーザー名は黒塗りで隠しました。
ヨーロッパって人権に最もうるさいのに、この機能大丈夫なのでしょうか?
一応プライバシー設定を確認してみました。恐らくですが、上図右のプライバシー設定で非表示にできると思います。動作未確認です。私は運動しないので。
Suunto には “SUUNTO MOVESCOUNT” というコミュニティサービスがあります。私はこのアカウントを作ったために他人のアクティビティも共有表示されたのかもしれません。
※補足:睡眠レビューに使った “Suunto” アプリと “SUUNTO MOVESCOUNT” は別物です。それぞれ別にアカウント作成が必要です。最初わからずに両方作ってしまいました。
まとめ
Suunto 3 Fitness はアクティビティ記録目的として使いましょう。健康や睡眠の管理はズバリ別の製品が良いでしょう。
この記事をまとめましょう。
- 睡眠のグラフはあくまでも「目標睡眠時間に対する実際の睡眠時間の割合」しか表示しない。他社製のように「睡眠ステージの変化」のグラフではない。
- 心拍数のグラフがアプリで表示されない。過去の心拍数データも記録に残らない。
- 仲間を集めて一緒にアクティブティするのであれば “SUUNTO MOVESCOUT” アプリでコミュニケーションができる。他ユーザーのアクティビティもアプリ画面に表示されるので注意。
外部リンク:Suunto 3 FitnessおよびSuunto 5の睡眠分析機能について | SUUNTO
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※この記事のアプリ画面は Android 版です。 iPhone 版は未確認です。
※このレビューは 2020 年 4 月に行いました。最新ソフトではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。
※良い睡眠がとれたかどうかは必ずご自身の体調や起床後の気分などでご確認ください。アプリの表示は計測結果を保証するものではありません。
※ Suunto 製品を代表して 3 Fitness をレビューしました。同社製の他の製品も同じアプリを使うため、レビューしても同じ結果になると想定しています。