ベルギーの新居でやった小さなDIYのおはなし
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家庭を何よりも大切にするヨーロッパの人たちは、自宅を自分たちのくつろぐ場にするため DIY を積極的にやります。ベルギーで賃貸を契約してびっくりしたのは、壁の穴あけやペンキを塗っても良いと言われたことでした。
この記事では私がやった最低限の DIY と洗濯機の設置で気が付いたことをまとめました。日本やシンガポール生活ではなかったことが良い経験になりました。
ドリルで天井に穴をあけて照明器具を取り付ける
まず、賃貸契約前に部屋の内覧をした時点でおや?っと思いました。
天井はこのような感じで照明器具はおろかアタッチメントすらありません。オーナーさんに聞いてみると「 IKEA に行って照明器具を付けてください」とのこと。
これ、電気工事ですよね?日本の賃貸では天井に穴を開けたら大変です。でもこちらでは退去時にパテなどでふさげば大丈夫とのこと。
浴室には初めから照明器具が付いていたので、外してみると確かに二カ所アンカー(ネジ穴をコンクリートに固定する物)が打たれていました。これを真似しようとホームセンターに行きました。
しかもヨーロッパではスーパーもホームセンターも日曜日は休みなので、土曜日か平日の仕事後に行くしかありません。
人によっては裸電球をぶら下げるだけらしいですが、自宅にお客様を招待するのにそれは嫌だったので IKEA にて器具を購入しました。
ちなみに IKEA の同じ製品でも日本向けはアタッチメント付きのようで、当然取付穴の加工は不要になっています。残念ながらこちら(ベルギー)ではやはり加工が必要でした。
念のため日本の両親(工事屋さん)に天井の写真を送って材質を確認したところ「表面は漆喰、中はコンクリート」とのことでした。漆喰は問題ないですが、コンクリートは金属とは違うので「専用の刃」と「ハンマードリル」が必要です。
照明器具は労力が最小で済むように取付穴の小さいやつにしましたが、念のためサイズを確認し、ホームセンターへ。そこでアンカーとネジのセット、さらにコンクリート用のドリルの刃(ビット)を購入しました。ドリルは会社にあったので了承を得て借りることにしました。
私は技術者なので、鉄板に穴を開けた経験はありますし、この照明くらいの配線はできます。ただコンクリートは勝手が違いました。通常の金属用のドリルではなく、コンクリートを叩いて砕きながら穴を開ける必要があります。その機能をハンマードリルと言いますが、ドリルにちゃんと搭載されているか確認が必要です。
恐る恐る穴を開けてみたところ、かなりの力が必要でしたが無事直径 5 mm, 深さ 35 mm の穴ができました(必要な穴のサイズはアンカーの取説を参照)。そこに灰色のアンカーを差し込んで、ネジで照明器具を止めれば取付完了です。
それにしてもやはり工事なのですごい音が出ます。集合住宅であれば平日の昼間など苦情の出ない時間帯にやることをお勧めします。
順調に穴あけをしていたところ 1 か所だけどこまでやってもドリルの刃が奥に行かない箇所がありました。それでも力いっぱいドリルを押し付けると、ドリルの刃を抑える部分が全開に!故障だと勘違いし弁償しなければと思いましたが、確認したところ問題ありませんでした。
それにしても不自然だったので、写真を撮ってオーナーさんに聞いてみました。回答は「配線の出ている付近であれば基本はコンクリートで、近くに確かに鉄筋は通っている。だから配線の近くに穴を開けた方が良い」と。
そうとは知らずにここまで穴を開けてきたので今更取付穴の変更はしたくありませんでした。天井に穴を開けるのにいつも使わない姿勢で作業したので、ドリルを使う体力がこれ以上ない…。ということで、 5 か所のうち 4 か所は器具を付けて、一カ所はあきらめて配線むき出しのままになりました。
各器具はネジふたつで固定するはずが結局はひとつです。そのため少し傾いていますが、 1 か所は確実に必要な深さの満たしたアンカーを打ち込んだので、重さに耐えてくれることを祈ります。この器具は電球込みでも 1 kg もないはずなので、たぶん?大丈夫でしょう。
あと、日本のような蛍光灯がこちらでは少ないですね。蛍光灯の不自然な光を避け、多少暗くても昔ながらの電球のような温かみのある光を好む傾向にあるようです。
カーテンの長さ調節でアイロンがけ
次にカーテンです。部屋のバルコニー側にはカーテンが据付済みだったのですが、寝室の方にはカーテンが無く自分で調達する必要がありました。
そして、 IKEA のカーテンは長さが 3 メートルの物しかないため、どうしても床を引きずって平安時代の貴族みたいになってしまうのです。
同じ建物の別の部屋ではそのままの長さで束にして使っている所もありましが、それはさすがに手抜きという感じがしました。かといって裁縫道具は持ってないし、そのために買うのも無駄な気がするし、どうしようか迷いました。
他のホームセンターであれば短いカーテンもあったかもしれませんが、そこまで探す気力はなかったので、同じく IKEA でこれを見つけました。
このSYというのりは、アイロンの熱で溶かしてカーテンを接着できる代物です。縫わなくても良いので即購入しました。
早速余長を測ってみると 52 cm も長いことがわかりました。そこで丁寧にカーテンを折って SY を間に挟み、取説通りにアイロンがけしました。
私は一人暮らしが長いですが、アイロンはほとんどやったことがありません。中古で譲ってもらったアイロンを使ってやってみたら意外と面白くて夢中になってやってしまいました。
カーテンには幅があったので、アイロン台も床に置いて少しずつアイロンがけしました。取説ではあて布使用とありましたが、熱が足りないので最終的にはあて布無しでやりました。
かなりの熱でプレスしないとのりが溶けず接着しませんでしたので、 1 か所 10 秒以上アイロンでプレスしながら少しずつ全体に当てていきました。
無事接着して写真に示す通り短くなりました。これでもカーテンの先端がまだ床についていますが、これは洗濯した際に短くなることを想定してあえてこの長さにしました。洗濯することは基本的にないと思いますが、一応 IKEA の取説では洗濯すると 4 % 程度縮むとのことでした。
52 cm はかなり長く、折った先の先端部分にも同じくのりづけしました。ただ折り部分が少し長すぎて不自然なので、最終的には切りました。
切った部分は寝室やトイレの上部にあるガラス窓を覆ってプライバシーを守るために使いました。
この窓からは外の光が入ってくるため、一人で生活しているときは布を外して部屋の明るさを保つようにしました。お客様を招待した際は画びょうで止めてプライバシーを保護するように配慮しました。
洗濯機の設置にとまどう
ヨーロッパでは住居が狭く、洗濯機を置くスペースの無いことも珍しくありません。幸い私はバスタブ付きの部屋を探したところ、洗濯機を置くスペースもありました。自宅に洗濯機を置けば、コインランドリーに行く必要はなく時間と労力を節約できます。
部屋を下見させてもらった時に、洗濯機の設置スペースを見てふと「あれ?」と思いました。
写真の左部分に示す様に、排水口が地面より高い位置にあるのです。排水は下に行くのだから上にあったら不自然ではないか?日本では当然地面に排水口があったと認識していましたが…。シンガポールでは気にもしなかったので、盲点でした。
これはきっと罠で、洗濯機の購入を誤ると設置ができず無駄になるのではと、 Google で必死に調べました。
調べた結果、地面から 60 cm くらいの高さに排水口があるのが普通ということでした。なぜかは完全に理解していませんし、それ以上のことを調べる気力もありませんでした。 “washer drain height” で検索するとたくさん出てきます。
一説には、排水口の詰まりや排水管の損傷リスクを減らすために、排水量を 17 ガロン/分に抑えるような設計になっているとか。
ということで、洗濯機を家電量販店で購入・配送手続きしました。土曜日の搬入・設置をお願いしましたが、時間帯は指定できずどのタイミングで来るかはわかりませんでした。ただ幸運なことに午前 9 時 30 分に来てくれましたし、来る直前に SMS で「前の顧客の作業が終わったので向かっています。あと 15 分ほどで到着します」というメッセージが来ました。
ほぼそのタイミングで来てくれて、設置と動作確認をやりサインして無事終了。念のため取説にあった予備運転 (95 ºC の湯で 2 時間) をしましたが、問題なし。その後の使用も問題なくできています。
ちなみに、洗濯機の購入でも滞在許可証 (ID 番号)を求められました。現地に長くいる日本人になぜか聞いても答えがわかりませんでした。一説にはリサイクルの管理をするためという情報も聞きましたが、わかる方情報提供していただけると助かります。
実際は ID 番号が無くても購入できました。
まとめ
以上、長くなりましたがこれで最低限の DIY が完了しました。壁面のペンキ塗り替えまではしませんでしたが、不自由なく生活ができています。この記事をまとめましょう。
- 壁や天井の穴あけやペンキが可能(退去時にきれいにすること)
- カーテンの長さ調節も自分でやる(裁縫道具かアイロンタイプののりが必要)
- 洗濯機の給水・排水の仕組みが日本と違う(購入前に排水口の高さとホースの口のサイズを確認する、洗濯機のサイズは規格があり基本的に問題ない)
あとは水道管のメンテナンスなどをこまめにやって清潔感を保てればと考えています。
生活開始後に起きた部屋のトラブル類については下記の記事でまとめました。併せて参考になれば幸いです。