Fitbitの心電図機能をレビューしたら洗練されていて使いやすかった

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Fitbit Charge 5のECGアプリ起動中写真

このシリーズでは心電図機能付きのスマートウォッチ(アクティビティトラッカー)をレビューしています。私は心臓が止まったのに心臓に異常がないと言われたのが納得できず、スマートウォッチを介して自分の身体を調べています。

この記事では Fitbit Charge 5, Fitbit Sense の心電図 (ECG) アプリをレビューします。睡眠機能に定評のある Fitbit に初めて搭載された機能ですが、性能はどうでしょうか?

結論から言うと、 Apple Watch とほぼ同じです。

心房細動の自動検知についてはわかりませんでした。しかしそれ以外の心電図機能はほぼ同じでかつしっかり計測ができました。不満はありませんでした。

これから日本でも普及すると思われる Apple Watch の ECG 機能と比較して解説します。

補足: 2021-11-10 時点にて Fitbit Charge 5 の心電図機能が正式リリースされました。

FitbitのECGアプリできること

心拍数の自動検知と心電図計測ができる

Fitbitの心電図機能とは

Fitbit ECG アプリは Apple Watch とほぼ同じです。ただし一部違うので解説します。

心拍数は常時計測します。そのため高心拍数(安静にしているのに高い心拍数)や低心拍数については検知して通知してくれます。

ただし Apple Watch にある「不規則なリズム(心房細動)」については Fitbit アプリ内に設定がありませんでした。不規則なリズムも通知してくれると Apple Watch と同じ機能になります。

心電図の計測は手動のみです。これは Apple Watch と同じです。時計上で計測してアプリでデータ収集と結果表示ができます。

心電図をPDFにして医師と共有できる

Fitbit心電図PDFの共有手順

計測した心電図は医師と共有することができます。この機能も Apple Watch と同じです。

上図にあるように Fitbit アプリ内の心電図計測結果から「 PDF を医師にエクスポートする」をタップすると心電図の PDF を生成します。

生成したファイルはスマホにダウンロードできますし、共有することもできます。

Fitbit心電図のPDFの内容

上図は心電図 PDF を Windows PC で閲覧している状態です。

左上には “Normal Sinus Rhythm” (正常洞調律、リズムに異常なし)と計測結果が書かれています。後ほど説明しますが、これは診断結果ではありません。

右上にはスマホアプリに登録されている人の個人情報と心電図計測中の平均心拍数が表示されています。

個人情報については流出が心配されるかもしれませんが、医師と共有するのであればやむを得ないのではないでしょうか。

心電図のグラフは 30 秒間の計測結果です。横軸が時間 (1 マス 40 ミリ秒), 縦軸が電圧 (10 マスで 1 mV) です。

Apple Watch と同じで微弱な電気信号を拾っています。

ECGアプリの使用方法と計測方法

ECG アプリの使用方法を解説します。

初回設定(初期設定)

Fitbit Charge 5 ECGアプリ初回設定

最初の起動時のみやる設定は下記の通りになっています。

  1. スマホアプリ側の ECG 対応確認(アプリのバージョンアップなどが必要)
  2. 時計を装着する腕の左右確認
  3. 計測中の姿勢を入力

本体を指で押さえて計測

Fitbit Charge 5 ECGアプリの開始方法

上図の流れでアプリを起動し計測を開始します。

本体の画面を左にスワイプするとアプリが表示されます。 ECG アプリを見つけてタップします(上図左)。

すると ECG という表示が大きくなりアプリが起動します。

上図中央の英文は「金属部分に親指と人差し指を当ててください」という指示です。写真は指示通りに指を置いてますね(右利きの場合)。

Apple Watch ではデジタルクラウン(リュウズ)を指で抑えて計測します。リュウズは時計本体の真横にあるので指で抑えるのが角度的に少ししんどいです。

この指おさえ問題を Fitbit は改善しており計測の負担が軽くなっています。

ECG 計測は 30 秒間です。上の写真に示す様に残り時間をカウントダウンしています。数字とともに表示されている波のような線は計測中の心臓の信号だと思われます。

画面下にある英文 “Keep your hands still.” は「手をそのままにして(動かさないで)ください」と指示しています。

Fitbit Charge 5 ECGアプリの計測完了後

カウントダウンが終わると “Data collected!” (データは収集されました!)と画面が表示されます。この時点で指は時計本体から離しても大丈夫です。

そして “Analyzing…” (分析中)と表示されます。数秒待つと上図右の画面が表示されます。

上図右の画面は計測結果です。

“Normal sinus rhythm” (正常洞調律)

“Your heart rhythm appears normal.” (あなたの心臓のリズムは正常です)

と表示されています。

他にも英文で解説や補足があるのですが省略します。「違和感があれば医師に相談してください」といった内容です。

計測結果をアプリで確認する

Fitbit Charge 5 ECGアプリ終了方法

先ほどの計測結果画面を上にスワイプ(下にスクロール)するとふたつのボタンが表示されます。

“LEARN MORE” (もっと知る)は計測結果の解説画面に移動します。

“DONE” (終わる)をタップすると ECG アプリは終了します。

Fitbitスマホアプリで心電図をチェックする手順

詳細の計測結果はスマートフォン側で確認します。 iPhone/Android どちらも対応しているので事前にペアリングします。

心電図は画面下のタブ「今日」ではなく「ディスカバリー」にあります。これを見つけるまで時間がかかりました。

ディスカバリーの画面を上にスワイプして「心拍リズム評価」をタップします。すると心拍リズム評価の画面が表示されます。

心拍リズム評価画面で「結果を表示」をタップすると計測結果の一覧が表示されます。一覧のひとつをタップすると詳細画面に移行します。

結果詳細画面は先に紹介した、心電図 PDF をエクスポートする画面です。

判定は3種類

Fitbitスマホアプリによる心電図計測結果の種類

計測結果は Apple Watch と同じで 3 種類です。

  1. 正常な洞調律(異常なし)
  2. 心房細動 AFib (診察推奨)
  3. 不確定(評価できず)

ECG アプリは体内の微弱な電気信号を計測します。そのため計測中に指や腕を動かしたり、または心拍数が極端に高い/低い場合は「不確定」となります。

不確定の場合は再度計測してみましょう。わずかな指のずれでも計測が乱れるので偶然不確定だったかもしれません。

利用する際の注意点

全般的な注意点については Apple Watch と同じです。ここでは Fitbit ECG アプリ特有と思われる項目もあったので解説します。

制限事項

Fitbit ECG アプリの注意点

上図はアプリ内の解説なのですが、初期設定時にも確認しました。この中でふたつ注意事項があります。

  1. ECG アプリの使用者が 22 歳以上であること
  2. ペースメーカーその他、心臓関連機器を併用していないこと

上図の全 4 項目はアプリの初回起動時(初期設定時)に聞かれました。すべて確認して初めて ECG アプリを使うことができました。

年齢制限があるのは、 Fitbit 社が 21 歳以下のテストを実施していない(データを検証していない)ためです。そのため計測結果に責任を持てないということです。

ペースメーカーは心臓を正しいリズムで動かすための電気機器です。ペースメーカー自体が電気信号を発するため ECG アプリが本来の心臓の電気信号を計測できなくなる可能性があります。そのため併用不可なのだと考えられます。

ただ私が使ってみた感じでは、 Apple Watch よりも安定して計測できました。リュウズのような突起物は本体にない方が計測中に指がおさえやすいです。

外部リンク:ペースメーカーとは|大阪医科大学 外科学講座 胸部外科学教室

診断結果ではないことに注意

Fitbit心電図PDFに書かれている注意事項

スマートウォッチ(アクティビティトラッカー)の ECG 機能はあくまでも日々の健康促進をサポートするためのものです。アプリの計測結果は診断結果ではない点を再度強調させていただきます。

上図は心電図 PDF からの抜粋です。下記の注意書きがあります。原文は英語なので日本語訳を紹介します。

  1. Fitbit ECG アプリは心房細動を検出する便利な方法である(ただし診断ではない)
  2. Fitbit 独自の計算方法は臨床研究によって試験された (98.7 % の感度, 100 % の特定)

外部リンク:Fitbit ECGアプリとは何ですか? – Fitbit ヘルプ

Fitbit Sense ギャラリー

Fitbit 製品として最初に心電図計測機能を搭載した Fitbit Sense. Charge 5 の発売に伴いこの記事の写真を差し替えました。

Sense による心電図機能の写真をギャラリーとして残します。使い方は Charge 5 と同じです。

Fitbit SenseのECGアプリ起動中写真Fitbit Sense ECGアプリの開始方法Fitbit Senseで心電図の記録中Fitbit Sense ECGアプリの計測完了後Fitbit Sense ECGアプリの終了方法

まとめ

Apple Watch の ECG 機能もレビューもしましたが、 Fitbit は後発である分洗練されている感じがします。個人的にはとても良いデバイスだと思います。

Charge 5 は Sense よりも価格が下がり購入しやすくなりました。デザインも洗練されていて Fitbit 社の本気度がうかがえます。

この記事をまとめましょう。

  • 高心拍数と低心拍数は自動検知するようになったが、心房細動は自動検知するかどうかわからない。手動で ECG を計測する必要がある。
  • 計測した心電図は PDF で共有できる。医師と共有して予防医療の一部になることが期待されている。
  • 21 歳以下のテストを実施していないため ECG アプリの利用を推奨されていない。また電気信号の計測に影響のあるペースメーカーなどの併用は不可。
  • 臨床研究により 98.7 % の感度で ECG を計測できるが、あくまでも診断ではない。

外部リンク:Fitbit ECG app | Irregular Rhythm (メーカー公式英語ページ)

※上記リンクに ECG アプリの対応国リストあり。この記事の執筆時点にて日本は未対応。

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Fitbit
Fitbit, Inc., 無料

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※このレビューは 2020 年 10 月、 2021 年 11 月に行いました。最新ソフトではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。

※記事の執筆時点でベルギー在住の筆者が測定したデータに基づきます。ご不明な点は医療機関等にお問い合わせください。

※この記事のアプリ画面は Android 版です。 iPhone 版も同じような機能と画面が用意されています。

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この記事のカテゴリ:体調管理とガジェットレビュー
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このブログを書いている人

ダイブツ
twitter: @habatakurikei
元々IT系だけど電気系技術者。20代で博士号を取得するも、全然社会の役に立てないのが不満でブログによる情報発信を開始。あなたに有益な知識やノウハウを理系目線かつ図解でわかりやすく解説するのがモットー。2018年心臓発作であわや過労死寸前。そこからガジェットレビューを通じた体調管理の情報発信も開始。ベルギー在住でシンガポール就労経験もあり、海外転職や海外生活のノウハウも公開中。

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