デング熱で人生初の39℃台を経験し死ぬかと思ったおはなし
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この記事では私がデング熱に発症したときの体験談と対策方法をまとめます。これから東南アジアなどに渡航される方への参考になれば幸いです。私はシンガポールでやられました。
デング熱は予防接種も特効薬もありません。蚊に刺されないことが唯一の予防策です。また発症したら熱を下げるといった対処療法しかありません。潜伏期間があり時間差で発症しますので注意が必要です。
私のデング熱経験談:突然の発熱から回復まで
おでこに蚊に刺された
シンガポールで働いていたある日の帰宅途中、おでこに腫れている部分があることを見つけました。
シンガポールで蚊に刺されることは珍しくありません。ただデング熱という感染症があることは知っていたので、蚊に刺されには気をつけていました。
この国は一年中暑いので、建物やバスの中はエアコンガンガンで寒いくらいです。そのため私は常に薄手のパーカーを着ていました。ズボンも長いものをはいていたので、肌の露出はできるだけ控えていました。
休日の外出はいつも帽子もかぶっていました。しかし通勤中は帽子をかぶらなかったので、おでこの蚊に刺さされを防ぐことはできませんでした。
2日後の朝から高熱にうなされる
その 2 日後のことです。朝いつもどおり目を覚ましたとき、パン!と風船が割れたような音を頭上で認識しました。この音自体はただの妄想のはずです。運動会でピストルが鳴ったように、音が鳴ったタイミングで一気に体が熱くなってきました。
おかしいと思って体温を測ったところ、39℃台になっていました。
生まれて初めての 39 ℃台です。風邪をひいてもここまで体温が上がったことはありません(インフルエンザはかかったことがありません)。
ここでふと、 2 日前に蚊に刺されたことを思い出しました。「やっちゃった…」という気分でした。
デング熱と似た感染症でジカウィルス(ジカ熱)もありますが、こちらは症状が軽度です。デング熱しかないと思いました。
熱で出勤どころではありません。会社には休むことを伝えました。熱でうなされ、その日はベッドで身動きがとれませんでした。
病院に行くも解熱剤しか出されず
翌日、熱が少し下がった(37℃台)ころをみはからって会社指定の病院に行きました。医療費が会社負担になったためです。
私は意識がもうろうとした状態で医者と話しました。しかしその医者は普通の風邪の患者と同じように、体温測定と診察をしました。デング熱と診断されませんでした。熱が下がっている状態で行ったので仕方ないのかもしれません。
蚊に刺されたことも医者に言うのを忘れていました。もし伝えていれば対応は変わったかもしれません。蚊が原因であれば話は違います。
シンガポールでは蚊やボウフラが発生しそうな水たまりがあると罰金になります。自宅や職場であれば、コップやタイヤを屋外に放置して雨水をためるのもアウトです。見つかった場合は法律による罰則規定があります。警察によるチェックがあると聞いたこともあります。
ただ一人で病院に行ったため、気持ちに余裕がなく蚊のことまで頭が回りませんでした。今思うと仲間に病院に連れて行ってもらえば良かったと反省しています。
後日、シンガポール人の同僚が同じ症状で病院に行きました。蚊の話をしたためか、大学病院に搬送されたようです。彼は2週間会社を休みました。
このように、対応が変わりますので病院では蚊に刺されたことを伝えましょう。
結局、病院で解熱剤と抗生物質をもらい診察終了。帰りにスーパーでスポーツドリンクを大量購入しました。
帰宅後ふたたび熱がでてきたので、薬を飲んでとにかく安静にしていました。食欲はまったく出ず、食事もまともに食べられませんでした。
解熱剤のおかげで体温は下がりました。しかし薬の効きが切れると同時にまた体温が上がる感じがしました。数日間は熱が下がったり上がったりの繰り返しで、まったく生きた心地がしませんでした。
そして 4 日後、ふらふらになりながらもなんとか回復しました。
月曜日に蚊に刺され、水曜日に発症、木曜日に病院に行き日曜日まで休みました。同僚のケースのように2週間は休みませんでした。
デング熱対策と発症時の対応
予防するにはどうすればよいか?
デング熱の基本的な情報は厚生労働省の解説をご覧ください。予防接種はありません。
外部リンク:デング熱に関するQ&A|厚生労働省
私の場合、発疹まであったかは記憶にありません。ただここに書かれている症状がほぼ当てはまっていました。
一番の予防は蚊に刺されないことです。着るものに注意したり、蚊の出そうな茂みや水たまりに近寄らないなど注意が必要です。
観光で東南アジアなどに来るのであれば、電池式の携帯蚊取り線香や虫よけスプレーを使うのも良いでしょう。私のように毎日シンガポールで生活していた人は、一年中スプレーをするのが面倒なのでやりませんでした。
そのため私は普段から薄手のパーカーを着て、腕に刺されないように気をつけていました。ところがおでこに刺されて発症してしまいました。帽子もあった方が良いでしょう。
刺された場所と思われる職場の敷地には大木や草木の茂る場所があり、蚊やボウフラの発生する環境がありそうでした。やはり危ない場所には近づかないように注意してください。
自宅では蚊取り線香をつけていたので問題ありませんでしたが、屋外では本当に注意が必要です。
ちょうどこの記事の執筆中、朗報が入りました。アメリカ北部の州でデング熱ウィルスを無毒化する蚊を放し、感染者が減ったというニュースです。
外部リンク:デング熱の感染予防、蚊を使って成功 豪研究 – BBCニュース
残念ながらワクチンを開発したニュースではありません。蚊に刺されても感染しない可能性が増えただけです。それでも高熱にうなされずに済むので、今後のさらなる研究結果が待たれるところです。
やはり根本的な対策は蚊に刺されないことです。
発症したらすぐ病院へ
デング熱にワクチンはありません。もし発症したら熱を下げるなどの対処療法しかありません。
シンガポールには 2 年半滞在し、何度も蚊に刺されました。しかし発症したのはこの 1 回だけでした。そのため蚊に刺されただけですぐに騒ぐのも考えものです。発症するとは限りません。
発症した時にすぐ対処できるように準備をしておきましょう。
たとえば家族や友達、仲間にすぐ連絡して病院に行くのを助けてもらうことが必要です。
そして病院では「◯日前、◯◯(場所)で蚊に刺された」と医師に必ず伝えてください。
病院では解熱剤が処方されるはずです。その解熱剤をきちんと服用し、スポーツドリンクで水分とエネルギーを補給しましょう。熱が下がるまで安静にするしかありません。
もし日本帰国時に熱が出たのであれば、最寄りの病院に行きましょう。感染してなくても不安であれば、厚生労働省のページにあるように最寄りの空港の検疫所か最寄りの保健所に相談してください。
みんなで力をあわせて乗り切りましょう。
まとめ
このような経験は二度としたくありません。少しでも私の体験談がお役に立てれば幸いです。
要点をまとめましょう。
- デング熱の予防は蚊に刺されないようにするしかない。長袖の服や帽子で肌の露出を控える。また草木の茂っている場所や水たまりにはできるだけ近づかない。
- 発症したと思ったらすぐに病院に行こう。家族や仲間に付き添ってもらった方が良い。いつ・どこで蚊に刺されたかも医師に伝えよう。
- 高い熱が出るので食欲もなくなる。スポーツドリンクで水分と栄養補給をし、薬を正しく服用して熱が下がるまで安静にしよう。
※この記事の内容は 2016 年 7 月に経験した内容をまとめたものです。最新の情報は厚生労働省などの公的機関に問い合わせ願います。