THIM vs Fitbit 「睡眠の質」表示比較レビュー
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「よく眠れるようになりたい」、「毎日を元気に過ごしたいが朝がつらい」といった悩みは尽きません。
私自身、睡眠トラッカーのレビューをしていても毎日快眠できていないのが現状です。
この記事では THIM という指輪型睡眠デバイスのレビューをします。 Ftibit と睡眠サイクルの比較をして睡眠計測の精度をレビューしました。
実際には THIM のメイン機能は「良く眠れるようにするためのトレーニング」であり、睡眠の質の評価ではありませんでした。実際に比較したところ睡眠ステージの出方には明らかに違いがありました。
他の製品とはコンセプトの異なる機器です。その点に注意してお読みください。
THIMアプリ睡眠管理機能を解説
睡眠管理の基本画面
上図は THIM アプリの睡眠管理画面です。とてもシンプルです。
アプリのメイン画面には日々の睡眠記録の一覧が表示されています。睡眠状態をチェックしたい日の「スリープトラッカー」をタップします。
上図右に示す画面が睡眠分析結果です。
画面上部には睡眠サイクルが表示されます。睡眠ステージは「覚醒/浅い(ノンレム睡眠)/深い(ノンレム睡眠)」の 3 ステージです。レム睡眠は記録されません。
グラフの下には睡眠データが表示されます。項目はシンプルに「睡眠効率(ベッドや布団にいた時間のうち実際に寝ていた時間の割合)」、「眠りに落ちるまでの時間」、「合計睡眠時間」のみです。
一番下には各睡眠ステージの消費時間と占有比率が表示されます。
睡眠図の共有機能はありません。
目玉機能はスリープトレーニング
THIM のメイン機能は「スリープトレーニング」です。睡眠状態の計測がメインではありません。
アプリメイン画面から記録開始ボタンをタップすると上図に示す画面が表示されます。
この画面の一番上に表示されているのが「スリープトレーニング」です。トレーニングをしながら睡眠状態を記録して良く眠れるように日々改善していくのが THIM の基本機能です。
この記事の最後にスリープトレーニング機能を解説します。ひとりでやるには意外と難しい機能でした。
中段には「スリーブトラッカー」ボタンがあります。この機能で今回睡眠計測機能をレビューしました。
下段には「パワーナップ」ボタンがあります。昼寝のサポート機能ですが、今回レビューは省略しました。
レビュー方法
データの取り方や設定をここで整理します。結果だけ知りたい人はここを飛ばしてください。
データの取り方
睡眠の質を比較するための判断基準は Fitbit のデータです。過去の経験上、起床後の身体の感覚(すっきりしているか、眠気が残っているか)と睡眠図に最も関連性を見いだせているのが Fitbit だからです。
左腕に Fitbit, 右手人差し指に THIM を装着していつも通り就寝しました。 THIM アプリの解説には「 THIM の装着場所は利き手の人差し指がベストです。」とあるのでそれに従いました。
起床後アプリでデータを収集し、両デバイスの波形を比較しました。その結果を解説します。
計 17 日分データ収集しました。
睡眠の質を評価するポイント
医師が書いた睡眠に関する本や私が Fitbit で計測した睡眠データから、睡眠の質をチェックするポイントは以下の 3 つに整理しました。
- 「覚醒」から「最初の深い睡眠」に入るまでの時間は短いほど良い (30 分以内が目安)
- 最初の深い睡眠は 20 分間以上あることが望ましい
- 睡眠中の途中覚醒回数は少ない方が良い
1 番が最も重要で、番号順に優先順位は下がります。各項目の詳細と根拠については下記の補足説明をご覧ください。
睡眠サイクルの比較結果
上図は代表的な睡眠サイクルの比較結果です。 THIM の睡眠サイクルをグレースケールにして、その上に Fitbit のグラフを重ねました。就寝時刻と起床時刻は合わせてあります。
ぱっと見た感じ、 Fitbit と THIM で判定が逆になっています。 THIM の睡眠サイクルでは比較的睡眠初期のタイミングで深い睡眠が検出されています。
Fitbit のグラフを 3 つのポイントから分析するとこのようになります。
- 最初の深い睡眠まで 90 分以上 (30 分以内が良い) → ×
- 最初の深い睡眠が 21 分間 (20 分間以上が良い) → 〇
- 中途覚醒 0 回 → 〇 (判定の優先順位は低い)
- 睡眠の質の総合評価 → ×
この日は起床後すっきりしていなかったので Fitbit の方が実際の睡眠状態を表していたと思われます。
THIM は全体的に深い睡眠が多めに出る傾向にありました。ある日の睡眠では深い睡眠が 3 時間以上あったと記録されました。
Fitbit や他のトラッカーでは 3 時間以上の深い睡眠は基本的に計測されません。
また THIM のグラフは中途覚醒(睡眠中の目覚め)が明らかに多く、不自然な感じが否めません。
上図は別の日の睡眠サイクルの比較結果です。
Fitbit, THIM どちらも良い睡眠がとれたと判断できます。実際にこの日はスッキリ目覚めることができました。
ただしこの 2 例からわかります。 THIM で計測された睡眠サイクルがどうしてもワンパターンに見えました。よく眠れても眠れなくても同じような傾向の睡眠サイクルしか計測しない感じでした。
THIM は心拍数を計測しません。加速度センサーだけ(睡眠中の身体の動きだけ)で睡眠状態を分析していると思われます。
この加速度センサーのデータ分析が実際に起きている脳波の状態とずれがあり、計測精度に誤差が出ていると思われます。
以上のことから、 THIM を使って日々の睡眠状態をチェックすることはあえておすすめしません。
利用する際の注意点
その他レビュー中に気がついたことを整理します。
付属の白いベルトのサイズが合わなかった
THIM は指に装着して寝るタイプの機器です。付属の白いベルトで自分の指に合うサイズに調整します。
このベルトがうまく一致せず苦戦しました。
大きいベルトだと睡眠中に外れてしまい計測が止まりました。またひとつ小さいサイズだときつすぎて寝るのに支障がありました。
結果的には上の写真に示すようなビニールテープで本体を固定しました。
苦しくならないようにそっとテープを指に巻くことでデータを計測することができました。
スマートアラームではっきり目覚めることができる
THIM にはスマートアラーム機能があります。睡眠計測開始直前にこの機能を ON にして就寝しました。
実際のアラーム時刻よりも前に、浅い睡眠状態でアラームすることではっきり目覚めることができます。実際にできました。
この機能があることで二度寝の防止ができます。素晴らしい機能です。
ただし、睡眠の質を改善する機能ではありません。あくまでも起床を楽にするための機能です。
睡眠トレーニングはトレーナーの指導が必要
THIM の機能で他の製品にないもの、それはスリープトレーニング機能です。
よく寝付けるようになりたいと思う人は多いです。そのような人に本来はおすすめしたい機能です。
アプリでスリープトレーニング機能を ON にして睡眠を開始します。上図は開始部分の画面になります。
原理を説明します。しっかり寝落ちできるようにするため、一晩で浅い寝落ちと目覚めを自発的に繰り返します。アプリがこの繰り返しを誘導します。
上図右に示すように、布団に入った状態で 1 時間(初期設定)まずは寝落ちと目覚めを繰り返し、そしてそのまま眠り睡眠状態を計測しながら朝を迎えます。
この目覚めの確認には振動を使います。振動の感度は弱くしたり強くしたり調整できます。
実際に使ってみて、振動そのものが逆に気になりうまく寝付けませんでした。試行錯誤しましたが最後までどのように活用すればよいのかわかりませんでした。
スリープトレーニング機能を最大限に活用するにはトレーナーが必要かもしれません。私ひとりでこの機能を使いこなすことはできませんでした。
まとめ
THIM は他のメーカーにはないユニークな製品です。そのため誤解を生むかもしれません。
睡眠計測ありきではなく、睡眠トレーニング機器としての活用が望まれます。
この記事をまとめましょう。
- THIM は睡眠を計測する機器というよりもよく眠れるようにトレーニングするための機器。原理を理解したうえで活用するにはひとりよりもトレーナーがいた方が良い。
- 睡眠精度ありきで購入すると誤解が生じる恐れあり。睡眠サイクルにレム睡眠は記録されず、かつ傾向は毎日似たような感じだった。
- 付属のベルトで自分の指に合うようにサイズ調整するが、合うサイズがなかった。結果的にビニールテープで指に固定した。
※このレビューは 2022 年 3 月 から 4 月にかけて行いました。最新アプリではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。
※良い睡眠がとれたかどうかは必ずご自身の体調や起床後の気分などでご確認ください。アプリの表示は計測結果を保証するものではありません。