SleepCycle vs Fitbit「睡眠の質」表示比較とアプリレビュー

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SleepCycleアプリiPhone,Android写真

SleepCycle は呼吸から睡眠状態を分析するアプリです。スマートウォッチなどを使わずに毎日の睡眠状態を分析してくれます。

この記事では SleepCycle の睡眠分析機能を徹底的にレビューします。果たしてどれくらい便利なのでしょうか?

結論から言うと、 iPhone 版はおすすめです。 Android 版は NG です。

両アプリをレビューした結果、起床後の気分や体調と一致した睡眠分析をしたのは iPhone 版のみでした。 Fitbit のトラッカーを使ってできるだけ客観的に分析した結果です。

では詳しく説明していきましょう。

SleepCycle アプリ(無料版)で何ができる?

SleepCycle アプリの機能を簡単に解説します。

スマホだけで毎日の睡眠の質を計測できる

SleepCycleのメイン画面

上図は睡眠管理のメイン画面です。画面中央には大きく数字とグラフが表示されています。

画面上の数字と円グラフは「睡眠の質(スコア)」です。アプリが毎日の睡眠に点数をつけてくれます (100 点満点)。

睡眠スコアの右にある数字は「睡眠時間」です。 Android 版は寝床にいた時間だけ表示されます。 iPhone 版は「寝床にいた時間」と「実際の睡眠時間」の 2 つを表示してくれます。

睡眠スコアの下にあるのは睡眠図(睡眠サイクル)です。以下の 3 ステージで睡眠状態を表示します。

  • 覚醒(目覚め)
  • 睡眠(浅いノンレム睡眠)
  • 深い(ノンレム)睡眠

レム睡眠はありません。このアプリではレム睡眠を分析できません。ご注意ください。

このレビューでは睡眠サイクルを使って質を評価します。睡眠スコアは算出方法が分からないため評価しません。

これだけの分析がスマホだけでできるのは便利ですね。睡眠の質がどれくらい精度が良いのかは後ほどレビューします。

いびきの自動録音ができる

SleepCycleの詳細画面

先ほどのメイン画面から下にスクロール(上にスワイプ)すると詳細データが表示されます。

無料版では下記のデータが表示されます。

  • 規則性
  • 寝るまでの時間 (iPhone のみ)
  • 就寝時刻
  • 起床時刻
  • いびきをかいた時間

規則性は最初の 5 晩分の睡眠データがないと表示されません。使い始めの頃はまずデータ収集に専念しましょう。

Apple ヘルスケアや Google Fit 等と連携すると「歩数」などのデータもアプリ内で表示されます。

またさらに詳しいデータ解析をしたい場合は有料サービスに申し込む必要があります。

上記の各睡眠データはこのレビューでは使いません。例えば、いびきをかいた時間と睡眠の質の因果関係が不明だからです。あくまでも睡眠サイクルをレビューに使用します。

ただし「寝るまでの時間」は参考になるでしょう。上図では 8 分で眠りました。この数字は小さい(短い時間で眠れる)方がいいです。なぜか iPhone 版しか表示されません。

詳細データの下には「睡眠メモ(ノート)を追加」というボタンがあります。日々の睡眠を振り返ってメモ書きを残す機能です。しかしこの機能は有料です。

さらに下には録音されたいびきの一覧が表示されます。一晩で何度もいびきが発生すれば、発生した回数分録音されます。

この録音機能自体は無料ですが、再生は有料です。

いびきの録音は睡眠時無呼吸症候群かどうかを知るヒントになります。自動録音は便利な機能でしょう。

睡眠図の共有で医師と睡眠改善ができる?

睡眠図のシェア

睡眠図はシェアができます。

「グラフ(図表)をシェア」というボタンをタップすると共有画面が表示されます。

iPhone/Android どちらのスマホでも共有ができます。上図右の「画像ファイル」が共有された睡眠画像です。

「睡眠サイクルを友人とシェアするの?」と思われるかもしれません。これは将来的に医師と睡眠障害(不眠症など)を改善していくために必要な機能です。医師から的確なアドバイスをもらうためには日々の睡眠データも共有できた方がいいからです。

日本ではまだ浸透していませんが、アメリカでは個人の睡眠データを医師と共有して活用する試みは始まっています。

日本の医師の先生方にも理解を示していただけるといいですね。

過去のデータをチェックして体調の変化を確認できる

過去の睡眠データ履歴画面

過去のデータは左右にスワイプすることで表示されます。

また画面右上にあるカレンダーのマークをタップすると、カレンダー式で睡眠スコアが表示されます。

平均睡眠時間も表示されると良いのですが、統計機能は有料です。

過去のデータはとりあえずスマホ内に保存されています。クラウド保存するには有料サービスに申し込む必要があります。

有料サービスに申し込まずスマホを変えた場合は、過去のデータが消える(移行できない)ことになる点をご理解ください。

睡眠の質チェック方法まとめ:入眠直後に深い睡眠まで一気に落ちるかどうか

SleepCycleで睡眠の質をチェックする方法

睡眠レビューの結果だけを先に説明します。

iPhone 版アプリでは睡眠の質をチェックできます。 Android 版では難しいです。

良く眠れたかどうかの判断基準はズバリ「入眠直後に深い睡眠までストンと落ちたかどうか?」です。

上図はレビューの抜粋です。左に示す様に、良く眠れた場合は入眠してから一気に「深い睡眠」まで行きます。しかし右に示す Android 版では深い睡眠の手前でカーブが止まり、また上に戻ります。

Fitbit を基準にして両アプリを比較したところ、 iPhone 版は毎日の睡眠サイクルと起床後の振り返りがかなり一致しました。しかし Android 版では基本的に一致しませんでした。

そのため SleepCycle を使うのであれば iPhone 版のみ推奨です。

詳細なレビューはこのあと説明します。

レビュー方法

どのように睡眠の質をレビューしたのかできるだけ詳しく整理します。比較結果だけ知りたければここは飛ばしてください。

データの取り方

睡眠データのとり方イメージ

上図のイメージで毎晩睡眠を計測しました。

枕元には iPhone と Android スマホ両方を設置します。使用したスマホのモデルと設定は下記のようになっています。

  • iPhone 7 (iOS 13.2.3)
  • ZenFone 3 Ultra (Android 7.0)
  • どちらのスマホにも SIM カードは入っていない(睡眠データどり専用)
  • どちらのスマホも「機内モード ON」(電波の影響を減らす)
  • どちらもスマホカバーは外す(カバーによる計測誤差を減らす)
  • 2 つのスマホの間には距離をあける (約 20 cm)
  • スマホの位置は毎日左右入れ替える(設置場所の影響を減らす)

腕には Fitbit 製トラッカー (Versa 2) を装着します。装着する腕の設定(利き手/非利き手)の設定は確認済みです。

この状態で 14 日間分のデータをとりました。

アラームのセットと計測開始が同じタイミング

計測開始ボタンの種類

SleepCycle では 3 種類の計測開始ボタンがあります。

  1. 時間範囲を指定 (例 7:00 – 7:30) したアラーム付き計測開始
  2. 起床時刻を指定 (例 7:30) したアラーム付き計測開始
  3. アラームなしで計測のみ開始

このレビューでは「 3 アラームなし」を使用しました。 iPhone と Android ふたつのスマホにそれぞれアラームをセットすると計測条件が変わるためです。

アラームは普段使用している別のスマホ (SIM カード入り) でセットしました。

ちなみに時間範囲指定アラームとは、指定した時刻の範囲内で「目覚めやすいタイミング」を狙って音を出すアラームです。睡眠のリズムを使って起きやすいタイミングをアプリが判断してくれます。スヌーズのように無理やり何度もアラームを出すよりも無理なく起床できます。

睡眠の質といびき検出にマイクを設定

検出方法の設定

重要な設定です。計測前に必ず確認しましょう。

このレビューでは睡眠の検出に「マイク」を使用します。呼吸やいびきを録音するためです。上図で設定を確認しましょう。

マイクの他に「加速度センサー」という検出方法もあります。これは睡眠中の寝相(体の動き)から睡眠の状態を記録する方法です。

アプリとしては「マイク」を推奨しています。このレビューではアプリの推奨に従いました。

もし「いびきが発生したタイミングを知りたい」のであれば「いびき検出」もオンにしましょう。あくまでも無料版は録音まで、再生は有料です。

睡眠の質を評価するポイント

医師が書いた睡眠に関する本や私が Fitbit で計測した睡眠データから、睡眠の質をチェックするポイントは以下の3つに整理しました。

  1. 「覚醒」から「最初の深い睡眠」に入るまでの時間は短いほど良い(30分以内が目安)
  2. 最初の深い睡眠は20分間以上あることが望ましい
  3. 睡眠中の途中覚醒回数は少ない方が良い

1番が最も重要で、番号順に優先順位は下がります。各項目の詳細と根拠については下記の補足説明をご覧ください。

関連記事:補足:睡眠の質をチェックする3つのポイント(各社の活動量計の睡眠管理機能を徹底レビュー)

睡眠サイクルの比較結果

良い波形の例ではiPhone版とFitbitが一致

良い睡眠がとれた日の睡眠サイクル比較

上図はよく眠れた日の睡眠サイクルです。 iPhone/Android どちらも同じ晩の睡眠データです。

SleepCycle の波形をグレースケールにして、その上に Fitbit の睡眠サイクルを重ねて表示しています。就寝時刻と起床時刻が一致するように横軸も調整済みです。

上図左の iPhone 版の波形をご覧ください。睡眠冒頭部分が Fitbit ときれいに一致しています。

先に紹介したチェックポイントから睡眠の質をこのように評価できます。

  1. 最初の深い睡眠まで 7 分 (30 分以内) → 〇
  2. 最初の深い睡眠が 36 分間 (20 分間以上) → ◎
  3. 中途覚醒は 1, 2 回 → △(ただし優先順位は低い)
  4. 総合評価 → 〇

ただし SleepCycle では「どのステージが何分間か?」調べることができません。上記の時間は Fitbit で調べました。

SleepCycle では「入眠後、グラフが深い睡眠までストン!と落ちるかどうか」で睡眠の質を評価してください。

実際、 Android の方は同じ日の睡眠なのに深い睡眠までストンと落ちていません。深い睡眠の手前で下げ止まり、覚醒に向かっています。 Fitbit の波形と一致していません。

この日はスッキリ目覚めることができ、良い睡眠がとれたと自覚しています。 Fitbit の計測結果と自分の体調が一致しています。

iPhone 版アプリは評価結果〇, Android 版は NG です。

悪い波形の例でもiPhone版とFitbitが一致

睡眠の質が悪い日の睡眠サイクル比較

上図は眠れなかった日の波形です。この日は起床後もあくびをするなどスッキリしませんでした。

iPhone 版はこのときも Fitbit と冒頭部分の波形が一致しました。チェックポイントを使って評価するとこうなります。

  1. 最初の深い睡眠まで 1 時間以上 (30 分を超えた) → ×
  2. 最初の深い睡眠が 40 分間 (20 分以上) → ◎
  3. 中途覚醒が 2, 3回 → △
  4. 総合評価 → ×

チェックポイント②の深い睡眠の消費時間は基準を満たしています。なのにどうして総合評価は × なのでしょうか?

チェックポイントには優先順位があります。①が最重要です。

睡眠中の冒頭部分で深い睡眠が出るかどうかが重要です。中盤や後半で深い睡眠が出ても、序盤に出る時よりも疲れはとれません(もちろん出ないよりは良いですが)。

そのためやはり SleepCycle では「入眠直後にストンと深い睡眠まで落ちるかどうか」で睡眠の質をチェックしてください。

Android 版は再び iPhone 版と逆の表示になりました。同じ日の睡眠なのに今回は「冒頭部分で深い睡眠まで落ちて」いますね。

Fitbit は「眠れなかった」と表示しているのに対して Android 版アプリは「眠れています」と逆の評価をする恐れがあります。

以上、 iPhone アプリは評価に使えます。 Android 版は日々の睡眠評価に使うことをおすすめしません。

Android版が悪い原因はマイクの性能?

録音されたいびきの発生タイミングの比較

どうして Android 版では評価結果が逆になったのでしょうか?

使ってみて唯一推測できること、それは「呼吸の録音が違う」、「マイクの性能が違う?」ことです。

上図に同じ日のいびきの発生時刻を比較しました。 iPhone と Android でいびきの検出が違います。この日に限っていうと、 Android 版の方がいびきの検出が少ないです。

もちろん同じように取れた日もありました。そのため原因は特定できずあくまでも推測です。

少なくとも Android スマホのマイクは故障していません。通話も録音も問題なくできます。

ただ iPhone と違って Android スマホは機種ごとにマイクの性能は違います。アンドロイドスマホの機種をすべて評価することはできません。

アプリ内の睡眠分析方法は同じはずです。アプリ内の処理が iPhone と Android で違うのであればクレームものです。

iPhone 版で1回だけデータがとれなかった

iPhoneで睡眠が計測できなかった例

14 日間の計測のうち、 1 日だけ iPhone 版はデータがとれませんでした。

振り返ってみましたが、原因を特定することはできませんでした。

Android 版は 14 日間すべてでデータはとれましたが、分析結果が Fitbit と異なりました。

もしデータがとれなかった場合はマイク設定を念のため確認してください。

有料サービスの注意点

有料サービスへの入会画面

有料サービスに申し込むと下記の機能が追加されます。

  • 睡眠傾向の統計解析
  • 睡眠メモ
  • いびき録音音声の再生
  • 睡眠音導入(ヒーリング音楽)
  • オンラインバックアップ

注意してください。買い切りではありません。サブスクリプションなので毎年支払いが生じます。この記事の執筆時点で年額 3,000 円です。

いびきの再生ボタンをタップしたときの反応

私がもし購入するのであれば期待する機能は「いびきの再生」でしょうか。もし睡眠中に異常ないびきをかいているのであれば聴いてみたいです。

もし家族やパートナーがいれば迷惑かけたくないですもんね。

上図のように録音されたいびきを再生しようとしても、有料プランへの案内になります。

専門家のアドバイス機能があれば有料でも納得できます。機能の拡張だけであればあえて購入する必要はない、これが個人的な感想です。

無料お試し期間もありましたが使いませんでした。毎日の睡眠サイクルがわかり、正確に計測できていれば十分です。

まとめ

スマホだけで毎日の睡眠が計測できるのは便利ですね。スマートウォッチなどを身体に身につけるのが嫌な人にはこのアプリで十分でしょう。

この記事をまとめましょう。

  • SleepCycle はスマートフォンで呼吸を記録するだけで日々の睡眠状態を分析できる。
  • iPhone 版アプリを推奨する。レビューの結果 Android 版の分析は比較基準の Fitbit とは異なり、起床後の体調状態も反映されていなかった。
  • 有料版もあるが無料版で十分。もし購入するのであれば「いびきの再生」機能か。
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※このレビューは 2020 年 5 月に行いました。最新ソフトではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。

※良い睡眠がとれたかどうかは必ずご自身の体調や起床後の気分などでご確認ください。アプリの表示は計測結果を保証するものではありません。