9hスリープラボにFitbitを持ち込み睡眠データを比較してみた

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ナインアワーズ赤坂スリープラボ建物外観

ナインアワーズ赤坂スリープラボは睡眠中の身体の状態を計測してくれる「日本初のウェルネス・カプセルホテル」としてニュースになりました。

睡眠問題を抱えている現代人にとって、自分がどういう状態で寝ているかを知ることは不眠解消のための第一歩といえるでしょう。

この記事ではスリープラボのサービスを実際に利用してレビューしました。数多くの睡眠計測デバイスをレビューしてきたが私が理系目線で徹底解説します。

結論から書くと Fitbit などの市販品で十分です。普段の生活に密着しているデバイスの方が本当の自分の睡眠状態を教えてくれます。

スリープラボはカメラを使った寝相の撮影や睡眠時無呼吸症候群のチェックをできることが強みだとわかりました。

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しくみ:カプセル内にあるセンサーで睡眠状態を計測

スリープラボのカプセル内に設置されたセンサー類

カプセル内ではどのように睡眠状態を計測しているのでしょうか?上の写真にて整理しました。

過去さまざまな睡眠計測デバイスをレビューしてきた私には簡単に推測できました。いわゆる「マット型計測デバイス」が内蔵されているものと思われます。

マット型デバイスには圧力センサーが内蔵されています。この圧力センサーが体動(寝返り)を計測します。また心拍数を計測するセンサーも内蔵されています。

カプセル内天井側には「マイク」と「カメラ」があります。マイクは睡眠中のいびきの計測、カメラは睡眠中の寝相の撮影に使われます。

自宅で同じ環境を作ることは可能です。ただしカメラやマイクを設置してコンピュータにつないでデータを収集させるのは大変ですよね。

その点この設備に足を運ぶだけで計測できるのは便利です。

関連記事:睡眠はどうやって計測されるの?トラッカータイプ別にしくみを解説

Fitbitを持ち込んで睡眠データを収集し比較した

実際に赤坂スリープラボに一泊して睡眠データをとりました。再現性のある記事にするため計測条件と実際に計測されたデータを公開します。

当日の体調と就寝条件

就寝直前のFitbitの歩数画面
寝る直前の Fitbit Charge 5 の状態

ベルギーから日本に一時帰国している最中での宿泊でした。

そのため日中は日本でやるべき用事を済ませていました。上の写真に示すように Fitbit の歩数は 16,000 歩を超えていました。

夜 9 時を過ぎてからチェックインしました。そして下記に示す条件で就寝しました。

  • 体調は良好
  • 日本到着後一週間が経過し、時差ぼけも解消した状態
  • 夕食を事前に済ませてからチェックイン
  • スマートフォンはカプセル内に持ち込まず、電源を切ってロッカー内に残した(電波の影響を除外するため)
  • 備え付けのシャワーを就寝前には利用せず、事前に浴びてから来た
  • スリープラボにて提供された館内着を着用
  • 枕と掛け布団も備え付けのものを使用
  • 未使用の靴下を着用してから就寝(体の冷えを防止するため)

レポートには数値データとグラフの両方がある

「スリープフィットスキャン」と呼ばれるレポートの発行まで 1 週間ほどかかるとのことでしたが、実際には 5 日後にメールで届きました。

睡眠レポートは PDF 形式で全 6 ページ。計測結果が記載されているのは 3 ページ目と 6 ページ目、残りは表紙・前書き・解説でした。

前書き後の 3 ページ目には下に示すような「あなたの睡眠の状態」という睡眠データが一覧で表示されます。下の図は実際に計測した私の睡眠データです。

ナインアワーズ赤坂スリープラボスリープフィットスキャンレポート

各項目の解説と正常数値の範囲がレポートの 4 ページ目と 5 ページ目にあります。下記に示すように、ぱっと見た感じでは睡眠状態に問題なさそうでした。

  • 睡眠時間 → 8 時間弱で問題なし(国際標準では 7 – 8 時間)
  • 寝返り → 38 回と多め(正常範囲は一晩おおむね 20 – 30 回)
  • いびき → 最大音量は 51 dB で低め、回数は正常範囲の記載なし(走行中の車内音量が 60 dB レベル)
  • 呼吸 → 「 10 秒以上呼吸が止まった回数」は 1 時間 1 回で問題なし(基準は 5 回未満)、「一定のリズムでない呼吸回数」は 1 時間 13 回で問題なし(基準は 20 回未満)、そのため睡眠時無呼吸症候群に該当せず問題なし
  • 心拍数 → 高くはない、かつ普段から認識している範囲だった

レポートには 5:43 起床とありますが実際には 4:30 ごろには目覚めていました。しばらくカプセルから出ずごろごろしていたので寝返り回数は多めに計測されているかもしれません。

また就寝時刻が 21:53 であり Fitbit の写真の時刻 22:07 よりも早い段階で計測が始まっています。カプセルの設備を調べるために一度カプセル内に入りましたが、計測が始まったのでしょうか?

最後のページには睡眠中の写真ともっと細かいグラフがこのようにまとめられています。

スリープフィットスキャンの睡眠ステージ、心拍数、呼吸状態のグラフ

ページ上部には睡眠中の私の寝顔の写真がぼかし入りで 3 枚あります。

その下には複数のグラフがあります。上から順番にこのようなグラフがあります。

  • 睡眠サイクル、寝返り、いびき、一定のリズムではない呼吸、 10 秒以上とまった呼吸
  • 心拍数のグラフ
  • 呼吸の強さ
  • 心拍数のばらつき(低周波)
  • 心拍数のばらつき(高周波)

これらのうち睡眠サイクル、心拍数、呼吸の強さについては Fitbit にもデータがあるので比較してみます。

Fitbitとデータを比較

ナインアワーズとFitbitの睡眠ステージの比較結果

上図は睡眠サイクル(睡眠ステージ)の比較結果です。スリープフィットスキャンのグラフをグレースケールにして、その上に Fitbit のグラフを重ねています。時間軸はどちらも同じになるように調整済みです。

Fitbit では「覚醒、レム睡眠、(浅い)ノンレム睡眠、(深い)ノンレム睡眠」の 4 ステージを計測します。

一方、スリープフィットスキャンのデータはレム睡眠を浅い睡眠、ノンレム睡眠を深い睡眠と表示しています。睡眠ステージの定義に違いがあるのでレポートの読解には注意が必要です。

スリープフィットスキャンのデータにはレム睡眠がほぼありませんでした。代わりに睡眠時間のほとんどがノンレム睡眠であると判定されました。

Fitbit では 22:24 の計測開始から数分後に「(浅い)ノンレム睡眠」、さらに数分後に「(深い)ノンレム睡眠」に移行しています。睡眠のあるべき姿としては Fitbit のグラフの方が自然です。

また Fitbit は 5:40 の起床前に一度赤い凸があります。この凸の発生タイミングが 4:30 前後で、実際に目が覚めたタイミングです。

今回は一晩だけの計測なので、この結果だけで睡眠精度を議論するのは難しいです。

しかし睡眠ステージに関しては Fitbit の方がよく計測できているといえるでしょう。

ナインアワーズとFitbitの睡眠中心拍数の比較結果

上図は睡眠中の心拍数の比較結果です。

細い線のグラフはスリープフィットスキャンのデータで、太い緑の線は Fitbit です。 Fitbit のデータは 5 分刻みでデータ数が少ない分、時間調整で画像が荒くなり線が太くなっています。

心拍数の詳しい変化を見るにはスリープフィットスキャンの方がよいでしょう。

ただスリープフィットスキャンの細かいデータを 5 分間の平均値に変換すると Fitbit のグラフと一致しそうな感じがします。

スリープフィットスキャンでは瞬間的に 80 bpm (1 分間に 80 回の心拍)を超えています。しかし全体的には 70 bpm 前後で安定しているため平均すると Fitbit のグラフに落ち着きそうです。

ナインアワーズとFitbitの睡眠中呼吸状態の比較結果

上図は睡眠中の呼吸の強さの比較結果です。残念ながら Fitbit は「推定酸素変動量」を計測しておらず比較できませんでした。

睡眠中の呼吸や血中酸素濃度の比較は興味深い内容だったのですが残念です。

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補足

今回利用してその他に気が付いたことを補足します。

スリープフィットスキャンは診断はしない

送付されたレポートには「レポートの結果はあくまでも参考情報であり、結果が気になる方は医療機関を受診してください。」と明記されています。

また今回紹介した計測機器は医療機器ではないようです。

あくまでも自分のを知るきっかけとしての活用が良いのでしょう。

もっと写真が欲しい

レポート内には寝相の写真が 3 枚しかありません。

一晩寝ているのであればもっと写真が欲しいです。数も欲しいですし寝相がわかる高解像度の写真にしてほしいです。

プライバシーの問題があるのでは?という指摘もあるかもしれません。

今回スリープフィットスキャンを利用する際に「個人データの収集」について事前に同意をしています。プライバシーの件はクリアしているはずなのでもっと写真をレポートに盛り込んでも問題ないはずです。

睡眠時無呼吸症候群の計測ができるのはこの設備にメリットのひとつですが、同じことは市販のマット型計測デバイスで自宅でも計測できます。しかし自宅でカメラを設置して寝相を撮影するのは大変です。スリープラボのメリットはこの写真撮影のはずです。

せっかくお金を払ってデータを取りに行ったのでもっと写真はあってよいと思いました。

館内の環境が異なるので計測に影響あるかも

普段自宅で寝る環境とは違うので、本来の自分の睡眠が計測できていたのか?という疑問は残ります。

館内着を着用しましたが、首回りが小さく首元が少し苦しかったです。

またエアコンや空気清浄機が目の前にあって少しうるさかったです。あと周りのカプセルから漏れる他の宿泊客のいびきも後から気がつきました。

耳栓を受付で借りることができたみたいなので借りるべきでした。少しは違うデータになったかもしれません。

あとカプセルの入り口にカーテンがあるのですが、朝になると光漏れがありました。四角いカーテンにすこし丸みを帯びたカプセルの入口なのでどうしてもすきまができてしまいます。

この辺はカプセルホテル共通の問題かもしれません。改善の余地は十分あります。

まとめ

ナインアワーズスリープラボ赤坂の朝

今回紹介した設備は東京都内に一か所しかなく訪問が難しい人も多いかもしれません。

普段の睡眠状態を計測したいのであれば Fitbit のようなデバイスはかなり優秀です。腕に装着して寝るだけで睡眠ステージや心拍数が手軽に測れることのすごさを今回再認識しました。

ご自身の睡眠状態に不安があるのであれば、多少値段が高くてもトラッカーの購入をお勧めします。

この記事をまとめましょう。

  • カプセル内にはマイク、カメラ、体動(圧電)センサーがあり、睡眠中の心拍数や呼吸の状態、さらに寝返り回数を計測することができる。
  • 後日発行されるレポートには睡眠の状態をチェックする数値やグラフが記載される。レポートは診断結果ではないので気になれば医師に相談しよう。
  • Fitbit と睡眠データを比較したところ、睡眠サイクルは Fitbit の方が自然な形で計測されていた。心拍数やいびきの音量、呼吸回数などはスリープフィットスキャンのレポートは細かく記載された。
  • 普段自宅で寝るのと環境が違うため、本来の睡眠状態が計測されるかどうかはわからない。少なくとも他のカプセルホテルと似た環境であり周囲音の懸念点はあった。耳栓はあったほうがよい。

外部リンク:ナインアワーズ赤坂 sleep lab | 公式サイト

※このレビューは 2022 年 6 月に実施しました。最新の情報は公式サイトにてご確認ください。