Withings Move ECGは心電図が測れるアナログ腕時計

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Withing Move ECG 装着状態
アナログ腕時計だが心電図と心拍数のオンデマンド計測機能がある

Withings (ウィジングズ)はフランスの健康系ガジェットメーカーです。今はフィンランドの NOKIA (ノキア)の傘下ですが欧州のメーカーであることに変わりはありません。

この記事では Move ECG というスマートウォッチの心電図機能 (ECG, EKG) をレビューします。 Apple Watch と比較してどうでしょうか?また Move ECG 独自の機能はあるのでしょうか?

結論から言うと、心電図はきちんと計測できます。ただ通知機能がないなどやや不便です。おしゃれで魅力的なのですが、健康第一の人には物足りないかもしれません。詳しくみていきましょう。

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心電図機能で何ができる?

Move ECG の心電図計測機能を紹介します。

外部リンク:ECG, EKG: how does an electrocardiogram work? | Withings (英語による心電図機能の公式解説)

オンデマンドで心電図と心拍数を計測する

セットアップ完了
開封してセットアップした直後

Move ECG は Apple Watch と同じで本体右側にあるボタンを押すことで心電図を計測します。

違いもあります。 Apple Watch は心拍数を常時計測しているのですが、 Move ECG は心電図の計測中しか心拍数を測定しません。その理由については後ほど注意点で説明します。バッテリーの関係で常時計測ができません。

そのため Move ECG はいわゆるオンデマンド型の計測機能を持つスマートウォッチとなります。必要な時に必要な回数分だけ心拍数と心電図を計測します。

リマインダー機能で毎日同じ時刻に計測

心拍数が常時計測できないのは不便かもしれません。血圧のように定期的にデータを取りたい人にはリマインダー機能をおすすめします。

上の図にあるように、 Withings Health Mate アプリからリマインダーを追加することができます。この機能を使えばいつもの時間にお知らせをしてくれるので定期的に計測できますね。

測定結果をPDFにして医師と共有できる

心電図PDFイメージ

測定した心電図は PDF にして共有できます。Apple のヘルスケアアプリにも同じ機能がありますね。

PDF のイメージは上の通りです。 Apple Watch とほぼ同じ紙面構成ですね。以下の情報で構成されています。

  • 患者名(アプリのアカウント登録名)
  • 測定日時、平均心拍数
  • 波形と目盛り、測定条件
  • 測定デバイス、アプリ名とソフトウェアのバージョン

この機能はかかりつけの医師とメールでシェアする場合に便利です。医師との連携は日本ではまだ始まっていませんが、アメリカでは積極的に導入が進んでいます。命を救うためにも日本でも実現してほしいですね。

心電図PDFシェア方法

PDF の生成手順です。アプリの測定結果の画面から「 PDF を医師と共有」ボタンをタップすると PDF が生成されます。あとは共有ボタンを押すだけです。

計測結果を動画でリプレイできる

心電図PDFシェア方法
再生ボタンを押すと30秒間の計測をリプレイする(上のアニメーションは3秒間分を抜粋)

測定結果はリプレイして振り返ることができます。上のアニメーションにあるように、再生ボタンを押すと波形が自動で右から左に流れていきます。

Apple Watch はグラフを左右にスワイプすることで「手動で」波形を確認できます。しかしこのような自動再生機能はないですね。この点は Withings Move ECG の面白いところかもしれません。

心電図の測定方法

ここからは心電図の計測方法と結果の解釈について説明します。 Apple Watch で心電図計測を経験されていれば同じ感覚で利用できます。

ボタンを押すだけで測定が始まる

心電図を測定中

心電図の測定は簡単です。 Move ECG 本体の右にあるボタンを押すと一瞬振動(バイブレーション)が起きます。その状態で引き続きボタンを人差し指で抑えます。親指は腕時計を固定するためにそえているだけです。アプリと接続していれば親切なガイダンスがあります。

測定は30秒間です。測定中は時計の内側の黄色い針が「あと何秒」という感じで秒針として動いてくれます。測定開始直後は100%(残り30秒)に移動し、そこから0%(終了)まで30秒かけて動いてくれます。

測定終了時にも時計が振動するので指を離します。アプリと接続していればその場でデータ収集して結果を表示してくれます。

アプリと接続して計測していても、まれにアプリ画面に計測中の波形が表示されないことがあります。この場合は気にせず計測を続けてください。

なぜかというと、アプリと接続しなくてもボタンを押すだけで心電図計測は可能だからです。時計内のメモリにデータが記録されているため、アプリと Bluetooth で接続時にデータ収集と結果のまとめが行われます。

時計だけでの心電図計測は、外出先などでアプリ接続をちゅうちょする場合などに便利かもしれません。

結果の種類と見方

測定結果アプリ表示

アプリによると以下の測定結果(判定)があります。

  • 正常洞調律(異常なし)
  • 心房細動(異常あり)
  • 心拍数低すぎ
  • 心拍数高すぎ
  • その他の不整脈(波形に途中未計測部分あり)
  • うるさすぎ(ノイズが多すぎる)
  • 不明瞭(分類不可)

Apple Watch より種類は多いかもしれません。この中でとりあえず「正常洞調律」と「心房細動(異常あり)」、「分類不可」の3種類だけ覚えれば大丈夫です。

心拍数の低すぎ/高すぎは Apple Watch だと自動検出してくれます。 Move ECG は常時計測しないので自動検出できません。

このような症状を自覚されているのであれば救急車を呼ぶなど対応が必要なはずです。救急車が来るまでの間にデータだけ取っておき、病院で医師に測定したデータを渡すといった使い方はできるでしょう。

私は心臓発作で倒れて以降、病院での心電図検査だけでなく Apple Watch や Withings Move ECG で心電図を何度も測定してきました。しかし異常は一度も検出されていません。私の心臓発作は心臓以外に原因があった可能性があります。

Withings Move ECG を利用して分類不可という測定結果になることはあります。しかしこれは測定中に腕を動かした結果の波形の乱れが原因です。安静にしていればきちんと心電図は計測できます。

補足:あくまでも簡易測定

心電図測定法比較

腕時計型の心電図測定はいわゆる I誘導法(ローマ数字の1)と呼ばれるものです。この測定法は Apple Watch も同じです。両腕間の一方向の波形だけを測定しています。

病院での計測は12誘導法と呼ばれるものです。吸盤のようなものをたくさん身体に貼り付けます。その分多角度から波形を計測するためより細かい診断をします。

スマートウォッチによる計測はあくまでも簡易測定であるということをご認識ください。

心電図波形で診断

また病院での心電図検査では波形の形状もチェックします(上図)。波形の乱れ方によってさまざまな病気が診断可能になっています。

しかし既に説明したように、スマートウォッチでの測定は安静にしていないと分類不可になるような波形の乱れを簡単に起こせます。理由は、とても微弱な電気信号を計測しているためです。繊細に扱わないとすぐにノイズが入り込みます。

そのためスマートウォッチで波形の形状までチェックはまだ難しいといえます。

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注意点あれこれ

ここからは製品の注意点をまとめます。いずれも私が実際に使用して経験した内容になります。

日本では未発売

心電図対応モデルと非対応モデルの比較

心電図計測機能はまだ日本では解禁されていません。 Apple Watch と同様 Move ECGも日本では購入できません。私はベルギー在住のためフランスの Amazon で購入して今回レビューしました。

注意していただきたいのは、類似製品が日本の Amazon でも購入できることです。上の図にあるように、波形マークが6時の場所にあるのが Move ECG です。右の製品は Withings の正規品ですが心電図機能が無いモデル Withings Move です。

誤って購入されないようにご注意ください。

異常の通知機能がない

Withings Move ECG裏面
ボタン電池で駆動しているため裏面を見ても充電口はない(写真に写っている+マークは心電図計測のプラス極性側の意味、電池のプラスマイナスではない)

Apple Watch は常時心拍数を計測しているため、心房細動や不整脈を検知したら通知してくれます。この機能により助かった人の報告が海外ではニュースになっています。

しかし Move ECG にはこのような機能がありません。なぜでしょうか?

理由はバッテリーにあります。 Apple Watch は充電式ですが Move ECG は充電できないボタン電池を使用しています。常時心拍数を計測していたらあっという間にバッテリーはなくなります。

この記事で説明したオンデマンド計測方式である理由はここにあります。バッテリーの節約のため心電図と心拍数はボタンを押したときだけ計測するのです。24時間計測しないのでご注意ください。

バッテリー交換は工場で

Withings Move ECGの同梱マニュアル
クラフト紙でできた取扱説明書

Move ECG はボタン電池駆動であると説明しました。

マニュアルに記述を見つけました。 CR2430 というボタン電池を使用しています。日本でも普通に購入できるボタン電池です。

しかし交換は自分でできません。残念ながら電池交換の際メーカーの工場に腕時計を送る必要があるようです。私は街の時計屋さんに電池交換や修理に出すのが好きです。ルーペを片目に装着して細かな作業をしているのをそばで見ているのが好きです。このような電池交換ができないのは残念です。

長期間の利用を想定していない製品なのでしょうか?ボタン電池でも継続して1年使うことはできるみたいです。それでも工場に出して電池交換は面倒ですね。

バックライトがないのを忘れる

Move ECG はアナログ時計タイプなのでおしゃれです。その代わりデジタルのスマートウォッチのようにバックライトがありません。他社製品に慣れているとこのことを忘れてしまいます。

例えば夜中や朝暗いうちに目が覚めた時など、手首をひねってスマートウォッチのバックライトを点灯させて時刻を確認するのがクセになっています。

Move ECG ではそれができません。代わりに枕元のスマートフォンで時刻を確認しています。しかしスマートウォッチで時刻を確認するクセが抜けず同じ失敗を繰り返しています。

手首にボタンがあたり計測が勝手に始まる

手首にボタンが当たる

職場に Move ECG を装着して仕事をした時のことです。パソコンのキーボードを叩いていると突然腕時計が振動し始めました。

気になって左手首を見たら、心電図計測が始まっていました。左手の甲がボタンに当たったのでしょう。それほど強く押したつもりはないのですが。

それ以来気を付けているのですが、それでも何日かに1回は同じことを繰り返してしまいます。ちょっと気になりますね。

まとめ

Withings Move ECGの箱の中身
クラフト紙の取扱説明書、フェルト布のカバーはさすが欧州メーカーのセンスか

心電図機能は Apple Watch の方が使いやすそうです。しかしファッション性を考えるとデジタル時計だけでなくアナログ時計の需要もあるはずです。

常時計測できなくてもボタン電池駆動にしてデザイン性を追求した Withings Move ECG はヨーロッパらしい製品なのかもしれません。今回徹底的にレビューしましたが、心電図計測機能自体は問題ありませんでした。

こういったデザイン性も考慮されて、スマートウォッチは今後さらに進化することでしょう。

この記事をまとめましょう。

  • Withings Move ECG はアナログ時計針タイプの薄くておしゃれなスマートウォッチ。
  • 心拍数と心電図はしっかり計測できる。しかしボタン電池で動くので常時計測できない。リマインダー機能などを使って必要時にだけ計測する必要がある。
  • アプリと接続しなくても時計単体で心電図は計測できる。あとでアプリと接続時にデータ収集と結果の解析はできる。
  • ボタン電池でも1年動く(セットアップ完了直後から)。しかし交換はメーカー工場に送る必要があり面倒でもある。
  • 本体だけでなくマニュアルやカバーもおしゃれな所がヨーロッパ発な感じ。ファッション性の観点からアナログ時計型のスマートウォッチの発展も望まれる。

外部リンク:心電図モニター & ウェアラブルウォッチ – Move ECG | Withings

Withings Health Mate
Withings Health Mate
Withings, 無料

※この記事のアプリ画面はすべて iPhone 版ですが、 Android 版でも同じ機能が搭載されています。

※この記事の内容は2019年12月時点での情報です。記事の執筆時点でベルギー在住の筆者が測定したデータに基づきます。ご不明な点は医療機関等にお問い合わせください。