分子栄養学的血液検査とピンポイントサプリ摂取のすすめ

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サプリメントの容器を並べた写真。どれを摂取すれば良いかわからず無駄に何種類も買っている。
むやみやたらにサプリをとるのはもうやめよう

現代人は飽食なのに栄養不足と言われています。そして栄養不足を改善するには野菜や果物、タンパク質をバランスよく食べることが重要と言われています。

ここでいう食事のバランスとは何でしょうか?バランスがとれたかどうかどうやって確認しているのでしょうか?そもそも本当に栄養不足は起きているのでしょうか?

この記事では分子栄養学に基づくサプリ摂取方法を紹介します。血液検査をすればどの栄養素が足りないのかがわかります。これまでの自分の経験をまとめました。

私のケースではビタミン B6, 亜鉛、マグネシウムが不足していました。いわゆるメガビタミンの考え方で普通より多い量を摂取した結果、体質改善が見られました。

血液検査で足りない栄養素を「見える化」

健康診断結果用紙の写真。左に体組成計測定結果の用紙、右に血液検査の結果の用紙がある。

今の科学技術水準であれば血液一滴で癌があるかどうか診断できるといわれています。

もし血液検査の技術が本当に進歩しているのであれば、血液検査で栄養状態だってわかるのではないでしょうか?

実際に分子栄養学に基づく健康診断では血液検査の結果から「どの栄養が不足しているか」を分析することができます。

この取り組みは目新しいことではありません。 1990 年代にはすでに血液検査に基づいた個別栄養療法は存在していました。

私は都内にある某クリニックでお金を払い血液検査だけ受けました。上の写真はその時の検査結果です。

分子栄養学的な血液検査では、通常の健康診断でチェックする血液検査項目だけでなくミネラルの血中濃度も測定してくれます。

この記事は広告ではないので特定のクリニックを紹介することはしません。下記の検索リンクからお近くのクリニックを探すと良いでしょう。

外部リンク:Google 検索「分子栄養学 血液検査」

また近年、血液検査結果から栄養不足を分析する内容の論文を日本人の研究者が英語で発表しました。

この論文の内容に忠実に計算できる簡易ツールを作りました。下記のリンクからアクセスできます。あなた自身の血液検査結果が手元にあれば、不足栄養素があるかどうか調べてみてはいかがでしょうか。

関連記事:分子栄養学的血液検査結果の読み方支援ツール

このツールはあなたのブラウザアプリ内でのみ動作するので個人情報が抜き取られることはありません。無料で使うことができます。

栄養不足かどうか数字を使って「見える化」する。問題解決の第一歩です。

経験談:血液検査をしてわかった不足栄養素

実際に私の血液検査の結果と不足栄養素の実例を紹介します。

ビタミンB6

ASTとALTの数値を比較。2018年と2022年で比較して変化なし。ALTの値がASTより高くビタミンB6不足と脂肪肝が疑われる。

上図の AST (GOT), ALT (GPT) はともに肝臓の検査で測定する項目です。通常の健康診断であれば血液検査項目に含まれているはず。

分子栄養学的には AST < ALT だとビタミン B6 不足のようです。

このケースは脂肪肝の疑いもあると論文には書かれています。実際に 2018 年に受けた人間ドックでも「脂肪肝の疑いあり」とレポートに書かれていました。

2018 年当時の私はぽっこりお腹。内臓脂肪が溜まっており体重も 62 kg ありました。そのため痩せれば脂肪肝も解消されると信じていました。

ところが 49 kg まで落とした 2022 年の血液検査でも同じ判定でした。なぜだか全く理解できませんでした。

原因はビタミン不足。栄養不足によって肝臓でやるべき代謝ができなかったことが原因だと推測されます。

もちろん脂肪肝の原因はほかにもあるでしょう。少なくとも私のケースではビタミン B6 不足、つまり栄養不足なのです。

亜鉛

ALPの数値を比較。2018年の測定時より2022年の結果が悪い。

ALP も肝臓の検査で採用されている項目です。 ALP は亜鉛を必要としている酵素(タンパク質)なので亜鉛不足の目安になります。

2018 年の検査時は正常範囲内ではあるものの、分子栄養学的には低い値だったようです。ただし ALP は検査方法により判定が異なるようです。

2022 年の血液検査時は血中亜鉛値も測定しました。結果は 93 と正常範囲だったのですが ALP が異常に低く深刻な亜鉛不足と判定されました。

この時、亜鉛不足を指摘されてもピンときませんでした。身体に不調らしい不調を感じていなかったためです。

しかしこの血液検査結果は正しかったのです。

現実には亜鉛不足が原因の前立腺肥大による尿漏れを感じていました。ところが「歳のせい」にして亜鉛不足という結果を受け入れていませんでした。

また血液検査から半年後、亜鉛不足が原因の男性ホルモン不足、男性更年期障害の症状が出たのです。

更年期障害の原因は無理なファスティング(断食)でした。詳細は別記事で説明させていただきます。

関連記事:ファスティングで10kg以上痩せた効果とやばい実体験(公開予定)

マグネシウム

マグネシウムの血中濃度。2022年の数値のみ。正常範囲だがマグネシウム不足と判定された。

マグネシウム不足はこむら返り(足がつる)の原因になります。 2022 年の血液検査の直前、就寝中に両足がつるという症状を認識していました。

血液検査の結果、カルシウムとマグネシウムの比率が悪いことを指摘されました。 1 対 1 にすべきところが、上図の血液検査結果ではカルシウム 4 対 マグネシウム 1 でした。

数値的にはマグネシウム不足は明白でした。しかしこの結果もすぐには受け入れませんでした。

上図に示すようにカルシウムもマグネシウムもどちらも健康診断としては正常範囲です。上図には正常範囲も書かれています。

しかし身体はちゃんと栄養不足の状態を「痛み」や「不快感」などでちゃんと警告していました。このケースでいえばこむら返りです。

私は分子栄養学こそ正しい栄養学だと頭では理解していました。ただいざとなると、自分の身体に起きていることと血液検査の結果を結び付けていませんでした。

それだけ誰でも頭でっかちになるものです。痛い目をみないと現実を受け入れるのは難しいのです。

めちゃくちゃな食生活も過去にしていましたが、幸い血糖値の異常は見つかったことがありません。これには感謝しかありません。

摂取しているサプリメントと具体的な体質改善

かつてはサプリメントに対して懐疑的でした。食品から栄養を摂るのが正しいと思っていました。

しかし同時に、世間で売られている健康食品についてはもっと懐疑的でした。「奇跡のフルーツ」などではなく、身近にある栄養素が健康な肉体を作るのではないか?となんとなく感じていました。

そしてこの勘は正しかったようです。栄養素自体は身近にあるもの。足りないのは摂取量でした。

私が実践したサプリメントと体調改善内容を公開します。

ホエイプロテインで腎機能改善か

血中クレアチニンの検査結果。2018年は正常範囲より高く2022年は正常範囲内。

体質改善の第一歩としてまずはプロテインを飲み始めました。本心は、筋トレをして筋肉をつけ、新陳代謝を改善しようと思ったのがきっかけです。

半年近く高プロテイン食と自重筋トレをしました。筋力はある程度つき二の腕など筋肉質になりました。しかしボディビルのような筋肥大はできませんでした。

私は外胚葉型らしく筋肉がつきにくい体質のようでした。しかもつけた筋力はその後のファスティングで見事になくなりました。

ただプロテイン効果が血液検査で出ていました。それが上図です。

クレアチニン(老廃物の一種)の値が 2018 年検査時は高かったのに 2022 年の検査では正常範囲に収まっていました。

腎機能が改善したと思われます。

20 代のころ、尿酸値が高くて痛風の一歩手前と診断されました。

尿酸値が高くなるタイプには「過剰生産型」と「排泄低下型」があり私は後者と診断されました。腎機能の低下と言われていましたが、これは病気ではなく単にタンパク質不足(栄養不足)だったのでは?といま振り返ることができます。

しかも当時処方された「尿酸値を下げる薬」が副作用として肝臓にダメージを与えていた可能性すらあります。

尿酸値が改善されているかどうかは未確認です。ただ薬はやめているのに痛風発作は一度も起きていません。私の仮説は正しいと確信しています。

それ以外のプロテインの効果については別記事で紹介します。世間で言われているホエイプロテインの害はほとんど嘘です。

この記事の執筆時点で毎日ホエイプロテインによるタンパク質で 20 g を摂取しています。肉や卵も含めて一日に体重 x 1.5 g 分のタンパク質を摂取しています。何も問題は起きていません。

関連記事:毎日プロテインを飲んだ結果体質改善されたので実体験をまとめた(公開予定)

亜鉛で前立腺肥大改善

ビスグリシン酸亜鉛のパッケージの写真。ベルギーMetagenics製。
ビスグリシン酸亜鉛ならアミノ酸と同じルートで効率よく吸収されるとか

2022 年 9 月以降、わずかな変化ですが、それまで効果を感じていたファスティングに異変が生じていました。症状から考えて「男性更年期障害」になっていました。

命を削ってまでファスティングすべきではないと判断して即中止、亜鉛サプリを飲み始めました。

効果は 1 週間で出始めました。鏡で見てお腹周りや腕周りのありえないたるみがなくなっていました。

男性ホルモンが不足していたのではないか。数値上では確認していませんが目に見えてわかるほどの違いを確認しました。まるでわざとファスティングで栄養不足状態にして体の変化を試していたかのようでした。

そして恥ずかしい話ですが、尿漏れがひどかったという症状も改善してきました。立って排尿できず毎回トイレの個室に行く必要もなくなりました。

この記事の執筆時点で上の写真の亜鉛サプリを毎日 40 mg 以上、日によっては 50 mg 以上摂取しています。厚生労働省が定める安全な上限量を超えていますが過剰症と思える身体の変化はなくむしろ調子が良いです。

文章では伝わるかどうかわかりませんが、亜鉛不足のインパクトは全栄養素不足の中で最高でした。想像をはるかに超えました。

マグネシウムでこむら返り改善、睡眠改善?

クエン酸亜鉛のパッケージの写真。アメリカSOLGAR製。
クエン酸マグネシウム

マグネシウムも軽視していました。

こむら返りといっても、はじめは就寝時にちょっと足がつる程度の軽症でした。しかしある時からふくらはぎが硬直し激痛を感じるようになりました。

このような痛みの時は歩くことも立つこともできません。

しかしマグネシウムの錠剤を摂取してから 10 分以上経過すると足の筋肉が言うことを聞くようになり、自分で動かせるようになります。足が痛くて正確に時間を測っていませんが、徐々に足が楽になるのです。

厚生労働省による安全な上限量は 1 日 350 mg といわれています。しかし 1 日 400 mg 摂取していてもこむら返りが起きました。この時は絶望しかありませんでした。

トイレの便座に座った瞬間にふくらはぎがつるなど、突然来ます。恐怖です。

このような経験を通じてマグネシウム不足になるタイミングがわかってきました。それは「糖質(特にお米)の大量摂取時」と「長時間の歩行(筋肉の使用)」です。このようなリスクがあるときは事前にマグネシウム 1 錠を多く摂取します。

マグネシウムは酵素の働きに必要不可欠といわれています。そして私はファスティングで体脂肪と筋肉を落とした結果、マグネシウム貯蔵量も減ったのでしょう。

また体質が変化したのか、酵素反応に使われたマグネシウムがほかの人よりも体外に排泄されやすいのかもしれません。

意外な変化もありました。マグネシウムを夜摂取すると寝つきが改善されている気がします。歳のせいにしていたものが栄養不足だったかもしれません。

この記事の執筆時点でマグネシウムは毎日 600 mg 摂取しています。あるアメリカ産マグネシウム錠剤は 1 日の上限摂取量を 800 mg までと記載されています。私のケースでいえば 1 日 800 mg 摂取してもまだ足りない可能性すらあります。

「マグネシウムの過剰摂取に注意」と言っている人はマグネシウム不足を経験していないのでしょう。過剰分は体外排泄されるはずです。過剰を気にするより不足を気にすべきです。

ビタミンB群摂取でVO2 Maxが向上

ビタミンB群のパッケージの写真。アメリカNow Foods製。
Now Foods のビタミン B-100 がおすすめ

毎日 fitbit のスマートウォッチで歩数や心拍数などの生体データを計測し、月一回 iPhone のヘルスケアアプリに移行しています。

ある日、上図右のアプリ画面を見てびっくりしました。

VO2 Max (最大酸素摂取量) の値が爆増しているのです。 fitbit アプリでは VO2 Max のグラフが見れないためデータをヘルスケアアプリに移行するまで気がつきませんでした。

このグラフの意味ですが、好気性代謝(クレブス回路、クエン酸回路ともいわれる)が向上していると考えられます。酸素をきちんと取り込み、本来やるべきエネルギー燃焼がきちんと行われている、ということではないでしょうか。

言い換えると、以前は十分な燃焼が行われていなかったので肝臓や他の検査数値が悪かったのではないか?疑うときりがありませんが「不完全燃焼」という言葉の通りだといえます。

このサプリを飲み始めてから寝つきの悪い日が続きました。しかしマグネシウムと併せて飲むとぐっすり眠れたり、まだ試行錯誤が続いています。

起床後に眼精疲労を感じるものの、昔おきた心臓発作のような症状は起きていません。

関連記事:私の心臓発作の原因は脳疲労からくる自律神経失調?

ビタミンB群のパッケージの写真。ベルギーBe-Life製。

上の写真はベルギーメーカーのビタミン B 群サプリです。このサプリではビタミン B1 が 3.3 mg, 1 日の推奨量の 300 % 含まれていると記載されています。

しかしこれでは全く足りていません。各ビタミン B 群が 100 mg 含まれているカプセルを飲み始めてから VO2 Max が爆増しました。政府が示す必要量がおかしいとしか考えられません。

分子栄養学的には、ビタミン B 群は個人の必要量の差が大きいといわれています。この主張は正しいのが私の結論です。そうでなければ B-100 というサプリを作って売るメリットが説明できません。

まとめ

分子栄養学があやしいという主張はそれこそ陰謀論です。

分子栄養学は分子生物学をベースとした学問です。「分子レベルの化学反応から身体の働きを解明する」のが分子生物学です。私のような大した実績のない理系博士にとっても論理的で科学的、明快なアプローチだと思います。

「野菜食え」一辺倒の主張は「神を信じろ」と一方的に押し付けられる感じがしてよっぽど宗教的です。

何でも自分の身体で試さないとわからないことだらけです。

この記事をまとめましょう。

  • 世間では栄養不足の弊害はたくさん言われているものの、何を根拠に足りていないのか説明していない。
  • 自分にとってどの栄養素が足りないのか正しく把握するためには分子栄養学的な血液検査で「見える化」しよう。
  • 不足栄養素がわかっていてもサプリメントの摂取量が少ないと改善しないことがある。明らかな不足が指摘されている栄養素は厚生労働省の基準よりも多く摂取しみて日々試行錯誤しよう。

参考文献

藤川 徳美, 方丈社, 2020
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※この記事は血液検査の結果をベースに摂取すべきサプリメントの取捨選択をしています。何を摂取すべきかは個人で異なるため勝手な解釈をせず血液検査を受けましょう。