フランク三浦 FMW00 vs Fitbit 「睡眠の質」表示比較レビュー

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フランク三浦スマートウォッチのパッケージ

このシリーズの目的は、日々の睡眠状況をしっかり把握し、より良い生活ができるようにサポートすることです。そのためにスマートウォッチやアクティビティトラッカー(活動量計)の睡眠計測・管理機能を辛口でレビューしています。

この記事はフランク三浦のスマートウォッチ (FMW00) の睡眠機能をレビューします。

パロディ腕時計でおなじみのフランク三浦が待望のスマートウォッチをリリースしました。果たして睡眠機能はうまく働くのでしょうか?

結論から言うと、全然ダメでした。深い睡眠が検出されず、良い睡眠がとれたのにアプリはそれを示してくれませんでした。

おもしろ腕時計に対して真剣にレビューするのはおかしいかもしれません。ただ個性的な製品なので購入してレビューしました。

使ってみて気がついたこと

Yoho Sports というアプリが FMW00 とつながります。どういう機能があるのか簡単に解説します。またレビューして気がついたことを先に紹介します。

アプリの睡眠管理機能は最低限

Yoho Sportsアプリ睡眠管理画面

他社製品と比べて、睡眠管理機能は少ししかありません。

毎日の睡眠結果は上図左で見ることができます。画面中央には睡眠時間、その下に睡眠サイクル(睡眠図)が表示されます。

睡眠サイクルには「覚醒、浅い睡眠、深い睡眠」の 3 ステージがあります。各ステージの専有時間は画面下に表示されます。レム睡眠は分析されません。

この画面には重要な情報が入っていません。就寝時刻と起床時刻です。きちんと睡眠を分析するのに最低限必要な情報なのですが。

画面上の「日/週/月」をタップすると、週別/月別の集計結果も表示されます。

しかし週別集計でも起床時刻と就寝時刻は表示されていません。あるのは睡眠時間の合計だけです。週の平均睡眠時間を計算してくれると助かるのですが、それもありません。

月の集計については何も表示されませんでした。集計すべきデータが足りなかったのでしょうか?

その他、他社製にはある「睡眠図の共有機能」や「睡眠のアドバイス」といった機能もありません。

心拍数は常時計測できない

FMW00の心拍数と血圧の計測画面

睡眠状態の分析には心拍数の計測が欠かせません。しかし FMW00 には心拍数の常時計測機能がありません。

上の写真左は心拍数の計測画面です。手動で時計を操作しないと計測が始まりません。アプリには「心拍数を常時計測する」を設定する画面がありません。

そのため FMW00 では腕の動き(加速度センサー)だけで睡眠を検出すると考えられます。

過去多くのトラッカーを評価してきましたが、心拍数を使わない睡眠分析では良い評価結果は期待できません。心拍数と腕の動きのデータが両方そろった方が精度は全然良いです。

写真の右は血圧測定です。他社製品ではまだ少ない機能なので本来は嬉しいです。ただきちんと計測できているのかわからないのでこの記事では評価しません。

上の写真では画面が見ずらいですね。バックライトが弱いためはっきり画面を写すことができませんでした。バックライトの明るさ調整もできません。

バッテリーが長持ちしない

FMW00のバッテリー残量画面

上の写真はバッテリー残量です。大分消耗しているようです。

フル充電で 1 週間持つかどうかギリギリです。心拍数を常時計測していないのにバッテリーは長く持たないようです。

レビュー方法

レビューをするにあたり、下記に示す方法でデータ収集と分析をしました。結果だけ知りたい人はここは飛ばしてください。

データの取り方

FMW00とFitbitをそれぞれの腕につけて睡眠データを計測

睡眠の質を比較するための判断基準は Fitbit のデータです。過去の経験上、起床後の身体の感覚(すっきりしているか、眠気が残っているか)と睡眠図に最も関連性を見いだせているのが Fitbit だからです。

片腕に FMW00, もう片腕に Fitbit を装着していつも通り就寝しました。右腕/左腕の装着設定は確認済みです。

※ FMW00 には装着する腕の設定はありません。 Fitbit 側だけ設定を確認しました。

起床後アプリでデータを収集し、両デバイスの波形を比較しました。その結果を解説します。

データは 2 週間分 (14 日分)収集しました。

関連記事:【検証】Fitbitの睡眠データは利き手と非利き手で違うのか?

睡眠の質を評価するポイント

医師が書いた睡眠に関する本や私が Fitbit で計測した睡眠データから、睡眠の質をチェックするポイントは以下の 3 つに整理しました。

  1. 「覚醒」から「最初の深い睡眠」に入るまでの時間は短いほど良い (30 分以内が目安)
  2. 最初の深い睡眠は 20 分間以上あることが望ましい
  3. 睡眠中の途中覚醒回数は少ない方が良い

1 番が最も重要で、番号順に優先順位は下がります。各項目の詳細と根拠については下記の補足説明をご覧ください。

関連記事:補足:睡眠の質をチェックする3つのポイント(各社の活動量計の睡眠管理機能を徹底レビュー)

睡眠サイクルの比較結果:全く参考にならない

結論としては全く参考になりませんでした。やはり心拍数を使わない分析には限界がありそうです。図解で説明します。

睡眠の質の評価が最も一致した例

睡眠サイクルが最も一致した例

上図は評価が一致した例です。 FMW00 のグラフをグレースケールにして、その上に Fitbit の睡眠サイクルを重ねています。

2 つのグラフの時間軸は同じになるように調整済みです。しかし FMW00 には横軸(時間)の目盛りがなく就寝時刻と起床時刻がわかりません。そのため大まかな評価にならざるを得ません。

Fitbit の分析ではこのようになりました。

  1. 最初の深い睡眠まで 11 分 (30 以内が良い) → 〇
  2. 最初の深い睡眠が 7 分間 (20 分以上が良い) → △
  3. 途中覚醒が 2 回 → △ (優先順位は低い)
  4. 総合評価 → △

この評価を FMW00 に当てはめてみても同じようなグラフになっています。そのため評価が一致したと判断しました。

ただし 14 日間計測して一致したのはこの 1 回だけです。偶然の一致かもしれません。

睡眠の質が良かった例

よく眠れたのに睡眠サイクルが不一致だった例

上図の Fitbit の睡眠サイクルはとても良いです。 2 年以上 Fitbit を使っていますが、その中でベスト 3 に入る良い結果になっています。

布団に入ってすぐ寝落ちして、かつ深い睡眠がしっかりあると疲労が回復します。医師による書籍でもきちんと説明されています。

しかも深い睡眠が 50 分以上計測されたことは過去 2 年間でほとんどありません。夜中に目が覚めましたが、目覚めの気分は最高でした。

それくらい良い睡眠がとれたのに、 FMW00 は同じように検出しませんでした。むしろ真逆の分析結果になりました。

具体的に FMW00 の分析はこのようになります。

  1. 最初の深い睡眠まで 1 時間以上 (30 以内が良い) → ×
  2. 最初の深い睡眠が数分間 (20 分以上が良い) → ×
  3. 途中覚醒が 1 回 → 〇 (優先順位は低い)
  4. 総合評価 → ×

6:00 ごろに両デバイスとも深い睡眠を検出しています。出ないより出た方が良いのですが、疲労回復という観点では睡眠冒頭部分にでるのが理想です。

そういう意味でも FMW00 の睡眠分析を期待してはいけません。

睡眠の質が悪かった例

睡眠の質が悪い例

この日は熟睡できませんでした。そのため睡眠の質が悪いという評価で一致しています。

しかしここまで解説してきたように、 Fitbit はきちんと分析されているのに対して FMW00 は違います。 FMW00 は腕の動きだけで分析していると思われるので、深い睡眠がそもそも検出されにくいです。

14 日間の計測のうち FMW00 で計測したグラフのほとんどは上図のようになります。一致しているからといってちゃんとデータを収集して分析されたわけではありません。

まとめ

必ずスマホと連動させてアプリを経由してお使いください。

この意味がわからない!スマホ持ってない!という方は普通に着用して頂き、表面上、流行にも健康管理にも気を使っているアピールでのみお使いください。

充電を定期的に行えば時間は確認できますが、それが自分の限界とお考えください。

フランク三浦スマートウォッチ取扱説明書【ご使用上の注意】より引用

このようなパロディ腕時計ですので目をつぶりましょう。ベルトつきのオシャレな時計としてファッションを楽しみましょう。時刻と歩数が分かればそれで良いのです。

この記事をまとめましょう。

  • 睡眠機能では最も重要な深い睡眠を検出しない。睡眠中に心拍数を計測しないので詳しい睡眠分析ができない。また就寝時刻と起床時刻も表示されず分析が難しかった。
  • 心拍数と血圧を計測できるが、手動計測のみ。また計測結果はアプリで保存されない。血圧測定は今後期待したい。
  • フル充電してもバッテリーは 1 週間ギリギリ持つ程度。

私の経験を使って何か改善に協力できたら嬉しいです。

外部リンク:天才時計師 フランク三浦スマートウォッチ 公式ショップ

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※このレビューは 2020 年 9 月に行いました。最新ソフトではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。

※良い睡眠がとれたかどうかは必ずご自身の体調や起床後の気分などでご確認ください。アプリの表示は計測結果を保証するものではありません。