Fitbitのデバイスで「睡眠の質」をグラフから見分けるポイント

[この記事は約 15 分で読めます]

良く眠るための方法はいろいろ紹介されていますが、「昨日はよく眠れたのか?」を振り返る方法はあまり紹介されていないと思います。睡眠の質は日々の生活や仕事の質に直結するため、できるだけ良い睡眠をとりたいものです。

この記事ではFitbit社製の活動量計(アクティビティトラッカー)で記録した睡眠中の波形から、よく眠れたかどうか評価する方法を提案します。グラフを見るポイントを紹介しますので、ソフトによる特殊な解析や専門知識は不要です。

予備知識:睡眠図とは何か?どのようなグラフが計測できるか?

睡眠図とは、睡眠時に現れる「レム睡眠、ノンレム睡眠」という状態の推移を時間経過とともに表したグラフです。このようなグラフになります。

睡眠図サンプル
睡眠図の例

実際に取れる波形はもっと複雑になるのでここではシンプルにしました。睡眠中はこの「レム睡眠とノンレム睡眠」が交互に現れることで、疲労回復や記憶の整理、夢をみたりします(睡眠サイクルといいます)。

睡眠はまだ解明されていないことが多くすべてを勉強する必要はありません。この記事の目的はグラフから睡眠の質を評価することなので、専門知識なしでグラフを読むポイントを提案します。

そのため、睡眠図については以下の2点を抑えていただければ大丈夫です。

  • 睡眠図には「レム睡眠」、「ノンレム睡眠」、「覚醒」というステージが記録される
  • 睡眠にはサイクルがあり、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」は交互に現れる

睡眠図を解析して眠りの質を評価しよう

睡眠図から睡眠の質を見分けるポイント

実際に測定した睡眠図は複雑なため、私を含めた一般の人たちにとって解析は難しいです。そこで、私が実際に測定した結果と独自調査から以下の3点に評価ポイントを絞りました。個人差はあると思いますが、参考になれば幸いです。

  • 入眠後15分前後でノンレム睡眠(ステージIV/深い睡眠)に入ったか?
  • 入眠直後のノンレム睡眠(ステージIV/深い睡眠)は20分以上だったか?
  • 睡眠途中で目覚めた回数は1、2回だったか?

「ノンレム睡眠」というキーワードが入っていますね。「ステージIV/深い睡眠」については後で説明させていただきます。

ノンレム睡眠が良質な睡眠をとるための最重要キーワードであることは、以下の2冊の専門書から引用して根拠とさせていただきます。

ノンレム睡眠は深さに応じて4つのステージがあり、とくに脳の疲労を回復させるのはステージIVの深いノンレム睡眠です。

梶本修身『すべての疲労は脳が原因2<超実践編>』 集英社新書 (2016) kindle版位置No.1241付近より引用

脳では、老廃物の処理は血流だけではなく、脳脊髄液とよばれる細胞間隙を満たす液体の流れが行っているのであるが、その処理はほとんどがノンレム睡眠中に行われているという結果もある。

櫻井武『睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか』 講談社ブルーバックス (2017) kindle版位置No.110付近より引用

このようにノンレム睡眠が良質な睡眠をとる(疲れとる)カギです。各ポイントについては図と共に説明します。

実際に測定した波形から解析してみよう

それでは実際に私の睡眠記録を解析してみましょう。

よく眠れた例
教科書的な睡眠がとれた例

解析してみましょう。先ほど紹介した3つのポイントに照らし合わせるとこうなります。

  • ノンレム睡眠に入るまでの時間:わずか2分だった(15分以内)。
  • ノンレム睡眠の回数と時間:入眠直後のノンレム睡眠は43分だった(20分以上)。
  • 睡眠中の覚醒:途中5分間の覚醒は記録されたが自覚はなかった(覚醒回数は少ない)。

グラフの途中12時の部分で赤い凸がぴょんと出ています。これは先ほど紹介した3つのポイントのうちの覚醒部分です。よくみるとグラフの上部に赤い線が薄く描かれています。Fitbit社の説明では一晩に10回から30回の覚醒があるようです。

この日の目覚めは良かったと記憶しています。つまり紹介した方法で解析するとよく眠れたと評価できそうです。

※各状態の細かい時間はAndroidアプリかFitbitサイトにブラウザでログインして確認することができます。iPhoneアプリは操作してみたところ未対応のようです(2018年11月10日追記)。

このグラフはサンプルで紹介した睡眠図に限りなく近い睡眠サイクルになっています。これほどきれいな睡眠図になることはめったになく、私が2か月間実際に使ってみて1、2回程度しか現れませんでした。

次に睡眠の質が悪かったと解釈できるケースを紹介します。

よく眠れなかった例
睡眠の質が悪かったと解釈できる例

就寝から深い睡眠に入るまで約2時間かかりました。また深い睡眠は1回だけでした。さらに目が覚めた状態(赤い凸)が3回確認できます。先に紹介したグラフとは異なる睡眠サイクルですし、3つのポイントから評価しても良いとは思えません。

実はこの日は、心臓発作で倒れてまだ1週間未満の心身状態でした。活動量計も購入直後で使い方もよくわからないまま装着して偶然取れた波形です。

体調は万全とは程遠く、歩くのもしんどくてほぼ一日中寝ていたころに計測したものです。ソファで寝ていたこともあり途中目が覚めたのでしょう。それでも体調(脳疲労)を回復させようと、頑張って1回だけ(42分間)深い睡眠がとれたのだと解釈しています。

うたた寝が気持ち良いのはなぜ?

ここまで紹介したグラフはどちらもレアケースです。私のケースでは、次に示すグラフが最も多い傾向にあります。

うたた寝の例
うたた寝が計測された睡眠図

就寝前にソファでうたた寝している状態も計測されています。このグラフの左側部分ですね。覚醒とノンレム睡眠が頻繁に入れ替わっているため、グラフを見る限り寝苦しそうです。

でも、うたた寝って実際気持ちいいですよね。このグラフの左側を見ると分かりますが、深い睡眠がうたた寝中にしっかり計測されています。覚醒から深い睡眠に入るまで3分、その深い睡眠は21分ありました。先ほど紹介したポイントのうち2つが当てはまっています。

うたた寝が気持ち良いのは、たとえ布団で寝ていなくてもノンレム睡眠が現れて疲労回復しているのが理由とも考えられます。専門家のご意見も伺いたいところです。

このデバイスでここまで測定できるのは正直すごいですね。

二度寝が気持ち良いのはなぜ?

うたた寝ともう一つ、二度寝も気持ち良いですね。二度寝したケースも計測されたので紹介します。

二度寝の例
二度寝が計測された睡眠図

この日は就寝をしたものの暑くてすぐに寝られませんでした。夜11時には眠りに一度入ったものの、何度も覚醒しました(評価ポイントから外れています)。また実際に眠りに入ってから深い睡眠まで42分かかりました(これも評価ポイントから外れています)。

朝は毎日セットしている6:30のアラームで目を覚ましました。ただこの日は休日でそのまま布団から出られず二度寝してしまい、8時に起床しました。そして起床時は気分もスッキリしていました。

グラフ右側の二度寝の部分については3つのポイントが抑えられています。まず6:30のアラーム後、深い睡眠に入るまでは10分(短い)でした。その後の深い睡眠が36分(長い)ありました。さらに8時の起床までは目立った途中覚醒がありませんでした。

このように、うたた寝や二度寝も「入眠から深いノンレム睡眠に遷移するまでの時間」と「深いノンレム睡眠の時間」といったポイントを押さえていれば疲労回復に貢献できると考えられます。

ポイントのおさらいと経験則による判断目安

うたた寝や二度寝は普段の睡眠サイクルを乱す可能性があるため、医師はあまり推奨していません(昼寝は否定していない)。それでも、私は夜の睡眠だけで疲れが取れないことがあるため、朝に仕事や用事がなければ二度寝はしても良いと考えています。

ケースバイケースでうまく対応すれば良いのではないでしょうか。健康維持のためには疲労をいかに回復するかが最優先です。眠い時は時間帯に関係なく寝た方が良さそうです。

ただし、寝だめのようにただ長い時間寝ていれば良いということでもなさそうです。

私は元々が朝方人間なので、日中に寝ることは少ない立場の意見かもしれません。それでも単純に睡眠時間の長さから質を評価できるとは思えませんでした。

この記事で紹介した3つのポイントについて、具体的にどれくらいの時間や回数があれば良いのでしょうか?人によって異なると思いますが、私の経験ではこのようになりました。

  1. 深い睡眠に入るまでの時間:良く眠れたと解釈できたケースでは、入眠から深い睡眠まで2分から10分でした。この短さが理想的かどうか、医学的な根拠については専門外なのでわかりません。ただ2か月間測定したデータの実績からすると、平均15分前後、長くても30分以内が目安となりました。
  2. 深い睡眠ステージの時間:20分以上が目安になります。20分より短いケースではあまり良く眠れた感じはありませんでした。
  3. 睡眠途中の覚醒回数:グラフの上部には赤くて細い線がたくさん散らばっていますが、細い線だけの場合はあまり気にしなくても大丈夫そうです。ただグラフ中で凸になっている(睡眠→覚醒→睡眠と遷移する)部分は一晩に1、2回以下が望ましいです。3回以上あると眠れていない感じでした。
途中で目が覚めた例
導入部は良かったが途中3回覚醒したため、結果的によく眠れなかったケース

成人の場合、睡眠開始直後のサイクルには深い睡眠があり、睡眠後半のサイクルに深い睡眠は入らない傾向にあります。つまり、良い睡眠をとるには「睡眠直後のサイクルにいかに深い睡眠が入っているか」が重要なのでは?という経験則が導かれました。

補足:デバイスで計測されたノンレム睡眠と解説が異なる

ここまであえて避けてきましたが、補足説明をします。

ノンレム睡眠は実は4ステージあります。最初の解説では「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類だけ説明しましたが、実際には「レム睡眠」と「4ステージ(I, II, III, IV)のノンレム睡眠」の合計5つのステージがあります。複雑極まりないですね。

私が今回の解析で使ったのはノンレム睡眠でも「ステージIVの深い睡眠」だけです。睡眠図にある「グラフのもっと深い部分」がステージIVのノンレム睡眠に該当します。

一方Fitbit社の活動量計では「レム睡眠」、「浅い睡眠(ライト)」、「深い睡眠(ディープ)」の3ステージがグラフに表示されます。浅い睡眠と深い睡眠はそれぞれどのステージになるのでしょうか?

この点はFitbit社に問い合わせました。担当者様からは大変丁寧な返事をいただきました。Fitbit社の今回の対応の良さを紹介する意味でも引用させていただきます。

お客様より頂戴したご質問に関しまして以下にて回答させていただきます。
まず初めに、Fitbit では国立睡眠財団 (National Sleep Foundation) における睡眠の質をもとにしており, Fitbit睡眠研究者と国立睡眠財団では、睡眠段階のことを次のように説明しています。
(中略)
ノンレム睡眠は全部で4ステージあるとのことですが、Fitbitにおいては上記の3つの項目に分かれており、ステージ(1から4)に関しての情報はございません事、何卒ご了承くださいませ。
尚、他になにかご不明点等ございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。
何卒よろしくお願いいたします。

返答していただいた担当者様も、ノンレム睡眠にステージがあることを理解していないと思われます。返信メールで教えていただいた国立睡眠財団のリンク先を見たところ、ノンレム睡眠のステージは4つあるという記述はありました。

外部リンク:What Happens When You Sleep? – National Sleep Foundation(アメリカ国立睡眠財団(NSF)による英語の解説)

以上、Fitbit社の回答で浅い睡眠と深い睡眠がどのステージになるのかはわかりませんでした。そのため、この記事では「浅い睡眠=ステージI」、「深い睡眠=ステージIV」とみなして解説させていただきました。

繰り返しますが、Fitbit社の担当者様からの回答は迅速で丁寧なものでした。あくまでも現在の技術では4つのステージを細かく計測できないだけ、と考えています。この価格でここまで測定できるFitbit社の活動量計に私は大変満足しています。

睡眠ステージを測定できないケースと対策

睡眠図を記録できない時があります。その場合はこのようなグラフになります。

旧睡眠グラフ
計測に失敗したときの睡眠図

このグラフはFitbit社が最初に搭載した睡眠サイクルのグラフのようで、バグではありません。

下記のFitbit社公式リンクによると、装着の状態が悪かったり、睡眠時間が短いと計測ができないようです。

外部リンク:なぜ今日の睡眠段階は表示されないのですか?(Fitbit Help Article)

私はFitbit Alta HRを購入してから2か月間、64日間毎日装着して寝ました。その中で睡眠ステージが記録できたのはわずかに24日(37.5%)しかありませんでした。特に最初の1か月についてはほとんど記録できていませんでした。

上記のヘルプリンクを読んだのは実はこの記事の執筆中でした。私はそれまで何も知らずにFitbitアプリ内にある「今すぐ睡眠開始」オプションを使っていました。先ほどのリンクの解説では、私のケースではこれが原因のようでした。

このオプションはデバイスを装着していない時に睡眠時間を記録するための機能です。装着時はこのオプション機能を使わずに寝ましょう。

スマホアプリの今すぐ睡眠は使わない

「今すぐ睡眠開始」オプションを使わなくなってからは毎日睡眠サイクルが記録できているので問題ありません。引き続き記録を取りたいと思います。

初めてお使いの方は使い方がわからずにイライラすると思いますが、このような事情があります。試行錯誤して慣れれば活動量計はパートナーになります。うまくいかずにすぐに利用を止めるのはもったいないです。

感覚も大切、起床後の体調を振り返えってみる

これまで、測定器を使って睡眠を客観的に評価する方法を紹介しました。

この方法が完璧であれば良いのですが、私は医師ではないということで批判をいただく可能性も考えています。また前節で触れたように計測できないケースもあります。

そこでやはり、自分の感覚も使って主観的な評価も取り入れましょう。再び、梶本修身『すべての疲労は脳が原因2<超実践編>』 集英社新書 (2016)を参考にさせていただきます。

梶本先生の著書(kindle版位置No.1330および1336付近)によると、起床後の以下のタイミングで睡眠の質の良し悪しが自覚できるようです。

  1. 起床直後の最初の一歩
  2. 起床してから4時間後の覚醒度(一日のうちで最も覚醒している時間)

私自身の経験では後者の感覚を大切にしています。通常6時30分に起床するのですが、10時30分から11時の時間帯に眠気を感じることがあります。この時間帯に眠気を感じる場合は前日の睡眠で疲れが十分とれてなかったと反省しています。

起床直後も大切ですね。私は起床後の朝食時にあくびをすることがあります。その場合はやはり睡眠の質が良くなかったと判断できます。特に前日歩き過ぎたり(一万歩以上)、飲酒した場合は朝体が重いので疲れが抜けなかった可能性を疑います。

このように、起床後から正午までに眠気を感じなければ、睡眠で疲れが取れていると考えてもいいのでしょう。昼食後に眠気を感じることもありますが、午前中の感覚はもっと大切なのかもしれません。

まとめ:主観と客観で総合的に睡眠の質を評価しよう

以上、難しい説明ばかりでしたがいかがでしたでしょうか。

3つのポイントに絞って睡眠の質の評価方法を提案しました。睡眠サイクルは毎日少しずつ異なるため、解析に慣れるまで試行錯誤の日々になるかもしれません。それでも睡眠が「見える化」できることで、良い睡眠をとるための方法もあれこれできるようになれば幸いです。

この記事の内容をまとめましょう。

  • 活動量計を寝ている間も装着することで、日々の睡眠図を計測する
  • 睡眠図がとれば場合は以下の3つのポイントで質を振り返る(筆者の経験則で特に重要なのは1と2)
    1. 入眠から深い睡眠まで15分から30分以内
    2. 入眠直後の深い睡眠ステージが20分以上
    3. 睡眠中の覚醒(目覚め)回数は2回以下
  • 起床後、午前中に疲労感やあくびはあるか自分の感覚も併せて睡眠の質を評価する

今回使用したデバイスはFitbit Alta HRです。睡眠だけでなく心拍数、安静時心拍数、歩数、消費カロリーなど日々の活動を自動で記録してくれます。


Fitbit Alta HR Activity Tracker + Heart Rate Large (17-20.5cm) フィットビットアルタ HRアクティビティトラッカー [並行輸入品]

活動量計は24時間装着するパートナーになります。バンドは着脱可能なので、複数持ってオシャレもしたいところです。


Fitbit Alta フィットビット 心拍計 バンド 交換ベルト シリコーン 穴留め式 (ベルト10色+フィルム2枚+固定用ファスナー10個セット) for Fitbit Alta 2016/ Fitbit Alta HR 2017Time4Deals (L)

Fitbit社からはいくつもトラッカーが販売されていますが、モデルによって機能に制限がありますので購入時によくご検討ください。2018年11月時点で睡眠図が計測できるのは以下の4モデルです。

睡眠図が取れるモデルはAltaHR, Charge3, Versa, Ionic

参考文献

※この記事で紹介した方法は筆者の個人的な調査内容と経験をベースにしています。睡眠には個人差があることをご了承ください。また医学的な説明については極力医師の著書をベースにしましたが、あくまでも個人的な見解とさせていただきます。

関連記事:心臓発作で倒れたけど心臓は悪くなかったおはなし

関連記事:脳疲労と心臓発作の再発を防止するためにやってみたこと

関連記事:イノチメシ:脳疲労と向き合い命をつなぐ男のズボラ鶏胸肉料理