Oppo Watch Free vs Fitbit「睡眠の質」表示比較レビュー
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スマートフォンメーカーとして台頭してきた中国メーカーの Oppo がアクティビティトラッカーにも参入しています。
Oppo Watch Free という製品が「睡眠に特化したスマートウォッチ登場!」といった感じでネットニュースになっていたのが気になりました。
この記事では Oppo Watch Free の睡眠機能を、 Fitbit と比較して徹底的にレビューしました。
結論から書くと、おすすめしません。いびき録音機能にいたっては全く使い物になりませんでした。
Amazon の国際郵送で日本からベルギーに輸入してレビューしました。そして約 1 か月使った結果を忖度なしで書きました。
HeyTap Health アプリ睡眠管理機能を解説
HeyTap Health というアプリで睡眠を管理します。このアプリでできることをまず紹介します。
睡眠管理の基本画面
上図は HeyTap Health の睡眠管理画面です。基本的な画面は他社製品と違いはありません。
まず左上に睡眠時間が表示されます。そしてその右に「標準」、「低い」といった評価結果が表示されます。
その下には睡眠図(睡眠サイクル)が表示されます。睡眠ステージは標準的な「覚醒」、「レム睡眠」、「(浅い)ノンレム睡眠」、「(深い)ノンレム睡眠」の 4 ステージです。
そして各ステージがどれくらいの時間で、全体の何割を示していたのか比率が表示されます。右にはその割合が標準的か、多いか少ないか判定が表示されます。
この「標準」、「低い」といった評価を何を根拠にしているのかはっきりした説明はありません。しかしアプリ内の説明では「米国睡眠医学会によると、推奨睡眠時間は年齢によって異なります」とあります。米国睡眠医学会の基準を採用しているものと思われます。
その下には「睡眠中の呼吸」の画面が表示されます。これは睡眠中の血中酸素濃度の測定結果が表示されます。別途解説します。
画面をスクロールすると最後に「総合評価」が出ます。いわゆる睡眠スコアと呼ばれるもので 100 点満点でその日の睡眠の質を採点されます。
他社製品ではこの睡眠スコアを大きくわかりやすい位置に表示します。 Oppo Watch Free は異なるようです。
睡眠サイクルの詳細を確認
このレビューでは「深い睡眠が何分間あったか」といった時間計測が重要です。アプリによってはこのような時間チェック機能がないものもあります。
HeyTap Health では睡眠グラフをタップすると “22:45 – 22:58 深い睡眠 0 時間 13 分” といった表示がでます。
この機能を使ってできるだけ詳しく睡眠分析をします。
過去の睡眠履歴と平均値集計
自分の睡眠の傾向を知りたい。そんな時は過去の傾向をチェックすることができます。
睡眠画面はまず起床日の分析結果を表示します。画面上部の「 1 日」を「 1 週間」、「月」、「 1 年」と切り替えることができます。
過去の傾向の画面下部に平均睡眠時間が表示されます。上図では週ベースと月ベースでは平均睡眠時間が違いますね。きちんと個別に計算されているようです。
平均睡眠時間は 8 時間なのか、もっと短いのか、人によって違います。ご自身の傾向をチェックしてみましょう。
睡眠中の血中酸素濃度を計測
Oppo Watch Free には血中酸素濃度を計測する機能があります。
医療機器ではないため正式名称の「血中酸素飽和度」という表示ではありません。また計測精度は良くないはずです。しかし日々の健康管理の参考にはなるでしょう。
日中だけでなく睡眠中の血中酸素濃度も計測することができます。睡眠中に血中酸素濃度が下がると呼吸が正しく行われておらず「睡眠時無呼吸症候群」の疑いがでてきます。
この機能は初期設定では OFF になっています。上図に従って「睡眠中の血中酸素レベルの追跡」を ON にすることができます。
起床時に睡眠グラフと同じ画面にて睡眠中の血中酸素濃度の変化を確認することができます。
私の場合は幸い「呼吸障害のリスクなし」と表示され、レビュー中に一度もネガティブな結果は出ませんでした。
レビュー方法
データの取り方や設定をここで整理します。結果だけ知りたい人はここを飛ばしてください。
データの取り方
睡眠の質を比較するための判断基準は Fitbit のデータです。過去の経験上、起床後の身体の感覚(すっきりしているか、眠気が残っているか)と睡眠図に最も関連性を見いだせているのが Fitbit だからです。
左腕に Oppo Watch Free, 右腕に Fitbit を装着していつも通り就寝しました。この記事の冒頭で紹介した写真の状態です。右腕/左腕の装着設定は確認済みです。
※ Oppo Watch Free では初期設定時に左腕/右腕の設定があり「左腕」にしました。
起床後アプリでデータを収集し、両デバイスの波形を比較しました。その結果を解説します。
計 4 週間分 (28 日分)データ収集しました。
睡眠の質を評価するポイント
医師が書いた睡眠に関する本や私が Fitbit で計測した睡眠データから、睡眠の質をチェックするポイントは以下の 3 つに整理しました。
- 「覚醒」から「最初の深い睡眠」に入るまでの時間は短いほど良い (30 分以内が目安)
- 最初の深い睡眠は 20 分間以上あることが望ましい
- 睡眠中の途中覚醒回数は少ない方が良い
1 番が最も重要で、番号順に優先順位は下がります。各項目の詳細と根拠については下記の補足説明をご覧ください。
Oppo Watch Freeの独自設定
Oppo Watch Free ではレム睡眠の計測がオプションです。 Fitbit や他社製品と同じ条件でレビューをするためレム睡眠も計測します。
上図の手順にて「レム睡眠のトラッキング」を ON にしました。
心拍数の測定間隔は製品ごとにことなります。 Oppo Watch Free の初期設定は「自動計測 OFF 」となっています。
このレビューでは「リアルタイム測定」にしました。上図に示す手順で設定変更しました。
Fitbit は常時計測です。この設定変更により比較条件を同じにしました。
心拍数を常時計測にするとバッテリー消費が多くなります。しかし Oppo Watch Free は常時計測でも 4 日以上使うことができました。
睡眠サイクルの比較結果
よく眠れたのに睡眠サイクルに反映されず
上図は代表的な睡眠サイクルの比較結果です。 Oppo Watch Free (OWF) のグラフをグレースケールにして、その上に Fitbit のグラフを重ねています。就寝時刻・起床時刻は合わせています。
この日の Fitbit の結果を、睡眠の質のチェックポイントを使って評価するとこのようになります。
- 最初の深い睡眠まで 3 分 (30 分以内が良い) → 〇
- 最初の深い睡眠が 29 分間 (20 分間以上が良い) → 〇
- 中途覚醒 2 回 → △ (判定の優先順位は低い)
- 睡眠の質の総合評価 → 〇
一方、 OWF のグラフでは、最初の深い睡眠まで 32 分かかっています。「寝落ちに時間がかかった」と判定したことになります。
また OWF は最初の深い睡眠が 5 分間だったと分析しています。
この日はよく眠れて翌朝すっきり目覚めることができました。 Fitbit の結果が正しいです。
OWF は他の中国メーカーのトラッカー “Mi Smart Band” や “Huawei Band” と同じように、はっきりと良い睡眠を分析しません。
ちゃんと眠れなかった日も逆の判定
上図はあまりよく眠れなかった日の睡眠サイクルの比較結果です。こんどは Oppo Watch Free (OWF) が良い睡眠だったと判定しています。
しかし Fitbit の睡眠分析結果では微妙です。チェックポイントを使うとこのような結果になります。
- 最初の深い睡眠まで 20 分 (30 分以内が良い) → 〇
- 最初の深い睡眠が 9 分間 (20 分間以上が良い) → △
- 中途覚醒 2 回 → △ (判定の優先順位は低い)
- 睡眠の質の総合評価 → △
この日ははっきりと良い睡眠がとれたわけではありませんでした。
このように判定が割れた場合、自分の体調と睡眠サイクルが一致しているのは Fitbit の方です。 OWF は睡眠が正しく計測できているとは考えられません。
最後に指摘したいのは就寝時刻です。
起床時刻は両デバイスともほぼ一致するのですが、就寝時刻が合わない日が何度もありました。 5 分以上ずれていると最初の深い睡眠の検出誤差が大きくなる可能性があります。
OWF の必須改善項目といえるでしょう。
利用する際の注意点
レビュー中に気がついたことを整理します。
睡眠データが突然とれなくなった
レビューが 4 週目に突入したころ、上図に示すように突然睡眠データがとれなくなりました。
たまたまかと思っていたら次の日もとれませんでした。
Oppo Watch Free 本体を再起動したら睡眠データがまたとれるようになりました。
原因はわかりません。エラーメッセージも何も事前に表示されませんでした。
突然データがとれなくなるのは問題です。毎日の健康管理に支障をきたします。 Fitbit では過去 3 年以上、このようなことは一度も起きたことはありません。
この現象だけでも Oppo Watch Free をおすすめすることはできません。
心拍数計測は正確か?
日中も Oppo Watch Free を装着してデータどりをしました。
どうやら心拍数の計測も他社製品ほど精度が良くなさそうです。
上図では最低心拍数が 49, 最高 151 となっています。こんな最低値、最高値は他社製品では出たことがありません。私の心拍数範囲はだいたい 60 – 120 の間です。
睡眠分析に心拍数変動も使っているはずです。分析結果に影響が出そうですが果たしてどうでしょうか?
いびき計測はAndroid版のみ、しかも計測できず
ネットニュースでは「睡眠に特化したデバイス」といった謳い文句にて Oppo Watch Free を宣伝していました。
中でも「睡眠中のいびきも計測できる」というメリットが強調されていたと感じます。
このいびき計測機能、 Android 版アプリにしか搭載されていません(この記事の執筆時点)。 iPhone 版アプリにはありませんでした。
Android 版アプリも使っていびき計測も試してみました。 3 晩試しました。
結果は上図に示すように何も記録が残りませんでした。枕元に Android スマホを置いていたのに「端末が身体から離れすぎ … 」といった表示でした。
全く使い物になりません。いびき計測をしたいのであれば既存のスマホアプリで十分です。
アップデートに時間がかかる
製品を開封して本体に電源を接続。ソフトウェアとファームウェアをレビュー開始時点での最新バージョンにアップグレードします。
このアップグレードが半日かかりました。ストレスでした。
ウォッチ本体のファームウェアのダウンロードが途中何度も途切れました。
たった 10.2 MB のファイルがスマホ経由で本体にダウンロードするのに半日かかりました。 Fitbit や他社製品ではたいてい長くても 10 分程度で終わります。
購入直後からすぐに使いたい人はご注意ください。
まとめ
Oppo Watch Free は価格に対して中途半端な製品でした。
もっと安い Xiaomi, Fuawei 製品でも同じことができます。しかし睡眠計測をしっかりやるならもう少し値段の高い Fitbit か Apple Watch をおすすめします。
この記事をまとめましょう。
- 睡眠計測は Fitbit と逆の判定となった。起床後の身体の調子を考慮しても Fitbit の方が正しい睡眠計測をしていると評価した。
- いびき計測機能は Android 版のみ、しかも何も記録されなかった。
- 心拍数の計測も正しく行われているとは思えない。
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※このレビューは 2021 年 1 月から 2 月に行いました。最新ソフトではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。
※このレビューではアプリは iPhone 版を主に使用しました。 Android 版でも大きな違いはありません。
※良い睡眠がとれたかどうかは必ずご自身の体調や起床後の気分などでご確認ください。アプリの表示は計測結果を保証するものではありません。