ベルギー移住のための健康診断書の入手

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シンガポールの労働ビザ申請でも健康診断を求められましたが、渡航後に現地の指定された病院で行いました。一方ベルギー移住の今回は、ベルギー側の担当者の言うことが二転三転しかなり労力を消費しました。

このシリーズでは私が実際に労働許可や長期滞在ビザを申請した経験を元に申請手順をまとめました。私は勝手がわからずに試行錯誤して申請しましたが、今後皆様がこの情報でスムーズに申請ができればと思い私の経験をシェアします。

労働許可およびビザの申請に必要な提出物の中で、一番苦戦したのが健康診断書でした。この記事では健康診断書について解説します。なお、この記事は私の経験をベースに書きましたが、一人で混乱しているところもあります。大使館の情報と合わせて実施していただくことをおすすめします。

健康診断書入手までの流れ

健康診断書を入手するまでの流れを下図のフローチャートにまとめました。少し複雑になっていますので、順に解説します。

健康診断書を取得するまでのフローチャート
健康診断書を取得するまでのフローチャート(クリックすると拡大します)

指定の病院で健診しないとダメ?

ベルギーの場合、この健康診断書は「労働許可申請用」と「ビザ(滞在許可)申請用」の 2 種類でそれぞれ指定のフォーマットがあります。在日ベルギー大使館にメールで問い合わせましょう。必要なフォーマットはメールでもらえます。

外部リンク:在日ベルギー大使館ホームページ

私はどうすればいいのかわからなかったため、採用していただく会社の指示に従いました。最寄りの病院で良いということで、当時まだ滞在していたシンガポールの主治医の病院でお願いしました。この病院もベルギー渡航用の健康診断には慣れていなかったため時間はかかりましたが、血液検査で梅毒の確認と胸部レントゲン(結核を患ってない)の確認で済みました。

シンガポールで取得した健康診断書
シンガポールで取得した健康診断書(左が労働許可申請用、右がビザ申請用)

ところが、健康診断書をベルギーに郵送して申請をお願いしたところ、「指定の病院の物でないとダメ」と受付保留となりました。直前のドイツから引っ越した申請者のケースでは最寄りの病院(ドイツ国内)で問題なかったようです。

この原因は労働許可申請の代行(?)をしてくれたデロイトの担当者による判断の違いとのことです。あくまでも本来は指定の病院で健診を受けるべきなので、この担当者の判断について何も言えませんでした。

内定をいただいてから上記の提出物を準備し、この指摘を受けるまで3週間が費やされました。時間のロスが大きいため、早めに行動しましょう。

日本で健診を受けなおすことになった後、慌てて「指定の」聖路加国際病院の予約を取って再度健診を受けました(後ほど説明)。約 1 か月かけて取得したのですが、なんと結果的にシンガポールで取得した健康診断書で労働許可証は発行されたのでした。ドイツからの引っ越しのケースを担当した人がその後水面下で申請を続けていたようでした。

どうやら担当者によって本当に言うことが変わります。聖路加国際病院で取得した健康診断書も後日使うのですが、これがきっかけで混乱しています。しかし、シンガポールと日本で二重で費用を払って時間も使った以上、これから移住される方は同じ無駄を費やさないで欲しいというのが私の願いです。

参考まで、ベルギー移民局のサイトにビザ申請用の健康診断書のダウンロードができます。この用紙はあくまでも「ビザ申請用」で「労働許可申請」に使うことはできません。このファイルは在日ベルギー大使館に問い合わせればもらえます。

外部リンク:dofi.ibz.be | The medical certificate(ベルギー移民局サイト内健康診断書docファイル) https://dofi.ibz.be/sites/dvzoe/EN/Documents/Medical certificate.docx

※ 2019-02-15 追記:ベルギー移民局へのリンクが切れていたため削除しました。

参考:シンガポールでは現地入りしてから健診

比較まで、シンガポールでは労働許可(ビザ)の申請自体に健康診断書は不要です。申請書には学歴や家族構成、月給の情報を記入して雇用してくれる会社(就職エージェント経由)に PDF で提出します。会社が MoM (Ministry of Manpower: 労働省)に申請します。

そして許可が出たのは私が資料を会社に提出したわずか2日後でした。申請から入国許可レター発行まですべて電子データでやりとりでき、とても速かったです。恐らく自動で処理した可能性もあります。シンガポール政府は現在 “Smart Nation” という国策で自動化をどんどん進めているためです。

このレターを持参してシンガポールに入国後、会社の指定した病院で初めて健康診断(問診・尿検査・胸部レントゲン・血液検査)を受け、その結果から最終的な ID カード (EP または S-Pass) が発行されました。すべて会社の指示通りに動いていれば何も問題はありませんでした。

なお、シンガポールではこの ID カード 1 枚で労働許可、滞在許可、複数回のシンガポール入国・出国が可能です。ベルギー(欧州)では労働許可証と滞在許可証が分かれているのがとても煩雑ですね。

事前予約必須なのですぐ電話確認

指定の病院で健康診断を再度受けてほしいという指摘をもらった時、私はすでにシンガポールから日本に引っ越した後でした。そこですぐ、指定の病院「聖路加国際病院」と「日本赤十字病院」に電話して予約を取りました。

まず 4/21 (金)の朝、聖路加国際病院に予約の電話をしました。予約はとれたものの、水曜日の午後しかベルギー渡航向け検診はやっていないということで、 3 週間後の5/10になりました。タイミングとしてゴールデンウィークに重なったのがロスです。

外部リンク:聖路加国際病院

赤十字病院は地元横浜の病院に連絡したところ、海外渡航向けの健診はやっていないという回答でした。相模原の病院は連絡してもわからないので来てくれ、という回答でした。足を運んだところ担当の医師が今日はいないと言われて、無駄足でした。

水曜日ならできるとのことでしたが、結局聖路加国際病院と変わらない健診日程となったため、赤十字病院は断念しました。

聖路加国際病院は東京にしかなく私の場合は通えたので問題ありませんでした。しかし赤十字病院は全国にあり、地方在住の方には赤十字病院の方が便利なはずです。海外渡航向け健康診断に積極的な赤十字病院もちゃんとあります。お近くの病院に必ず問い合わせしてご自身にとって一番良い方法を探しましょう。

参考まで、名古屋第二赤十字病院ではベルギー渡航向け健康診断が可能と明記しています。

外部リンク:ベルギー健診について | 名古屋第二赤十字病院

病院によって指定用紙も違う?

先に労働許可申請用とビザ申請用の書式が異なることを説明しました。ここでさらに混乱しました。

聖路加国際病院で健診する場合

労働許可申請用とビザ申請用のフォーマットを両方印刷し、何も記入せずに病院に持参します。大使館の資料で一部「指定病院の聖路加国際病院で受診する場合は労働許可証用のものを病院に持参してください。」という記載があり、私はビザ申請用のフォーマットは持参不要と解釈しました。最大公約数的に、両方持参するのが間違いありません。どなたか補足情報をいただけると助かります。

健診当日、内科の受付にて別の用紙に労働許可申請者の情報(氏名・国籍・生年月日と生まれた地域・現住所)を英語で記入して提出します。健診時に事務の方がそれらの情報を健康診断書に書き写すようです。

私は親切のために、自分の個人情報を健康診断書に先に書いて病院に持参しました。ところが病院受付にて「何故書いてきたのか?」を問われて逆に戸惑いました。個人情報なので自分で書くのが当然だと思っていました。しかし、大使館の資料では「記入せずに持参」とありました。混乱している自分が冷静になれませんでした。

健診結果に問題なければ、医師の名前と病院の公印を押してもらえるので、その原本を在日ベルギー大使館に持参します。労働許可申請用の書式だけ、大使館でさらにスタンプを押してもらってベルギーに郵送します。

この大使館でのスタンプ受け付けに予約は不要ですが、月曜日?木曜日の午前中だけ対応してくれます。

シンガポールで健診を受けた時も労働許可申請用の健康診断書の書式は同じでした。大使館のスタンプが必要とは知らずに郵送しましたが、結果的には労働許可証は発行されました。本当に混乱しますのでご注意ください。

病院側からは独自の様式で別途診断結果を 2 部発行してくれましたが、ビザの申請等には使えません。私は病院からビザ申請用の書式を用意してもらえると解釈したのですが、どなたか補足情報をいただけると助かります。

赤十字病院で健診する場合

赤十字病院では健診を受けなかったため、注意点だけ記したいと思います。

ベルギーに郵送する前に在日ベルギー大使館には持参せず、外務省に行ってアポスティーユをもらうとのことです。この申請でさらに 2 日以上かかります(受け取り方法により日数は異なります)。

アポスティーユとは各種書類について外務省のお墨付きをもらうことです。詳細は外務省のホームページをご確認ください。

外部リンク:外務省 公印確認・アポスティーユとは

健診結果に問題なければその書式に医師の名前と病院の公印を押してもらえるので、その原本を外務省に持参してアポスティーユをもらいます。労働許可申請用診断書とビザ申請用診断書の 2 部を持参して個別にアポスティーユをもうことになると思います。

聖路加国際病院での健康診断の実際

電話予約から約 3 週間待ち、指定日に聖路加国際病院に行きました。最寄り駅は築地か新富町駅になります。最寄り駅から徒歩で行くと写真に示す西口が最短です(正門ではない)。

聖路加国際病院西口(東京・築地)
聖路加国際病院西口(東京・築地)

13:30 の予定でしたが、早めに来るようにということで 15 分前には病院に着きました。初診なので登録用紙に必要事項記入して、初診専用のカウンターで受付をしました。受付で番号札をとるもすぐに呼ばれました。

保険証を忘れるというケアレスミスをしましたが、この健康診断は実費なので無くても問題ありませんでした。保険証の代わりに本人確認の運転免許証を提示して少し待ち、診察券と受付票を受け取り内科へ。

内科の受付に行くと、眼科健診からと言われて 3F の眼科受付へ移動。眼科健診は視力検査のみですぐ終了。よく見えますねといわれて「 6 年前にレーシックをしました」と素直に答えました。

この眼科健診後にトラブルが起きました。事務の手続きミスで一時間無駄に待たされました。検査終了後にクリアファイルを受け取り、受付カウンターにあるトレイに入れて呼ばれるのを待つのですが、待っても呼ばれませんでした。ただ「大学病院の様に待たされるのが当然」とも思っていました。

それでも待っていても呼ばれなかったので、受付まで行って尋ねました。すると「受付票はお持ちですか?」と逆に聞かれて「受け取ったクリアファイルをそのままトレイに入れた。初めて来てわからないが、それ以外のものは受け取っていない」と回答。そうしたら慌てて受付票を再印刷されて渡されて終わり。わずか数十秒のことでした。おしゃべりしながら仕事をしているからこういうミスが発生するのではないのでしょうか?

病院内ではこの「受付票」を持って各受付に行きます。行く必要のある科のリストが受付票に書かれているため、手元になければすぐ受付で確認してください。

その後、採血(五本)、尿検査、胸部レントゲンと行きますが、どれもあっという間に終わりました。採血の受付は機械(診察券を機械に通す)でやるように言われましたが、私はわからずに窓口でベルで人を呼びました。初めての人には不親切ですね。

最後に内科に戻ってきました。一通りの検査を終えて最後に問診です。

内科受付で受付票を再度提出すると「血圧と体温を測ってください」と指定の場所に行きました。ここまでイライラしていたため、血圧はいつも出ない 148 (上)と出ました。また腋の下の汗はぬぐって体温を測ったのですが、いつもより低い体温となりました。それでも診断に問題はありませんでした。

血圧の測定結果の用紙と体温計を返却すると、先に述べた健康診断書の提出と個人情報の記入です。それらも提出して椅子に座るとすぐに呼ばれて問診でした。いわゆる健康診断の問診なので「タバコは吸っているか」、「酒はどれくらい飲んでいるか」、「服用中の薬はあるか」といった程度のことしか聞かれません。あとはお腹だけ触診されます。

以上で内科健診も終わり、すべての検査が終了しました。診察券を持って会計カウンターですぐに会計ができます。費用は税込みで 27,900 円でした。クレジットカード決済が可能です。

来院から会計終了まで 30 分あれば十分終わります。受付票のミスが無ければ本当に30分かかりませんでした。

健康診断の結果は 10 日から 14 日待ってほしいとのことでしたが、 5 日後(水曜日に健診し翌週の月曜日)には電話連絡があり「診断書の準備ができました」と言われました。私は時間があったので翌日再度来院し直接受け取りました。この受け取りにも予約が必要ですので、この電話にて予約しましょう。

診断書の郵送もできるとのことでした。郵送の場合は 480 円別途かかりますが、地方在住の方であれば郵送でもいいでしょう。

まとめ

以上、このように健康診断書は私には難産でした。私自身 2 度レントゲン検査を受ける羽目になったのがとてもショックでした。

ちなみに、ベルギー国内の病院で健康診断を受ければ安く確実という情報もあります。ただ移動が必要なのと、在日ベルギー大使館の説明にベルギー国内で健診したケースは書かれていないため、確信はありません。

時間はかかっても確実な方法で進めることをおすすめします。

次は無犯罪証明書の入手方法です。労働許可申請では不要でしたが、ビザおよび現地での滞在許可申請で求められるので取得しました。

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※この情報は 2017 年 5 月時点の情報です。最新の情報は在日ベルギー大使館にメールにてお問い合わせください。

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このブログを書いている人

ダイブツ
twitter: @habatakurikei
元々IT系だけど電気系技術者。20代で博士号を取得するも、全然社会の役に立てないのが不満でブログによる情報発信を開始。あなたに有益な知識やノウハウを理系目線かつ図解でわかりやすく解説するのがモットー。2018年心臓発作であわや過労死寸前。そこからガジェットレビューを通じた体調管理の情報発信も開始。ベルギー在住でシンガポール就労経験もあり、海外転職や海外生活のノウハウも公開中。

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