グロービッシュ英単語1500が政治的なので日常英会話向けに作り直した

この記事は約 8 分で読めます

グロービッシュは政治的な単語があって日常英会話で使いにくいイメージ

グロービッシュはフランス人のジャン=ポール・ネリエール氏によって提案された、非ネイティブスピーカー向けの英会話のコンセプトです。

このコンセプトには 1500 語の英単語が含まれます。

この英単語リスト、調べてみたところ実は政治的な用語や、日常英会話では使わないであろう英単語が含まれていました。

この記事では海外在住歴 5 年以上の私がグロービッシュ英単語の一部を入れ替えました。

削除した英単語のリスト、今回追加した英単語のリストと「なぜ削除したのか?」という理由を説明します。

112 語、全 1500 語の内の約 7 %を削除して入れ替えました。

トータル 1500 語は同じです。中学レベルの単語を入れたことで日常英会話に近い単語リストになりました。

修正後の英単語帳はエクセルシート形式でダウンロードできます。ご自由に学習にお使いください。

無料ダウンロード: hr_english_word_1500.xlsx (60kB)
※クリックするだけでダウンロードできます(会員登録不要)

削除した英単語一覧と削除した6つの理由

削除した英単語一覧

上のリストはグロービッシュ英単語 1500 から削除した単語です。

削除した理由はおおまかに 6 つあります。順番にみていきましょう。

理由1:政治的/軍事的な意味だから

政治的/軍事的な単語は削除しました。例えばこのような英単語を削除しました。

  • army (陸軍)
  • ballot (投票)
  • jail, prison (刑務所)
  • military (軍隊)
  • navy (海軍)
  • parliament (国会、議会)
  • refugee (難民)

日常英会話でこれらの単語は必要ですか?ニュースを英語で読むためには必要です。しかし覚える優先順位は低いはずです。

海外在住 5 年以上の私ですら、このような英単語は知っていても日常的には使いません。超限定的な業界でない限りビジネス英語としても使いません。

1500 語だけで英会話ができるのがグロービッシュのメリットのはずです。しかし上記の単語を含むのはむしろデメリットではないでしょうか?一部では批判もあるようです。

理由2:職業は種類が多いし連想可能

職業に関する英単語も削除しました。例えばこのような単語です。

  • minister (大臣)
  • officer (職員)
  • pilot (パイロット)
  • professor (教授)
  • senate (上院議員)

エンジニアとかアーティストとか、日本でも職業は英語で言うことが多くなりました。しかし engineer も artist も 1500 語に含まれていません。

そのため職業は別に覚えていただくように配慮しました。

例外として doctor (医師)だけは残しました。「病院に行きますか?」を “Are you going to see a doctor?” と日常英会話でも使うからです。

理由3:連想できる単語は1つだけに集約

my, me, our, us, their, them なども削除しました。これはさすがにやりすぎでしょうか?

そもそも my, their などは中学で覚える必須英単語です。

ただし I, you, we は 1500 語に残してあります。主語から連想して使うようにしましょう。

ちなみにグロービッシュ英単語には Sunday, Monday といった曜日は含まれていません。後ほど解説しますが、コアとなる基礎英単語は暗記してでも覚えましょう。

同じく連想できるという理由で以下の単語も削除しました。

  • equate (equal)
  • heal (health)
  • joint (join)
  • might (may)
  • quart (quarter)
  • speech (speak)
  • tight (tie)

()内の英単語が 1500 語に含まれています。

理由4:単位はカタカナ英語で知っているから

下記に示す単位の英単語も削除しました。

  • gallon (ガロン:液体の量の単位、ガソリンの量で使われている)
  • pound (ポンド:重さの単位、格闘技で使われている)
  • yard (ヤード:長さの単位、ゴルフで使われている)

単位は日本語でもカタカナを使っていますね。例えばグラム (gram) とかリットル (liter) とか。

しかしグラムもリットルもグロービッシュ 1500 語には入っていません。ガロン、ポンド、ヤードだけ入っているのは不自然ですね。

ガロンはアメリカなど地域限定で使われている単位です。ニュースでもみかける単語ですが、わざわざ 1500 語に入れる必要はないと判断しました。

特殊な単位が必要な会話は日常英会話でも中級レベル以上です。個別に覚えましょう。

理由5:日常英会話で使わなさそうだから

下記の単語って日常英会話で使いますか?

  • dismiss (捨てる、忘れる)
  • dispute (反対する)
  • gang (ギャング)
  • hijack (ハイジャック)
  • murder (殺人)
  • mercy (慈悲)
  • wreck (破壊する)

百歩譲って、 dismiss はビジネス英単語として使うかもしれません。 Skype で会議のリマインダーが出たときに “dismiss” (忘れる)というボタンがあるからです。でもそれ以外の用途を知りません。

洋書の多読をおすすめしている私からすると、上記の英単語は小説では出てくるでしょう。

しかし日常英会話として使うことはないので削除しました。

理由6:意味は違うが同じスペルだから

tear という単語はなぜか 2 回登場します。 1500 語という制限があるのに。

「引き裂く」という意味と「涙」という意味で分けて使うようです。

2 回出す必要はないので 1 つに集約しました。

追加した英単語は中学英語の教科書からもってきた

追加した英単語一覧

英単語の追加には『三省堂ニュークラウン』という中学英語の教科書を使わせていただきました。

グロービッシュ 1500 語になくて、かつ教科書にはある英単語をピックアップしました。それが上のリストになります。

例えば下記に示す英単語を追加しました。どれも基本的な英単語ではないでしょうか。

  • afternoon
  • bus
  • desk
  • cake
  • lunch
  • student
  • toilet

少し難しめかもしれませんが、以下の英単語も追加しました。

  • courage (勇気)
  • dialog (対話)
  • instrument (楽器)
  • pardon (すみません)
  • promise (約束する)
  • sincere (心から)
  • thirsty (のどが渇く)

いずれも教科書に掲載されている英単語です。

特に sincere は Sincerely yours (敬具)として手紙で使います。

昨今のスマホのメッセンジャーの発達で手紙の文体は使わないかもしれません。ただビジネス英語としてはまだまだ必要と判断して追加しました。

「削除した英単語リスト」と「追加した英単語リスト」を比較してみてください。簡単な英単語に置き換わったイメージができるでしょう。

補足

暗記してでも覚えるべき英単語

曜日や数字は最初からグロービッシュに含まれていませんでした (million は除く)。そのため以下の英単語はあえてグロービッシュから外しました。

  • 人称: my, me, his, him, her, our, us, their, them
  • 曜日: Sunday, Monday, Tuesday, Wednesday, Thursday, Friday, Saturday
  • 数字: one, two, three, four, …, twenty

英語の基礎は中学英語です。最低限これらの英単語は暗記しましょう。英語力の土台です。

結局は1500語以上の英単語が必要、でも日本人にはカタカナの土台がある

「あれ?結局は 1500 語以上覚えないと英会話はできないのでは?」

お気づきになった人もいるかもしれません。

その通りです。

結局、ある程度英会話のできる人は 1500 語以上の単語力があることになるのです。

これも批判になるかもしれません。しかし残念ながら事実です。

1500 語というのは「覚える英単語数の目安」としてわかりやすい。とてもアピールしやすいです。

そのため英語学習の目標としては 1500 語を引き続き目安にしましょう。

日本人はカタカナを通じて実はかなりの英単語を知っています。

「バス」、「ランチ」、「ディナー」。これらのカタカナ英語の土台を使わない手はありません。

この記事で紹介した英単語 1500 をすべて新しく覚える必要はないのです。

すでにある日本人のカタカナ英語の土台、そして「連想」で単語力を増やしていきましょう。

まとめ

グロービッシュ英単語はかなり偏りのある単語集だということがわかりました。

今回削除して入れ替えた単語帳が正解かどうか、正直確証はありません。TOEIC の出題文などを使ってどれくらいの英単語がカバーできているのか検証してみるのもいいでしょう。

中学英語は日常英会話、ビジネス英語などすべての基本です。

この中学英語寄りにシフトしたことであなたの英語学習に少しでも役に立てればうれしいです。

この記事をまとめましょう。

  • グロービッシュ英単語 1500 には政治的、軍事的な単語がある。日常英会話の習得を目的とするには偏りがある。
  • この記事で追加した英単語は中学の英語の教科書を参考にした。そのため既に知っている英単語もある。
  • 関連して覚えられる英単語も削除した。「連想」して単語力を増やそう。

無料ダウンロード: hr_english_word_1500.xlsx (60kB)
※クリックするだけでダウンロードできます(会員登録不要)

参考文献

「ニュークラウン」編集委員会 , 三省堂, 2021
この本の詳細を見る

まとめページ「英語習得物語 目次」に戻る

シェア
この記事のカテゴリ:英語習得物語
この記事のタグ:なし

このブログを書いている人

ダイブツ
twitter: @habatakurikei
元々IT系だけど電気系技術者。20代で博士号を取得するも、全然社会の役に立てないのが不満でブログによる情報発信を開始。あなたに有益な知識やノウハウを理系目線かつ図解でわかりやすく解説するのがモットー。2018年心臓発作であわや過労死寸前。そこからガジェットレビューを通じた体調管理の情報発信も開始。ベルギー在住でシンガポール就労経験もあり、海外転職や海外生活のノウハウも公開中。

私の詳細:プロフィール

このような記事も読まれています

TOEIC公式アプリでスコアアップできそうか?徹底レビュー

今はスマートフォンアプリで手軽に英語学習ができる時代です。本当に便利でうらやましいです。しかしアプリも情報もたくさんありすぎて、どれを使うのがよいか選べない問題もあります。 そこで 10 年以上英語を学習し、英語で仕事をしている私がアプリを...

英語の発音は矯正すべき?ネイティブ発音が不要な理由と練習方法

日本の英語教育ではネイティブ発音が唯一の正解、という風潮があります。しかし英会話の習得にネイティブ発音は不要です。私も発音記号は忘れましたが、海外での就労に全く問題はありません。 この記事では英語の発音について、なぜネイティブ発音が不要なの...

【対訳】街の人々のセリフ—ドラクエ1で英語を勉強しよう

ドラクエ1の英語解説シリーズ3部作のうち「街の人々編」です。日常英会話やビジネス英会話でも使えそうなセリフを選び、英和対訳式で詳しく解説します。ぱふぱふは英語でどう言うのか?ラダトーム、マイラ、リムルダール、メルキドで雰囲気も違います。