Garmin Vivosmart 5 vs Fitbit「睡眠の質」表示比較レビュー

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Garmin Vivosmart 4とVivosmart 5の外観

このシリーズの目的は、日々の睡眠状況をしっかり把握し、より良い生活ができるようにサポートすることです。そのためにスマートウォッチやアクティビティトラッカー(活動量計)の睡眠計測・管理機能を辛口でレビューしています。

この記事はアメリカのメーカーである Garmin (ガーミン社)製のアクティビティトラッカー Vivosmart 5 の睡眠機能をレビューします。前モデルの Vivosmart 4 から 4 年越しの新作ですが果たして改善されているでしょうか?

結論を先に書くと、おすすめできます。

Vivosmart 4 よりも大幅改善されており日々の睡眠や活動がある意味では Fitbit よりも細かく記録できます。

前モデルのレビュー記事が修正できないほどの大幅改善です。そのため今回記事を新しく書き起こしました。

詳しくみていきましょう。

Garmin Connect アプリ睡眠管理機能を解説

睡眠管理の基本画面

Garmin Connectアプリの睡眠管理メイン画面

上図は睡眠管理の基本画面です。

起床後アプリとデバイス (Vivosmart 5) を Bluetooth で同期します。他の製品よりも同期に少し時間がかかる印象です。

データ収集と分析完了後、睡眠画面を開くとまず大きく睡眠時間が表示されます。そして各睡眠ステージに何時間消費したかを教えてくれます。

睡眠ステージは「覚醒、レム睡眠、(浅い)ノンレム睡眠、(深い)ノンレム睡眠」の 4 ステージで他社製品と同じです。

画面を上にスワイプ(下にスクロール)すると睡眠サイクルが棒グラフのような形で表示されます。

睡眠中にどのように状態が変化したかが色でわかります。

睡眠ステージの詳細確認

Garmin Connectアプリ睡眠サイクルの詳細チェック

睡眠サイクルの部分をタップ(長押し)すると睡眠ステージの詳細がポップアップ画面で出ます。

上図では例えば「 22:17 深い(ノンレム睡眠)」と表示されています。

この詳細チェック機能を使ってよく眠れたかどうかを後ほど分析します。

Garmin Connect アプリは「睡眠スコア」を独自に計算してその日の睡眠の質を 100 点満点で評価します。ただしこの画面には睡眠スコアは表示されていません。

睡眠サイクルに腕の動き、血中酸素、呼吸などのデータを重ねて比較できる

Garmin Connect睡眠ステージ、腕の動き、血中酸素、呼吸数のグラフ比較

Vivosmart 5 では睡眠サイクル以外にも下記に示すデータをアプリで表示してくれます。

  • 睡眠中の腕の動き
  • 睡眠中の血中酸素
  • 睡眠中の呼吸数

これらのデータを上図のように睡眠ステージと重ねて表示できるため、睡眠中の状態をより詳しく知ることができます。

血中酸素はいわゆるパルスオキシメーターの機能なのですが、 Vivosmart 5 は医療機器ではないので参考程度としてください。

睡眠中の呼吸数も表示されます。 Vivosmart がどのように睡眠中の呼吸回数を計測しているのか正直わかりません。

それでもアプリ画面に表示されている血中酸素や呼吸数のデータも振り返ることで「睡眠時無呼吸症候群」かどうかセルフチェックすることができます。

睡眠中に血中酸素や呼吸数が低下していれば「正しく呼吸できていないのでは?」と疑うことができます。

Fitbit にも似た機能はありますがここまで細かく表示しません。腕の動きは Fitbit でもデータをとっているはずですが Garmin のようにアプリにデータを表示しません。

Garmin Connect血中酸素を軸にした睡眠グラフ比較

アプリ内では睡眠時データの表示を切り替えることができます。

上図は「血中酸素」を中心に他の項目を比較できるように画面を切り替えています。より細かくデータを比較できそうです。

Garmin Connect呼吸数を軸にした睡眠グラフ比較

上図は「呼吸数」を軸に睡眠ステージや腕の動き、血中酸素を比較できるように画面を切り替えています。

このような細かな分析機能は特に男性には嬉しい機能ですね。アクティビティ関連機器にこだわりのある Garmin 社ならではの特長といえるかもしれません。

過去の睡眠データを振り返る

Garmin Connectカレンダーによる過去データチェック

過去の記録や傾向を知ることは自分の睡眠状態だけでなく健康状態を振り返るのにも重要です。

Garmin Connect アプリでは「カレンダー」から過去の記録をチェックできます。

上図ではカレンダーのある日をタップしてから「睡眠(ステージ/サイクル)」または「睡眠スコア」を振り返る手順を示しています。

Garmin Connect過去の平均睡眠時間チェック

睡眠ステージの記録から過去 7 日間、つまり過去一週間の睡眠の傾向を振り返ることができます。

各曜日の睡眠時間や深い睡眠の割合もチェックできます。平均睡眠時間から寝不足かどうかも判断できます。

月単位や年単位の比較は表示されないようです。

Garmin Connect過去の睡眠スコアチェック

上図は睡眠スコアの過去の傾向が表示されています。睡眠スコアは週、月、年単位で表示が可能です。

睡眠スコアで高得点をだすには「長時間の睡眠」が必須です。

睡眠スコアの計算方法は公開されていません。そのため医学的に本当に良く眠れたかどうかが判断できません。

このレビューでは睡眠スコアを使わず睡眠ステージの変化から睡眠の質を分析します。

Garmin Connect過去の血中酸素や呼吸数のチェック

血中酸素や呼吸数の過去のデータも確認することができます。

睡眠障害など本格的に治療が必要な人向けの機能かもしれません。私自身がここまで振り返ることはまずありません。

レビュー方法

データの取り方や設定をここで整理します。結果だけ知りたい人はここを飛ばしてください。

データの取り方

Garmin Vivosmart 5とFitbitをそれぞれつけて睡眠データを計測

睡眠の質を比較するための判断基準は Fitbit のデータです。過去の経験上、起床後の身体の感覚(すっきりしているか、眠気が残っているか)と睡眠図に最も関連性を見いだせているのが Fitbit だからです。

左腕に Vivosmart 5, 右腕に Fitbit を装着していつも通り就寝しました。右腕/左腕の装着設定は確認済みです。

起床後アプリでデータを収集し、両デバイスの波形を比較しました。その結果を解説します。

計 1 か月分 (30 日間)データ収集しました。

関連記事:【検証】Fitbitの睡眠データは利き手と非利き手で違うのか?

睡眠の質を評価するポイント

医師が書いた睡眠に関する本や私が Fitbit で計測した睡眠データから、睡眠の質をチェックするポイントは以下の 3 つに整理しました。

  1. 「覚醒」から「最初の深い睡眠」に入るまでの時間は短いほど良い (30 分以内が目安)
  2. 最初の深い睡眠は 20 分間以上あることが望ましい
  3. 睡眠中の途中覚醒回数は少ない方が良い

1 番が最も重要で、番号順に優先順位は下がります。各項目の詳細と根拠については下記の補足説明をご覧ください。

関連記事:補足:睡眠の質をチェックする3つのポイント(各社の活動量計の睡眠管理機能を徹底レビュー)

睡眠サイクルの比較結果:大幅な改善が認められる

良い睡眠も悪い睡眠も一致した例

よく眠れた日の睡眠サイクルの比較結果

上図は良く眠れた日の睡眠サイクルの比較結果です。

Vivosmart 5 のグラフをグレースケールにして、 Fitbit のグラフを上に重ねています。就寝時刻と起床時刻は合わせてあります。

どちらのグラフも寝落ち後の早い段階で深い睡眠が出ています。最初の 90 分で深い睡眠が出るのが良質な睡眠の条件です。

具体的に Vivosmart 5 のグラフを 3 つのポイントから分析してみましょう。

  1. 最初の深い睡眠まで 9 分 (30 分以内が良い) → 〇
  2. 最初の深い睡眠が 30 分間 (20 分間以上が良い) → ◎
  3. 中途覚醒 0 回 → 〇 (判定の優先順位は低い)
  4. 睡眠の質の総合評価 → ◎

Fitbit もほぼ同じ傾向となっています。就寝時刻は 5 分ほどずれていますが、許容できる範囲でしょう。

この日はすっきり目覚めることができています。

睡眠の質が悪かった日の睡眠サイクルの比較結果

上図は睡眠の質が悪かった、あまり良く眠れなかったと感じた日の睡眠サイクルの比較結果です。

ひとつ前のグラフと比較しても一目瞭然で、入眠直後に深い睡眠が出ていません。

Vivosmart 5 のグラフを 3 つのポイントから分析してみましょう。

  1. 最初の深い睡眠まで 90 分以上 (30 分以内が良い) → ×
  2. 最初の深い睡眠が 9 分間 (20 分間以上が良い) → △
  3. 中途覚醒 2 回 → △
  4. 睡眠の質の総合評価 → ×

Fitbit も入眠後 60 分以上深い睡眠が出ていません。このような日は起床後もあくびをするなどスッキリしない状態で午前中を過ごしています。

前モデル (Vivosmart 4) よりも良い睡眠/悪い睡眠のメリハリがきちんと記録されているように感じました。

判定の不一致もあったが頻度は減った

睡眠の質の判定が合わなかった例

上図は判定が不一致だった例です。はっきり真逆の判定ではないため正直分析は難しかったです。

この日 Vivosmart 5 は入眠後 20 分で深い睡眠が一応出ています。最初の深い睡眠が 14 分間だと決して長くなくしっかり疲れはとれないため判定は △ です。

一方、 Fitbit は最初の深い睡眠が 33 分間出ていますが到達まで 54 分かかっています。深い睡眠は必要なのですが、入眠後短時間で一気に深い睡眠まで落ちる必要があります。 54 分は長いです。

Fitbit はこの日深い睡眠が出たものの、起床後あくびをしたため睡眠の質は良くありませんでした。

Vivosmart 5 のレビュー開始数日間は Fitbit と真逆の判定結果が出ていました。そのため「睡眠計測機能は改善していないのか?」とレビューを打ち切りもありえました。

しかしレビュー 2 週目から明らかな判定の不一致は減りました。この例のような微妙な計測結果は出るものの、質の良い悪いの判定がはっきり分析できるようになっています。

このように Vivosmart 5 はかなり改善しているといえます。

就寝時刻がずれるのが気になる

就寝時刻がFitbitとVivosmart 5で一致しなかった例

Vivosmart 5 の睡眠計測で唯一気になったのが就寝時刻のずれでした。

就寝時刻が一致しない日が何度もありました。先に紹介した 5 分くらいのずれであれば他社製品でも起こることなので気になりません。

しかし上図に示すように Vivosmart 5 の睡眠計測の開始時刻が数十分も遅いことがありました。 

上図では Fitbit はもっと早い段階で睡眠計測が始まっています。しかし Fitbit が正しいです。この日はどうしても眠くて 21 時にベッドに行ったのは事実です。

この点が改善されれば Fitbit とほぼ遜色ないレベルで活用可能でしょう。

まとめ

数年ぶりの新製品ということでメーカーも自信をもってリリースされたのでしょう。かなり良い製品になったと思います。

普段使いとして十分ありの製品です。

この記事をまとめましょう。

  • 睡眠の質をしっかり判定できるように改善された。かつ Fitbit と比較しても睡眠の質を判断できるレベルにまで改善された。
  • 睡眠サイクルだけでなく睡眠中の呼吸数や血中酸素、腕の動きをひとつのグラフで同時に比較できて Fitibit よりも細かい分析ができる。
  • 睡眠の記録開始が Fitbit よりも遅いことが何度かあった。それでも前製品より良くなっている。
Garmin Connect™
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関連記事:Garmin Vivosmart 4 vs Fitbit「睡眠の質」表示比較レビュー(前製品のレビュー)

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※このレビューは 2022 年 6 月から 7 月にかけて行いました。最新ソフトではこの記事で書かれた内容と相違があるかもしれません。

※このレビューではアプリは iPhone 版を主に使用しました。

※良い睡眠がとれたかどうかは必ずご自身の体調や起床後の気分などでご確認ください。アプリの表示は計測結果を保証するものではありません。

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このブログを書いている人

ダイブツ
twitter: @habatakurikei
元々IT系だけど電気系技術者。20代で博士号を取得するも、全然社会の役に立てないのが不満でブログによる情報発信を開始。あなたに有益な知識やノウハウを理系目線かつ図解でわかりやすく解説するのがモットー。2018年心臓発作であわや過労死寸前。そこからガジェットレビューを通じた体調管理の情報発信も開始。ベルギー在住でシンガポール就労経験もあり、海外転職や海外生活のノウハウも公開中。

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