TOEIC問題集を解きまくって850点!一番の対策は実践

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私が続けた英語学習のほとんどは、 TOEIC 対策よりも多読や音読といった実践でした。しかし海外就職を実現するために履歴書の見栄えを良くする必要から、英語学習の仕上げとして TOEIC 対策もやりました。

この記事では TOEIC 対策としてふたつのポイントを紹介します。ひとつは公式問題集を解くこと、もうひとつは試験当日で自分の力を最大限に使うためのテクニックです。実際にこの対策で 850 点を取得しました。

TOEIC 対策も公式問題集や模擬試験を通してやるような「実践」が大切です。

公式問題集こそが最高のパートナー

公式問題集シリーズ

公式問題集が一番信用できる

まずは厳しい現実をお伝えしなければいけません。

英語の試験にまぐれのハイスコアや合格はありません。

テスト全問を通じて 1 問くらいラッキーで正解することはあります。しかし何問も連続で正解することなどまずありえません。

私自身、 15 回以上 TOEIC を受験して、ラッキーでハイスコアが出たことはありません。自分の実力が結果に出ると断言できます。

そのため、問題集にも選び方があります。たくさんの教材をあれこれ買わずに、これだと思う問題集だけを購入して何度も解くのがスコアアップへの近道です。

市販の問題集はたくさんありますが、やはり公式問題集です。英検も同じですが、 TOEIC も試験対策であれば、必ず公式問題集をやりましょう。理由は簡単です。出題元が提供している問題集が一番信用できるからです。

模擬問題集(本番の試験のように問題全体を構成したもの)はたくさんでていますが、どれも著者の個人的な解釈が入り公式見解ではありません。

TOEIC は公式問題集が定期的にシリーズとして出版されているので、このシリーズだけで 10 回分以上の模試をやることができます。他の問題集に手を出さず、公式問題集だけを購入して全問解けるまでやれば大丈夫です。

なぜ間違えたのかを理解しないとスコアは上がらない

TOEIC公式問題集の使い方

購入した問題集は裁断するなどしてばらしましょう。

もったいないかもしれませんが、これには理由があります。公式問題集は模試を 2 回分まとめた本です。この模試を 1 回分ずつに仕分けてクリップで留めます。

公式問題集を数冊持っていれば、ばらして数回分の模試セットを作ることができます。これらのセットをランダムに並べて、「今回はこのセットを解く、次回はあのセットを解く」という風に実際の試験を解く訓練をしましょう。各模試をやるときは必ずタイマーをセットして、実際の試験時間で解いてみましょう。

模試セットは一度解いて終わりではありません。数日から数週間後、同じ模試をもう一度全体を通して解いてみましょう。結果は前回と同じになる可能性があります。

なぜでしょうか?これにも明確な理由があります。

同じ問題で間違えます。

私自身、同じ模試セットを 2 度 (2 回目は 1 回目の 4 日後)解いてみてわかりました。実力が上がらない限り、同じ問題で間違えるのでスコアが上がらないのです。

たまたま間違えたのではなくて、間違えた根拠があって間違えるのです。

  • 単語の意味をきちんと理解していなかった
  • 文法に誤解があった
  • 本来の意味とは違った用法があることを知らなかった

など、何かが足りなくて間違えたのです。

いちど間違えた問題は、なぜ間違えたのかを必ず復習して理解しましょう。これがスコアアップへの最短距離です。解ける問題を何度もやる必要はありません。時間の無駄です。

関連記事:英語習得物語 第5話:25歳で英検を初受験(英検も過去問をひたすら解いて合格したおはなし)

間違えた問題だけを集めて自分だけの問題集を作ろう

解ける問題を何度も解くのは時間の無駄と説明しました。何度か解いたら次のステージとして、効率アップが必要でしょう。

同じ問題集を何度も解くと、どの問題を何回間違えたのかがデータとして集計できます。そこで、何度も間違えた問題だけを切り抜いて集めて「自分だけの問題集」を作りましょう。リスニングの問題は編集が難しいので、リーディングの問題集だけでも作ってみましょう。

※私が実際に作った自分用問題集の写真はこの記事の最後に公開します。

何度もと書きましたが、できれば 1 回でも間違えた問題は自分用問題集に採用したいところです。たまたま間違えた可能性もありますが、そこには誤解答をした理由が(その時は気づいてなくても)あるかもしれません。やはり厳しい目で問題集に取り組みたいところです。

この方法にも問題点はあります。そもそもスコアが低いと、間違えた問題の方が多くなり自分用問題集のボリュームが多くなってしまいます。

私が TOEIC 対策を始めたのは既に 750 点の頃だったので、幸いにも解けた問題より間違えた問題の方が少なかったのです。そのため 1 度だけでも間違えた問題を集めても、それほどのボリュームにはなりませんでした。

トータルスコアが低い(目安として 600 点未満)のであれば、いきなり問題集をやらずにパート別の対策本をやるか、基礎英語に力を入れましょう。

パート別の対策本については別記事で紹介しています。基礎的な英語力については、私が実際にどうやって身につけたのかを物語形式で紹介しています。

関連記事:TOEIC600点未満の人向けパート別参考書と解答のコツ

公式問題集だけで何とかなるのか?

公式問題集だけで何とかなります。ただし、ここまで紹介してきたように何度も繰り返し解いてください。別々の問題集を 1 回ずつやるより、同じ問題集を何度も解いて全問正解を目指す方が結果的にスコアは上がりやすくなります。そのあたりの実例はこの後紹介します。

問題集に出ない単語がもし試験で出た場合は攻略できないのでは?と思われるかもしれません。しかしその心配は不要です。

問題集に出てくる単語をすべて理解できるのであれば、あなたの語彙力は既に十分あります。 TOEIC では英検のような高度の単語力は求められません。私自身知らない単語があっても 850 点をとれています。

その代わりに TOEIC では単語の言い換えが求められます。言い換えは基本的に簡単な単語の組み合わせで対応できるので、基礎英語力と公式問題集だけで対応できます。

関連記事:英単語を克服するコツ、多読による覚え方と必須単語数(1500語英単語を覚えればビジネス英会話ができるという解説)

それ以上に TOEIC に求められているのは「日常生活やビジネスの場で出てくる英文をその場で(すぐ)処理できる能力」、すなわちスピードです。

私がフィリピンに語学留学した記事から一例を紹介します。

TOEIC 800 点を半年で取った台湾人の生徒が、地球温暖化のディスカッションについていけませんでした。専門的な意見を求められる話題や、 CNN や BBC などニュースでは背景となる知識や情報(特に世界情勢)を知らないと対応できません。洋画やニュースを字幕なしで視聴するのは今でも難しいです。

関連記事:英語習得物語 第12話:~そしてフィリピン・セブ島留学へ~

そういう意味でも、公式問題集に出てくる単語や文章のパターンが網羅できていれば試験対策としては十分です。使いこなす英語と試験の英語はとりあえず切り離して考えましょう。

試験当日に活かすためのパート別攻略法

リスニングパート3と4は先読みと「指」で総合的に解答する

リスニング対策(イメージ)

リスニングはナレーションが待ってくれないため、その場の決断力でどんどんマークしていかなければなりません。そして、問題用紙・解答用紙ともに解答マーク以外の書き込みができません。この点を踏まえてどう解答するかが攻略ポイントです。

先読みは中村澄子先生が提案されている方法です(中村澄子 『新 TOEIC テスト スコアアップ 135 のヒント (祥伝社黄金文庫)』 祥伝社 (2010) p.98)。リスニングで高得点を取るためには必須の対策です。

リスニング試験中に流れるナレーションの間に、問題と選択肢を先に読み予備知識をつける方法です。

ナレーションは問題文の読み上げだけでなく、「次のページに行ってください」や「次の会話を聞いて問題に答えてください」といったガイドが流れます。これらのガイドのアナウンス中に設問と選択肢を先に読んでおくことで、会話のアナウンス中に解答しやすくする(すぐマークする)のです。

この方法は特に Part 3 の会話と Part 4 のナレーションで活かせます。

私の場合は先読みだけでも解答が大変だったので、さらに工夫を加えました。

右手は常に筆記具を持ち、解答用紙のマーク欄の上でいつでもマークできるように待機させました。

左手は問題用紙のページをめくるとき以外は、問題文や選択肢を指でなぞるか、おさえるかしました。問題文をなぞることで設問内容をよりよく理解したり、正答候補を指で押さえておいて忘れないようにしました。 Part 3 と 4 はここまでしないと解答が難しかったです。

リスニングパート1と2は指を曲げて正解候補を覚えておく

Part 1と2は選択肢が問題用紙に書かれてないので、 Part 3, 4 と同じ方法は使えません。その代わり、左手はテーブルの下で指を曲げて正答候補を記憶しました(例えば親指は選択肢の A, 人差し指は B, 中指は C など、自分の曲げやすい指で)。

選択肢のアナウンス中に A が正しいと思ったら一旦親指を曲げます。そしてそのまま他に正しい選択肢がなければそのまま A をマークします(もちろん右手は解答用紙上でいつでもマークできるようにスタンバイしています)。もし B か C が正しいと思ったら、親指はキープするか戻して、人差し指か中指を曲げてメモリをアップデートします。

そして、選択肢のアナウンスが終わるまでに曲げた答えの指のどれかを右手でマークします。あとは決断力です。マークしたら右手は次の解答欄でスタンバイします。

周りから見たら私はロボットだったかもしれません。それくらい私のリスニング力は本当に弱く、 Part 1 の 4 つの選択肢ですらアナウンス中に自分の答えを忘れてしまうのでした。

リーディングパートは時間配分し、制限「時刻」で解く

リーディングは時間配分が必要

これも TOEIC 対策本ではよく取り上げられている「時間配分」です。

リーディングは自分の好きなところから解答したり、解答の見直しが可能です。ただし実際には時間が足りずに全問解答できずに試験終了になります。見直しする時間はほとんどないため、限られた時間でどんどん解答する必要があります。

私は Part 5, 6, 7 の順番で解答し、途中で前の問題に戻らない正攻法でいきました。ただ時間内に全問マークできるように、試験本番前から各パートに制限時間を設けて、その時間内で解く訓練をしました。

TOEIC は毎回リスニング 45 分、リーディング 75 分、合計 2 時間です。試験開始時刻と終了時刻は受験票に書かれているので、リーディングテストは何時から何時までか事前にわかります(基本的には 13:45 – 15:00 のはずです)。

事前に決めた各パートの制限時間は、試験当日「何時何分までに終わらせる」という「時刻」に変換できます。 Part 5 と 6 は必ずこの制限時刻までに終わらせるようにしましょう。

試験当日は自分の腕時計だけが時刻を知る方法ですし、頭の中にストップウォッチを作るのは至難の業です。逆にその制限時刻よりも早く終われば、 Part 7 に費やす時間が長くなりハイスコアを狙うチャンスになります。

2016 年 5 月から始まった新出題形式は Part 5 が 30 問、 Part 6 が 16 問、 Part 7 が 54 問です。ひとつの時間配分の提案として、このような時間配分はいかがでしょうか。

  • Part 5 を 11 分以内 (20 秒/問)
  • Part 6 を 8 分以内 (30 秒/問)
  • Part 7 を 54 分以内 (1 分/問)

この計算ではまだ 2 分余りますが (11 + 8 + 54 = 73 分 < 75 分)、この 2 分は各パートの調整用かもしくは Part 7 に費やすのはいかがでしょうか。新試験では Part 7 にトリプルパッセージがあるため、 Part 7 に費やす時間が以前よりも長くなるはずです。

例として、リーディング試験が 13:45 – 15:00 の 75 分とします。この場合、制限時間を時刻に変換するとこのようになります。

  • Part 5 を 13:45 – 13:56 の 11 分間で解答
  • Part 6 を 13:56 – 14:04 の 8 分間で解答
  • Part 7 を 14:04 – 14:58 の 54 分間で解答
  • 残りの 2 分は見直し用もしくは 15:00 まで Part 7 を解答

このように、試験会場では腕時計で残り時間を確認するので、時刻ベースで解答のペース配分ができます。

私が 850 点を取れた時に実際にやったこと

旧問題集で模試10回分、2周解いて850点

私が2014年当時に買ったTOEIC公式問題集

私が最後に TOEIC を受験したのは 2015 年、出題形式の変更前です。そのため少し古い情報もありますが、新形式でも対応できるように合わせてお話しします。

まずは公式問題集を集めて模試セットを作りました。改定前の公式問題集は Vol.1 から Vol.6 までありました。ただ Vol.1 は既に販売終了、 Vol.6 は発売前だったので、 Vol.2 から Vol.5 までの 4 冊を購入しました。

新形式になってからは本記事の執筆時点 (2018-06-01) で同じく 4 冊出版されています。一冊で 2 回分の模試が入っているため、計 8 セットの模試を用意できます。

私はさらに英語版の問題集も購入しました。私が購入した本は旧出題型式なので紹介できませんが、 2019 年に新出題形式版を発売予定とのことです。発売の際に紹介できればと思います。

以上、日本語版 4 冊と英語版 1 冊で 5 冊、トータル 10 セットの模試を用意しました。

これらの模試は各 2 度、 3 日から 1 週間空けて解きました。 TOEIC の受験日までの 2 週間で計 20 回模試をやったことになります。

この時私はフィリピン留学から帰国した直後でした。フィリピンで風邪をこじらせて帰国したので、留学したことが無になるのではないかと不安でした。さらに仕事も辞めて転職活動中だったので、なんとしてでも 800 点以上をとりたいという焦りもありました。

実際には面接などが入らなければ一日空きました。そういう日は午前・午後にそれぞれ 1 回ずつ模擬試験を通しでやり(リスニング・リーディングすべて)答え合わせをしました。解けなかった問題はもちろんなぜ間違えたのかを復習しました。

私の場合は時間があったので短期間で集中して対策ができました。ただ普通の社会人であれば時間の確保が大変です。私からの提案は、平日にリスニングかリーディングのどちらか一方をやり、休日にリスニングとリーディングを通してやるのが良いでしょう。

大変ですが、毎日何かしらの形で続けることが大切です。継続は力になります。少しずつ積み上げていきましょう。

試験当日、体調は万全ではありませんでしたが会場では力を出し切りました。もちろん先ほど説明した対策(先読み、指曲げ、時間配分)はすべてやりました。

試験の結果は 850 点 (L430/R420) でした。

セブ島留学中のベストスコア 780 点から 70 点アップ、留学前のベストスコア 750 点からは 100 点アップ!何とかフィリピン語学留学当時の目的を達成することができました。

自分用問題集を作りシンガポールで解いて870点

実際に作った自分用問題集
実際に作った自分用問題集

リーディングだけ、模試で解けなかった問題は切り貼りして集めて転職先のシンガポールに持っていきました。シンガポールで TOEIC を受験する際に使用しました。

写真の左側は Part 5, 右側は Part 7 のダブルパッセージです。 Part 7 は複数の設問がありますが、そのうちひとつでも間違えればこのように自分用問題集に入れました。

この自分用問題集も何度も解きました。解けた問題は正の字をつけていき、 3 回以上解けた問題は丸をつけてそれ以上は解きませんでした。

写真の通り、これだけやっても丸のつかない問題があります。自分では復習して理解したつもりでも、全問正解には及びませんでした。ただこれらの問題を解けなくても、シンガポール生活に支障はありませんでした。

そして最終的に 870 点 (L445/R425) を取ることができました。

20 歳の時に 245 点を取ってから 14 年、スコアを 600 点上げることができました。途中浮き沈みはありましたし、時間はかかりすぎたかもしれませんが、諦めなければできるという点はこのシリーズで紹介できたと信じてやみません。

まとめ

TOEIC は年に何回でも受けられるのに、実力がスコアにきちんと反映される試験です。小手先のテクニックを否定しませんが、やはり自分の本来の力を出し切って取ったスコアほど嬉しいものはありません。この記事で紹介した方法がお役に立てればこれ以上の喜びはありません。

以上、この記事の内容をまとめましょう。

  • 公式問題集を何度もやり、何度も間違えた問題は「なぜ間違えたのか」を理解する。
  • 効率アップのため、解けない問題だけを集めて自分用問題集を作る。
  • リスニングパートは先読みと「指」で選択肢を絞って総合的に解答する。
  • リーディングパートは時間配分し、制限「時刻」で解く。

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このブログを書いている人

ダイブツ
twitter: @habatakurikei
元々IT系だけど電気系技術者。20代で博士号を取得するも、全然社会の役に立てないのが不満でブログによる情報発信を開始。あなたに有益な知識やノウハウを理系目線かつ図解でわかりやすく解説するのがモットー。2018年心臓発作であわや過労死寸前。そこからガジェットレビューを通じた体調管理の情報発信も開始。ベルギー在住でシンガポール就労経験もあり、海外転職や海外生活のノウハウも公開中。

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