【対訳】英語版ドラクエ2でもサマルトリア王子なしでクリアしたら泣かれるのか?
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ドラクエ 2 で英語を学ぶシリーズ。本当は紋章編で終わりにしたのですが、ふと「サマルトリア王子抜きでクリアしたときの英語のセリフはどうなるのか?」と思いました。
今回はドラクエ 2 のクリア編です。果たしてサマルトリア王子は英語でなんと言うのでしょうか?また「くっすん」と泣くセリフに英語版はあるのでしょうか?みていきましょう。
ちなみに、ファミコン版ではこの裏ワザがありません。今回はスーパーファミコン版のセリフで解説します。
このシリーズで紹介する英文はすべて対訳になっています。音読教材としてお使いいただけます。
宿屋の主人のセリフ
お連れの方は?
- SFC日本語版
- ところで もうひとり おつれの方は?
- スマホ英語版
- But what of your companion?
ベラヌールの町の宿屋で一泊し、チェックアウトしようとすると主人からこのように言われます。あれ?そういえば?という感じです。
what of は「~の様子はどうか」という意味です。 your companion (あなたの連れ、同伴者)はドラクエ 1 でも出てきました。ローラ姫が勇者にとっての連れでした。
似た表現で “what about…” という言い方もできます。 “how about …” も似た表現ですが、こちらは「~してみるのはどうか」という意味です。置き換えても通じますが、厳密さを求めると使い分けが必要です。
もしかしてご病気では?
- SFC日本語版
- もしかして ご病気では?
- スマホ英語版
- Has some malady afflicted him? Does the ague wrack his bones?
- スマホ英語版日本語訳
- 何かの病が彼を苦しめているのでは?寒気が彼の骨まで襲っていませんか?
仲間が病に倒れたことを宿屋の主人は心配してくれています。しかし少し言い方が強いですね。
malady は「病気」という意味です。古語なのでこの単語を覚える必要はありません。普通に sickness や illness に置き換えられます。
afflict (afflicted) は「苦しむ」です。日常英会話ではあまり使わないので覚える必要はありません。病気で苦しむ場合は suffer という英単語が一般的です。
ague は「悪寒、マラリア熱」という意味です。これもレアな単語ですね。
wrack は「復讐、破壊」という意味です。この単語も古語なので覚える必要はありません。
このセリフは日常英会話ならこのように書き直せます。 3 文ありますが、全部使う必要はありません。例文としていろいろな表現があることを紹介しました。
Is he sick? Does he suffer from illness? Is he catching cold?
元気になるまで
- SFC日本語版
- それならば 元気になられるまで おあずかりしますが…。
- スマホ英語版
- Then let him rest here until such time as he is well.
- スマホ英語版日本語訳
- それならば彼が元気になるまでここで休ませましょう。
let him rest は「彼を休ませる」という意味です。 ドラクエ 2 では他にも福引きにて let the game begin (ゲームを始めましょう)という表現もありました。 let には「~させる」という意味があります。
この場合は「サマルトリア王子をもっとうちの宿屋で休ませた方が良い」という主人の提案です。粋なはからいですね。ゲームとはいえ追加料金は発生していませんし。
until は「~まで」という意味です。この場合は「サマルトリア王子が元気になるまで」です。後ろに such time as he is well (彼が元気になるときまで)と続きます。丁寧に伝えていますが、日常英会話ではこういう言い方を聞いたことがありません。
私だったらこのように言うでしょう。日常英会話ならこれで通じます。
Then how about to let him rest until he is well.
サマルトリア王子のセリフ(世界が平和になる前)
身体が動かない
- SFC日本語版
- か からだが 動かない…。 どうやら ハーゴンが ぼくに 呪いを かけているらしい。
- スマホ英語版
- I… I cannot move… I am struck down… It is surely the curse of Hargon that works upon me…
- スマホ英語版日本語訳
- う、動けない…。ボクはやられた…。これは僕に向けた呪いに違いない…。
宿屋をチェックアウトしてサマルトリア王子の所に向かいます。ベッドに横たわっているサマルトリア王子は辛そうです。
strike down (struck down) は「襲う、苦しめる、打ち倒す」という意味です。ガツン!とやられたイメージです。
curse は「呪い」という意味です。
work は「働く」ですが、ここでは work on で「効く、作用する」という熟語的な意味です。「呪いが働いている → 呪いが効いている」となります。
「この機械はどういう仕組みで動いているの?」という場合英語では “how it works” と言います。この work という単語は今回主語が「呪い」だからこそ出てくる表現です。
work を使わなければ、この英文は下記のように書き直せます。
I cannot move… I am struck down… I am sure that I am affected by the curse of Hargon.
僕一人で良かった
- SFC日本語版
- しかし やられたのが ぼくひとりで よかった……。
- スマホ英語版
- We must be thankful that I alone am afflicted…
直訳すると「ボクだけ苦しんでいることに感謝しなければならない」です。セリフとしてはこのままにはできませんね。
サマルトリア王子にだけ呪いがかかったのは不幸中の幸いだった、と言えます。全滅は逃れましたからね。
alone は「ひとりで、孤独に」です。映画の「ホーム・アローン」は英語で Home Alone で「家でひとりぼっち」という意味です。
とにかく最初の We must be thankful が堅すぎます。このように言えば問題ないのではないでしょうか。
It is lucky that I alone suffer…
もうだめだ
- SFC日本語版
- たぶん ぼくは もうだめだ。
- スマホ英語版
- A-Alas, I fear that I am not long for this world…
- スマホ英語版日本語訳
- 悲しいかな、ボクはこの世に長くいられないか怖い…
かなり弱気になっていますね。
I fear… で「私は恐れている」です。これ以上長生きはできないかもしれない、と死の恐怖に襲われています。
ボクをおいて行け
- SFC日本語版
- さあ ぼくに かまわず 行ってくれっ! ううっ…。
- スマホ英語版
- T-Tarry not by my deathbed… Go, now… Nnngh! Leave me…
- スマホ英語版日本語訳
- ボ、ボクの死の床に留まるな… 行け… んん!ボクをおいて行け…
ボクに構わず旅を続けてくれ!と仲間を突き放します。
tarry は「遅れる、寄る」ですが、ここでは後ろの英文から「死の床 (deathbed) に近づかないでくれ」という訳になります。別の解説でも出てきましたが、 tarry という単語を覚える必要はありません。
leave me は「私を置いて行って」です。 leave は日常英会話でも必須の英単語です。「~のままにしておく」や「~を離れる(出発する)」という意味でよく使います。
この英文も書き直してみましょう。こちらの方がシンプルですね。
Do not stay by my deathbed… Go, now… Leave me!
サマルトリア王子のセリフ(世界が平和になったあと)
ボクは大丈夫だ
- SFC日本語版
- やあ (勇者)! ぼくは もう 大丈夫だ。 どういうわけか 呪いが とけたらしい。
- スマホ英語版
- Well met, brother (Hero)! The curse is lifted, and I am ready to rejoin our quest at last!
- スマホ英語版日本語訳
- (勇者)兄さん、また会えましたね!呪いは解けています。ついに、また冒険に参加できますよ!
- ※(勇者)はローレシア王子の名前
シドーを倒してベラヌールに戻りました。宿屋ではサマルトリア王子がテーブルで待っています。ゲームの初期、リリザの町で出会った時のイメージがよみがえります。
「兄さん、また会えたね!」という感じで気分は良いようです。呪われていたときは「もうだめだ、ボクはもう長く生きられない」と言っていたのですが。確かサマルトリア王子の妹は兄のことを「お調子者」と言ってましたっけ…。
curse is lifted は「呪いが解かれる」という意味です。ムーンブルク王女がラーの鏡で犬の状態から解かれたときも lift が使われました。
そして再びパーティに加わる (rejoin) と言っています。再び (re-) 加わる (join) ので rejoin です。
at last は「ついに」という意味です。ドラクエシリーズでは結構出てきますし、日常英会話でも使う表現ですね。それくらいサマルトリア王子は兄妹と旅をするのを待ち望んでいたのでしょう。
ハーゴンを倒してきた?
- SFC日本語版
- え? なんだって? キミたちだけで ハーゴンを たおしてきただって?
- スマホ英語版
- … What say you? Hargon is defeated!? And without mine aid?
- スマホ英語版日本語訳
- 何て言いました?ハーゴンを倒した!?ボクの協力なしで?
衝撃の一言があったのでしょう。動揺していますね。
この英文自体は今までドラクエ英語シリーズで紹介してきた英単語の復習ですね。基本的な解説は省略します。
aid は「援助、手助けする」ですね。バンドエイドのエイドはこの単語 (Band-Aid) です。募金活動を英語で financial aid とも言います。
この英文はこのように書き直しましょう。この方が音読しやすいでしょう。
What did you say? Is Hargon defeated!? Without me?
ボクは役立たず
- SFC日本語版
- そうか ぼくは 役たたず だったな。
- スマホ英語版
- So I was not destined to play a part in the world’s salvation, after all…?
- スマホ英語版日本語訳
- そうか、結局、ボクは世界を救う役目を担う運命ではなかったのか…?
フォローしたいところですが、仕方ないですね。もう終わってしまったことですから。しかし英語のセリフは格調高いですね。解説しましょう。
destine (destined) は「未来を定める、運命づける」という意味です。運命のことを destiny と言いますが、その動詞形とみなせます。あえて動詞形を使うことで「自分の運命ではなかった」ことが強調されています。
play a part 「役割を果たす、一役を担う」です。熟語として覚えるのがいいでしょう。
では何の役割が果たせなかったのでしょうか?ハーゴン(シドー)を討伐し世界を救うことですね。
salvation は「救済」という意味です。やや宗教的なニュアンスになります。
after all は「結局」という意味です。日常英会話でよく出てきますので覚えたほうがいいですね。
ともかく帰ろう
- SFC日本語版
- くっすん……。 ともかく 帰ろう…。
- スマホ英語版
- (sniff) No matter… Come, it is time to depart.
- スマホ英語版日本語訳
- (鼻をすする)なんでもない…。行こう、出発の時間だ。
鼻をすすりました (sniff) 。英語のセリフでも泣いてしまったようです。
no matter は「なんでもない」です。日常英会話では no matter what (たとえ~でも)といった熟語の使い方をします。ここでは「たとえ」では変なので matter を「こと」として「何事でもない → なんでもない」とするのが自然でしょう。
depart は「出発する」です。空港などに行くと出発を departure, 到着を arrival という表示をよく見ます。
ちなみに映画「おくりびと」の英語名はこの英単語をベースにした Departures です。アメリカのアカデミー賞に選ばれた瞬間 “Departures!” と言っていた映像が印象的でした。
come は直訳で「来て」ですが、そこまでの意味もありません。「さあ」といった相槌くらいの意味です。
こうして一行はローレシア城に戻るのでした。
まとめ
他のドラクエ英語シリーズと比べるとやさしい表現が続いたと思います。ドラクエならではの遊び心のある裏ワザと、セリフを通じた英語表現。このふたつがうまく合わさって英語をより楽しく学べるようになれば嬉しいです。
ドラクエ 3 についてもそろそろ着手したいところです。これからもよろしくお願いいたします!
声に出して読もう(英語のセリフ一覧)
この記事で紹介した英語のセリフを再度一覧にまとめました。下記のリストをご覧ください。
ドラクエのセリフは文語体や叙述的、詩的なものもあります。難しいセリフについてはグロービッシュや工業英語の観点から英文を書き直しました。そのため下記のセリフリストはより英会話に使えるようになっています。
音声データはありませんが、英語をある程度学習している方であれば音読教材としてお使いいただけます。ご活用ください。
- 宿屋の主人のセリフ
- But what of your companion?
- Is he sick? Does he suffer from illness? Is he catching cold?
- Then how about to let him rest until he is well.
- サマルトリア王子のセリフ(世界が平和になる前)
- I cannot move… I am struck down… I am sure that I am affected by the curse of Hargon.
- It is lucky that I alone suffer…
- A-Alas, I fear that I am not long for this world…
- Do not stay by my deathbed… Go, now… Leave me!
- サマルトリア王子のセリフ(世界が平和になったあと)
- Well met, brother! The curse is lifted, and I am ready to rejoin our quest at last!
- What did you say? Is Hargon defeated!? Without me?
- So I was not destined to play a part in the world’s salvation, after all…?
- (sniff) No matter… Come, it is time to depart.
このレビューで解説した英単語一覧
- afflict: 病気で苦しむ (suffer)
- after all: 結局
- ague: 悪寒、マラリア熱
- aid: 援助、手助けする (help)
- alone: ひとりで、孤独に
- at last: ついに
- curse: 呪い
- depart: 出発する
- destine: 未来を定める、運命づける
- fear: 恐れる
- leave: ~のままにしておく、~を離れる(出発する)
- let: ~させる
- lift: 呪いが解かれる、リフト
- malady: 病気 (sickness, illness)
- no matter: なんでもない
- play a part: 役割を果たす、一役を担う
- rejoin: 再加入する
- salvation: 救済
- sniff: 鼻をすする
- strike down: 襲う、苦しめる、打ち倒す
- tarry: 遅れる、寄る
- until: ~まで
- what of: ~の様子はどうか (what about, how about)
- work on: 効く、作用する
- wrack: 復讐、破壊
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※この記事の英訳には主に研究社新英和大辞典(第6版)を使用しました。