【対訳】オルテガは最期まで漢だった—ドラクエ3で英語を勉強しよう

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英語版オルテガの自己紹介

オルテガとの再会。ドラクエ 3 きっての名場面です。

オルテガの最期のセリフに感動した人は多いのではないでしょうか。そして英語版ではどのようなセリフなのでしょうか?この記事では対訳形式で解説します。

英語のセリフでもオルテガの漢の感じがよく出ていますし、小説並みに素敵な英文もありました。見ていきましょう。

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まさかの再会

オルテガと再会のシーン
SFC日本語版
なんと! ひとりの男が 怪物と 戦っている!
スマホ英語版
Just behind the bridge, the party see a solitary figure, locked in deadly combat with a many-headed monstrosity!
スマホ英語版日本語訳
ちょうど橋の向こう側に、ひとりの人影が見える。多頭の怪物との死闘に集中している!

この英文は読みごたえがありすばらしいです。うまい日本語訳ができませんでした。

behind は「後ろで」という意味でよく使われます。しかしここでは「橋を渡った先、向こう側」という意味です。勇者一行からみて向こう側だからです。

“the party see a solitary figure” は訳が難しいです。なぜでしょうか?

直訳すると「勇者一行には孤独な人の姿が見える」となります。でもこの状況で勇者一行 (the party) と訳さなくても誰が見ているかイメージできますね。

これが英語と日本語の構造の違いなんです。英語は主語を中心とした英文を作るのが基本なのです。

solitary は「ひとりの」です。他にも alone, single といった似た単語があります。しかし solitary には「孤独な、連れのいない」といった哀愁ただようニュアンスがあります。

figure はたくさんの意味がありますが、ここでは「人の姿、形、人影」です。

この2つを組み合わせて “solitary figure” は「孤独な人の姿」や「単独な人」など、様々な訳ができます。結局「ひとりの人影」と訳しました。

オルテガはひとりでゾーマ城までやってきました。当然孤独とも戦ってきました。そのイメージがとてもうまく “solitary figure” と英訳されています。この英文をうまく日本語にできないのは私の力不足です。

そしてキングヒドラという多くの頭を持つ怪物 (many-headed monstrosity) と戦っています。

locked は直訳すると「閉じ込められている」になります。しかし空間的に閉じ込められているのではないので「集中している」と訳しました。ロックオン (lock on) しているイメージです。

“deadly combat” は「死闘」と訳しました。 deadly はまさに「致命的な」、 combat は「戦い」です。

戦いというと fight や battle という英単語もあります。 fight は一般的な闘うという意味で、 battle はより大規模(桶狭間の戦いやワーテルローの戦いのような)な戦いです。

combat はそれに対して「 1 対 1 の戦い」という意味があります。英単語により伝わり方が変わります。

このようにとても深い英文でした。私自身が訳を通じて学ばせていただきました。

オルテガ最期のセリフ

オルテガ最期のセリフ

だれかいるのか

SFC日本語版
だ だれか そこに いるのか……? も もし だれか いるのなら どうか 伝えてほしい。
スマホ英語版
I-Is somebody there? Please… if there is somebody there, there’s something I need to tell you…
スマホ英語版日本語訳
だ、誰かそこにいるのか?お願いだ…もしそこに誰かいるなら、あなたに伝えたいことがある…。

日本語版のセリフには「わしには もう なにも見えぬ… なにも 聞こえぬ……。」もあり、人の気配を感じて話していることがわかります。しかし英語版にはこのセリフがありません。

キングヒドラに負けて死に直面しているのがわかっています。そのため冗長なセリフだったかもしれません。

上記の英文には特に難しい英単語がなく対訳ができています。このまま教材として使えますね。

すべてを思い出した

SFC日本語版
わたしは アリアハンの オルテガ。 今 すべてを 思いだした。
スマホ英語版
My name is Ortega… I come from a place called Aliahan… I… I remember it all now…
スマホ英語版日本語訳
わたしの名はオルテガ…。アリアハンと呼ばれる地から来ている…。わ…わたしは今すべてを思い出した。

上記の英文も特に難しい表現はありません。 2 点だけ補足しましょう。

アリアハンから来たことにわざわざ「アリアハンと呼ばれる地から来ている」と遠回しに言っています。べつに “I come from Aliahan.” でも良さそうですが。なぜでしょうか?

やはり勇者一行のこと、そして息子がそこにいることをオルテガは認識していません。どこの人たちに話しかけているか知らないために「アリアハンと呼ばれる地」と言っていると考えられます。

“a place called Aliahan” でまさに「アリアハンと呼ばれる地」ですね。

remember は「覚えている、思い出す」です。似た英単語に recall があります。しかし recall は「意図的に過去を思い出す」で、 remember は「自然に思い出す」とニュアンスが違います。

このケースでは、オルテガの緊張が(戦いに負けて)解けたことで自然と思い出したのでしょう。ギアガの大穴からアレフガルドの世界に落ちて記憶を失ってました。

アリアハンに行くことがあるなら

SFC日本語版
も もし そなたが アリアハンに いくことが あったなら……。 その国に 住む オズをたずね オルテガが こう言っていたと 伝えてくれ。
スマホ英語版
If… If you ever make it to Aliahan… I need you to find somone called Oz, and tell him…
スマホ英語版日本語訳
もし…もしあなたがいつかアリアハンに行くことがあれば…オズと呼ぶ人を見つけてこう伝えてほしい…。
※オズ (Oz) は勇者の名前、オズの魔法使いより拝借

オルテガからのお願いです。

“make it to” は熟語で「たどり着く」です。似た表現で “get to”, arrive もあります。

ever が前についていることで「もしいつかアリアハンに行くことがあれば」となります。今はアリアハンに行く予定がなくてもいつか、ですね。 “get to” や arrive だと元々行く予定があるニュアンスに感じます。

“I need you to” は「あなたに~をお願いしたい」です。直訳すると「あなたに~する必要がある」です。強いお願いです。

同じ意味であれば “I want you to…” と置き換えることもできます。

どちらの表現も強い言い方なので、決して目上の人に使ってはいけません。目上の人にお願いするときは “I wonder if you could …?” や最悪 “Could you …?” を使うことをおすすめします。

英語は何でもストレートに言うというのは間違いです。相手へのリスペクトがあれば、その状況に応じて紳士的な対応も必要です。

この父を許してくれ

SFC日本語版
平和な世に できなかった この父を ゆるしてくれ… とな ぐふっ!
スマホ英語版
Tell him I’m sorry… I wanted to make the world a better place… A place where he wouldn’t have to be afraid… But I… (sob) I just wasn’t strong enough…
スマホ英語版日本語訳
彼にごめんと伝えてくれ…。わたしはもっと世界を良くしたかった…。彼が恐れる必要のない(だろう)世界に…。しかしわたしは…(泣)わたしは十分に強くなかった…。

英語版でもオルテガは漢ですね。約束を果たせなかった悔しさを素直に伝えています。

ただし英語版の方が2文ほど多いです。日本語では少ない文でも伝わるのでしょうか?英語版はかなり説明的です。

「恐れる必要のない世界に」の英文が少し複雑なので説明しましょう。

“be afraid of” は「~を恐れる」です。受験英語を経験していれば、熟語として習っているはずです(私の記憶)。

そして省略形を無くすと “he would not have to be” です。

“do not have to” は「~する必要ない」で中学英語でも出てきます。その前に would (~だろう)がつきます。そのため「(恐れる)必要のないだろう」です。

上記の訳文で(だろう)とカッコにするのは、日本語ではそこまで細かく言わないだろうという想定のためです。

そして “A place where” で「~な世界(場所)」としています。「恐れる必要のない世界」と説明をつなぐために必要です。

sob は「すすり泣く」です。辞書によると、 sob にはヒステリックな状態で泣くことも含まれるようです。ここではオルテガは相当悔し泣きをしたとイメージできます。

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復活後のセリフ

アリアハンの自宅でオルテガと再会

まだ小さかった

PS4日本語版
私が 旅に出る時は また こんなに ちいさくて…。
スマホ英語版
When I left, you were barely the size of my thumb, and now look at you!
スマホ英語版日本語訳
私が出発したとき、おまえは私の親指くらい小さくて、そしていま目の前にいる!

息子(勇者)と再会できたことをオルテガは喜んでいます。裏ボスの神龍を倒してオルテガを復活させました。

left は「出発した」で leave の過去形です。もちろんオルテガがバラモス討伐に出発したときのことを言っています。

barely は「わずかに、かろうじて」です。ここでは後ろに続く「親指のサイズくらい」に合わせて「小さい」です。

thumb は「親指」です。いいね!で親指を立てることを thumbs up といいます。

息子が親指くらいに小さいなんてもちろんありえません。思い出がよみがえって話が大きくなっているのでしょう。それくらい再会が嬉しいのです。

最後の look at you は直訳で「あなたを見ている」です。でも不自然な訳ですよね。なのであえて「目の前にいる!」としました。親指くらい小さかったのに「こんなに成長した息子が目の前にいる!」ということを言いたいはずだからです。

私の跡を継いで

PS4日本語版
で 今は? …………。なんと! 私のあとをついで 魔王をたおすための旅をっ!
スマホ英語版
So, what do you get up to with your time? You set out to follow in my footsteps and destroy the Archfiend?
スマホ英語版日本語訳
それで、おまえは何をしている?私の跡を追って魔王討伐に出発した?

ゾーマ城で再会したはずですがやはり覚えていません。

最初の文の get up はかなりなネイティブ表現です。学校では「起きる、起床する」と習っているはずです。

しかしここでは「何をしている」です。子供が何かやらかすことに get up と使います。親子関係を意識して get up になったのでしょう。日常英会話であれば普通に “So, what do you do now?” でも通じます。

次の文で「息子も魔王討伐の旅に出発したのか?」と驚いています。息子はそこまで成長したの?と聞いているかのようです。

archfiend は「魔王」です。覚える必要ない単語です。

follow in my footsteps は直訳すると「足跡をたどって」です。ただすべての足跡を地面で追跡したわけではないので「後を追って」としました。原文の「後を継いで」でも問題ないです。

follow は「従う」です。

set out は「出発する、取りかかる」です。原文通りに「旅を?」でもいいのですが、対訳にするため「出発した?」と付け加えました。

心配をかけないように

PS4日本語版
しかし 母さんだけには あまり 心配をかけぬようにな。
スマホ英語版
Just don’t go making your mother worry too much, will you? She’s been through enough already.
スマホ英語版日本語訳
とにかく母さんをあまり心配させるようなまねはするな、いいな?母さんはもう十分に心配してきた。

家族を大切にする発言です。やはりオルテガは漢ですね。勇者の母親(オルテガの妻)を心配させた大元はオルテガですが。

make your mother worry で「母親を心配させる、迷惑をかける」です。

go は無くても通じます。ただ go making で「(心配させる)ようなまねはするな」という強い言い方になります。口語表現です。

最後の英文です。

through は「~を通して」です。しかしここでは「過去に経験した」というニュアンスです。本来なら went through (go through) とすれば「経験する」ですが、セリフなので厳密さをなくして “She has been through …” としているのでしょう。

already は「すでに」ですが「もう」とも訳せます。 enough (十分)と合わせて「もう十分に」です。

何を経験したかというと、心配してきたのですね。男 2 人が続けて家からいなくなったのですから。

ましてや息子を送り出す母の心境は、私は少しだけわかります。私は 18 歳でひとり暮らしを始めたので、実家に帰省した時に母に泣かれてしまったことがあります。

まとめ

今回は紹介した英文が他の記事より少ないものの、英語教材としても使えそうなことがわかりました。

またオルテガの英語のセリフから使命や悔しさが十分伝わりました。

次回はゾーマ編をお届けする予定です。ドラクエシリーズで一番好きなラスボスです。お楽しみに!

声に出して読もう(英語のセリフ一覧)

この記事で紹介した英語のセリフを再度一覧にまとめました。下記のリストをご覧ください。

ドラクエのセリフは文語体や叙述的、詩的なものもあります。難しいセリフについてはグロービッシュや工業英語の観点から英文を書き直しました。そのため下記のセリフリストはより英会話に使えるようになっています。

音声データはありませんが、英語をある程度学習している方であれば音読教材としてお使いいただけます。ご活用ください。

  • Just behind the bridge, the party see a solitary figure, locked in deadly combat with a many-headed monstrosity!
  • I-Is somebody there? Please… if there is somebody there, there’s something I need to tell you…
  • My name is Ortega… I come from a place called Aliahan… I… I remember it all now…
  • If… If you ever make it to Aliahan… I need you to find somone called hero, and tell him…
  • Tell him I’m sorry… I wanted to make the world a better place…
  • A place where he wouldn’t have to be afraid…
  • But I… (sob) I just wasn’t strong enough…
  • When I left, you were barely the size of my thumb, and now look at you!
  • So, what do you get up to with your time? You set out to follow in my footsteps and destroy the Archfiend?
  • Just don’t go making your mother worry too much, will you? She’s been through enough already.

関連記事:中学英語はフィードバックが大切?理系目線の音読学習法

このレビューで解説した英単語一覧

  • a place where: ~な世界(場所)
  • already: すでに、もう
  • archfiend: 魔王
  • barely: わずかに、かろうじて
  • be afraid of: ~を恐れる
  • behind: 後ろで、向こう側、橋を渡った先
  • combat: 1対1の戦い
  • deadly: 致命的な
  • do not have to: ~する必要ない
  • enough: 十分に
  • figure: 人の姿、形、人影
  • follow: 従う
  • footsteps: 足跡
  • get up: 起床する、子どもが何かをやらかす
  • go making: ~のようなまねをする
  • I need you to: あなたに~をお願いしたい、あなたに~する必要がある
  • left (leave): 出発する
  • locked: 閉じ込められている、集中している
  • make it to: たどり着く
  • many-headed monstrosity: 頭を持つ怪物
  • recall: 意図的に思い出す
  • remember: 覚えている、自然に思い出す
  • set out: 出発する、取りかかる
  • sob: すすり泣く、ヒステリックな状態で泣く
  • solitary: ひとりの、孤独な、連れのいない
  • through: ~を通して
  • thumb: 親指

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※英単語の調べものには主に研究社新英和大辞典(第6版)を参考にしました。