海外就職で求められる英語レベルはどれくらい?

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海外移住をあこがれている人々にとって、言葉の壁をどれくらい意識されているでしょうか?また、海外で働く(活動する)にはどれくらい語学力が必要なのか、疑問に感じている方も多いのではないでしょうか?

この記事では私の経験から「仕事と言葉」についてお話しします。私はこれまでシンガポールやベルギーで就労する機会をいただきました。また20代の頃から台湾で交換留学させてもらう機会がありました。これらの経験をベースにお話しします。

極論すれば英語力は不要、なぜなら…

求められる英語力(語学力)は外国の仕事であっても求人によって違います。必ずしも流暢に話せれば良いとも限りませんし、「この仕事であればTOEICoo点あれば十分」と単純に示せるものでもありません。私自身、オーバースペックで採用されなかったケースがあります。

外国に居住/滞在している日本人を相手にする仕事や上司が日本人であれば、業務上日本語で対応できるので外国語の能力は不要な場合もあります。

これはどういうことでしょうか?

お客様や同僚・ビジネスパートナーがどの言葉を話すかによって、求められる語学レベルが違うからです。

海外就職でも「仕事相手」によって求められる語学力は違う(イメージ)

例えば、外国にある日本食レストランでもローカルの人々をターゲットにしているのであれば、ローカルの言葉で接客するのが当然です。一方、日本食でも高級なお寿司屋さんであれば日本人が(主に偉い人の)接待に使います。となると日本人の料理人、接客も日本式の対応方法がわかる日本人を必要とされます。

そのほか、日本人の駐在員さん向けのサービスなども該当します。シンガポールには日本人向けの料理店だけでなく、ケータリング、美容室、レンタルオフィス、転職サービス、クリーニング、日本語のフリーペーパーといった会社もあります。例えばレンタルオフィスであれば、海外に進出したい日本人のサポートなので上司・同僚・お客様が日本人の可能性もあります。また実際にそういう仕事に就いていて、普段英語を話す機会がほとんどないという方にシンガポールでお会いしたこともあります。

このように、必ずしも語学力だけが求められているわけではありません。大切なのは「その会社がどういう人材を求めているのか」です。その意味では他の人にはない職業スキルがあれば英語ができなくても採用される可能性はあります。

ただし注意も必要です。たとえ業務は日本語だけでも、仕事以外の日常の生活ではその国の言葉で対応しなければいけません。全く日本語だけで外国で生活することはまずないでしょう。外国の生活では身の回りのことから役所の対応まで原則自分で対応する必要があります。

そういったリスクを負ってまで外国で生活するのであれば「なぜその国で働いて生活したいのか」という目的をハッキリさせましょう。そうでないと「こんなはずじゃなかった」と辛い思いをすることになってしまいます。

日英の翻訳を第3国の人がやっていた

どの国もまずは自国民の雇用を優先します。したがって、外国人を雇うには正当な理由が必要です。

日本人ネイティブのメリットの一つは先述した「日本語ができることと日本人の対応ができる」という点です。この点も日本語と日本人向けの対応ができる外国人が出てくれば、メリットでは無くなっていきます。

私の経験をお話ししましょう。シンガポールで勤務していた時のことです。日本本社から送られてきた和文資料の英訳や、シンガポール法人で作成した英語資料の和訳は「中国人」がやっていました。英語も日本語もネイティブではない第3国の人が翻訳していたのです。

何故でしょうか?その人は日本に留学していたので日本語ができます。そして英語も勉強していたので話せます。つまり日英両方の言語に素養があります。さらに上司は中華系シンガポール人だったので、ネイティブである中国語で上司との連携ができました。つまり上司からしたら日/英のネイティブを雇うよりも、この中国人を採用した方が「使える」のでした。

転職は「会社が求めていること」と「自分にできること」のマッチングが大切なのです。外国語ができた方がもちろん良いのですが、それ以前に「どのような職業スキルがあるか」の方が大切なのです。

その求人に日本人は求められているか?

では外国で自分を売り込むにはどうしたらいいでしょうか?それは「他の人にはできない特殊な能力がある」点をアピールできるかにかかっています。

日本人であれば、このような仕事であればチャンスはあるでしょう。

  • 料理人(寿司やラーメンだけでなく、パティシエやピザ職人なども含む)
  • 技術者(特にハードウェアもできる人材)
  • 芸能人(音楽家やダンサーなど)
  • 職人(特に日本の伝統工芸品)
  • スポーツ選手

※俳優や歌手は日本語以外の言葉をセリフや歌詞で話す必要があるので、微妙なところです。

最近ではピコ太郎さん(PIKO-TARO)が良い例です。彼がPPAP (Pen-Pineapple-Apple-Pen)を発表して大ヒットしたのは、彼の英語が流暢だからではありません。リンゴやパイナップルにペンを刺すわかりやすさ、独特なキャラクターと、子供にも歌いやすいリズミカルで簡単な歌詞(簡単な英文)があったからです。ジャスティン・ビーバーさんがSNSで拡散したというきっかけはあるものの、著名人も認めるくらい面白かったからこそわざわざ動画をシェアしたのです。

ピコ太郎さんは語学力ではなく「音楽と映像」という表現で思わぬ海外展開をしてしまったのです。海外公演により今後英語によるコミュニケーションも求められそうですが、とりあえず通訳さんを雇って仕事をしても問題ないでしょう。

別の例として、私が尊敬するJazzピアニスト・上原ひろみさんのインタビューのリンクを貼らせていただきます。勝負するところは言葉ではなく「表現」と言い切っています。

外部リンク(ライブドアニュース):http://news.livedoor.com/article/detail/11913370/

よく言われる「日本人の勤勉さや仕事の正確さ」は残念ながらアピールにはなりません。なぜならローカルの人たちも「自分たちはちゃんとやっている」と思っているからです。

何度も言いますが、転職で大切なのは「需要と供給のマッチング」です。せっかくの英語力や他の外国語力も、求められていなければ採用してもらえません。それ以外に勝負できる「スキル」が先立つのです。

スマホ片手にコミュニケーションがとれるか?

近年はGoogle翻訳の性能が飛躍的に上がってきている(AIやディープラーニングの技術向上)ので、テキストを使った翻訳には問題を感じません。

私はベルギーに引っ越してから、雇用契約書や給料明細はフランス語、インターネットの契約やスーパーのチラシはオランダ語(フラマン語)という生活をしています。メールもこれらの言語で受け取りますが、Google翻訳でちゃんと理解できます。

しいて言うなら、フランス語/オランダ語→日本語の翻訳よりも、フランス語/オランダ語→英語の方が、翻訳精度はまだ高いかな?という感覚です。

下記の画面は、Delhaizeというスーパーのポイントカード(プラスカードという名前)を申請した直後に受け取ったオランダ語のメールをGoogle翻訳した結果です。これを読む限り、「10日後くらいにカードが郵送で届くけど、それまでは仮のカードを利用してください」という意図は伝わってきます。

Google翻訳で日常生活の不便が解消されてきている例

実際10日後にカードは送られてきませんでしたが、これは翻訳の問題ではありません。スーパーだけでなく、オンラインバンキングなど日常生活に必要な手続きがどんどん電子化されてきているので、Google翻訳でもとりあえず問題なくなってきています。

このように、翻訳自体はパソコンやスマートフォン上でできるので書類(メール)の扱いはハードルが下がってきています。しかし、会話はまだ相手とface-to-faceで対応しなければなりません。その意味では会話の方が難しい(ハードルが高い)ともいえるでしょう。

今後、同時通訳ができるデバイスもリリースされるようですが、それが普及するのは時間の問題です。そうすると、言葉の壁がもっと下がり、今以上に「言葉以外の何ができるか」が重要になってきます。やはり「職業スキル」が先に求められるのではないでしょうか?

まとめ

以上、かなり難しい内容になりました。ただ私が本当に伝えたいことは「働く場所」という敷居が低くなってきていることです。

外国に出てみたいけれども言葉ができないことを理由に躊躇しているのであれば、もったいないことです。共通語としての英語はネイティブスピーカーの方が少数派なので、日本人も含めてみんな言葉を習得する大変さは知っています。それでもコミュニケーションを積極的にすれば一目置いてくれる可能性があります。恐れずにトライしてほしいです。

この記事をまとめましょう。

  • 海外の仕事でも求められる英語力は「求人内容」による。必ずしも語学力が優先されるわけではない。
  • 語学力以外に「他の人にはない能力」をアピールできるか?
  • 言葉がつたなくても、スマホを片手に翻訳しながらコミュニケーションしようとする度胸が大切。

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