ネイティブに英検や受験英語を解かせてどうしたいの?

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ネイティブに受験英語を解かせる必要ある?

「英語ネイティブに○○をやらせてみた」

といった Youtube コンテンツが増えています。

でもこれって日本独特な気がします。逆に「日本人に日本語能力試験 N1 (外国人が受験する日本語試験)を受けさせてみた」って動画に興味ありますか?ないでしょう。

この記事では英語学習によくある「ネイティブ英語の必要性」について、英検や受験英語の観点からコメントします。

結論は「ネイティブ英語にこだわる必要なし」です。その理由を上図に 3 つ示しました。詳しく説明しましょう。

ネイティブ英語信仰か?はたまた周囲を気にする国民性か?

過去にはデーブ・スペクター氏(米国シカゴ生まれ)に実用英検1級を受験したところ落ちた、というテレビ企画もありました(記憶ではその後再受験して合格)。

海外生活を 5 年以上経験している私の意見はたった 1 つです。

「みんなネイティブ英語信仰を崇拝しすぎじゃない?」

ネイティブスピーカーにあこがれるのは理解できます。私もかつてはそうでした。

英語の先生の多くはアメリカやイギリスに留学とか滞在経験のある「本場の英語」に堪能な人たちです。

ところが、英語が話せる世界の人口のうちネイティブは約 2 割というデータもあります。

世界中で話されている英語のほとんどは「非ネイティブ」なのです。ネイティブの英語話者は少数派なのです。

しかしながら「ネイティブブランド」がまだまだ蔓延しているような気がします。

それとも「自分が受験した英語はネイティブにとって簡単なのか?」と気にしているのでしょうか?

外国人が日本に来て何をやるのか?というテレビ番組も人気でした。

また日本の技術を世界に紹介するテレビ番組もありますね。私の父はこの手の番組を観ては「やっぱり日本が一番」といつも言っています。

日本の外に出ない人ほど気にしている感じがします。その人にとっての好きなものを追求すればそれで良いと思うのですが、違うのでしょうか?

どちらにしろ「気にしすぎ」というのが私の意見です。

関連記事:英語の発音は矯正すべき?ネイティブ発音が不要な理由と練習方法

ネイティブが解けない問題を出題する「受験英語と実用英語のギャップ」

ファストフードでも英会話なしで注文できる
ケンタッキー・フライド・チキンを注文するのに受験英語は不要 (2019 年 10 月、ブリュッセルで撮影)

Youtubue の話に戻ります。

Youtube で公開されている動画の中には「ネイティブが解けなかった英語の問題」もあります。

それを観たあなたはどう思いますか?嬉しいですか?

私はちっとも嬉しくありません。「ネイティブが解けない、実践とはほど遠い英語を出題している」からです。

英語はコミュニケーションツールです。意思の疎通ができればそれで良いのです。

そのためネイティブが解けない問題をマニアックのように出題するのは「試験の目的」からかけ離れているでしょう。使わない英語の知識を問うのが目的でしたか?

英語ではない違う分野ですが、このような噂を聞いたことがあります。「うちは簡単に博士号を出さないので有名だ。」

私からしたら「人を育てられない自己満足でパワハラな、教員失格」です。自慢してどうするんですか?頑張っても卒業できない学生さんの生活はどう補償するんですか?

英検 1 級は先ほどのデーブ・スペクター氏が苦戦したように確かにネイティブでも解くのは大変です。しかし英検の場合は教養という側面がまだあります。

TOEIC はどうでしょうか?アメリカの大学生が TOEIC を受けると平均点は 920 点といわれています。これも噂レベルで情報源が不明ですが。

上の写真はベルギー・ブリュッセルの KFC (Kentucky Fried Chicken) です。セルフ注文ができる端末があるので「対面でオーダー」は不要です。英語もフランス語(ベルギーの公用語)も不要です。

マクドナルドや他のファストフードでもセルフ端末が急速に増えています。

そもそも英会話ができなくても海外で生活できるインフラすらできつつあるのです。

ネイティブが解けない問題を出題するとかナンセンスですし、ネイティブが日本の英語の問題を解けるかどうか気にする必要は全くありません。

大切なのは「英語を使って何をしたいか?」です。私のかつての目標は「英語を使って、世界で通用する技術者になりたい」でした。

あくまでも専門性(技術)が先、英語が後です。

関連記事:海外就職で求められる英語レベルはどれくらい?

英検1級が本当に必要な人たちは国際機関職員か先生のブランディング

ここまで書くと「受験英語や英検は不要なのか?」と批判されそうです。

受験英語は無くしても良いでしょう。代わりに英検や TOEIC で大学入学の合格ラインを決めればいいのですから。第三者の機関が実施する試験の方が公平性は保たれます。

しかし英検や TOEIC といった試験は必要でしょう。

「あなたの英語力を客観的に測るツール」はあっても問題ないからです。

そういう意味から、英検 1 級を目指すべき人(または受験英語を克服すべき人)は下記のようになります。

  1. 国際機関の職員
  2. 英語の先生のブランディング

国連などの国際機関で働く人にとってはまだまだ必須でしょう。国連英検といった試験があるので、どこの国の人でも客観的に英語力を示すツールは必要です。公平な人材評価が求められます。

実用英検では専門性の高い分野の出題もあります。そのため国連英検受験のためのステップに使えるでしょう。

もう 1 つの職業は「英語の先生」です。英検 1 級は間違いなくその先生のブランディングに使えます。

別の記事にて「 TOEIC 満点講師の肩書きに惑わされるな」と書きました。矛盾しているという指摘もあるかもしれません。

TOEIC 満点もすごいですが、私にとっては実用英検 1 級の肩書の方が正直尊敬します。

もちろん「自分が英語ができる能力」と「他人に英語を教える能力」は異なります。しかし英検 1 級を合格するために頑張ってきたプロセスは何かに活かせるでしょう。

関連記事:TOEICの取り組み方と参考書を選ぶ際のポイント

まとめ

結局、ネイティブがどうこうは全く関係ありません。自分が英語でどうしたいか?これだけです。

英語学習の目標・目的は見失わないでくださいね。ネイティブの動画はバラエティ番組と割り切って観ましょう。

この記事をまとめましょう。

  • ネイティブ信仰を捨てよう。世界中で話されている英語のほとんどは「非ネイティブ」によるコミュニケーションだから。
  • 受験英語でネイティブが解けない問題があるなら、それは「実践的ではない英語」。だから覚える必要なし。
  • そもそも英語が話せなくても海外で生活できる環境が徐々にできつつある。セルフサービスが増えてきているから。
  • 英検 1 級などの試験はまだまだ必要。国連職員や英語の先生のブランディングに活用できる。受験英語は民間の英語試験に置き換えできるし、その方が公平。

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このブログを書いている人

ダイブツ
twitter: @habatakurikei
元々IT系だけど電気系技術者。20代で博士号を取得するも、全然社会の役に立てないのが不満でブログによる情報発信を開始。あなたに有益な知識やノウハウを理系目線かつ図解でわかりやすく解説するのがモットー。2018年心臓発作であわや過労死寸前。そこからガジェットレビューを通じた体調管理の情報発信も開始。ベルギー在住でシンガポール就労経験もあり、海外転職や海外生活のノウハウも公開中。

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